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もう限界です…「年金月6万円」73歳母への“エンドレス仕送り”で窮地の〈月給33万円〉40代息子が、年金機構から母に届いた「緑色の封筒」に救われたワケ【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月26日 11時15分

もう限界です…「年金月6万円」73歳母への“エンドレス仕送り”で窮地の〈月給33万円〉40代息子が、年金機構から母に届いた「緑色の封筒」に救われたワケ【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

年金生活者である母親に、毎月7万円の仕送りを続けている川上さん(仮名)。毎月ギリギリの生活ですが、子どもの高校受験を前に、さらなる教育費負担がのしかかります。そんなときに母親のもとに日本年金機構から届いた「緑色の封筒」。中身は何だったのでしょうか? 今回は「年金生活者支援給付金」について、FPの辻本剛士氏が解説します。

年金生活者の母に仕送りを続けているためギリギリの生活を過ごす日々

川上健司さん(仮名・41歳)は、妻と2人の息子との4人家族です。健司さんは、大学卒業後から中小企業で品質管理課に勤務しており、優しく母親思いの性格です。家庭では、健司さんが月約33万円、妻がパートで月4万円ほどの収入があり、家族の月収は合わせて37万円になります。

しかし、生活費に月30万円、加えて健司さんの母親への仕送りに7万円が必要なため、毎月の生活はいつもギリギリで貯蓄をする余裕はありません。

健司さんの母である直子さん(仮名・73歳)は、一昨年、夫と熟年離婚した後、市営住宅で一人暮らしをしています。

直子さんの収入は、老齢基礎年金で月6万円です。かつては、スーパーのレジ業務に従事していましたが、体調を崩したことを機に、退職しました。

生活保護を受ける選択肢もありましたが、直子さんは世間体を気にして、頑なに拒否しています。このため、健司さんは毎月経済的な援助を続け、母親の生活を支えています。

高校受験を控える長男の教育費負担増によっていよいよ生活が限界に―

そんな川上夫婦ですが、長男の高校受験が間近に控えており、受験対策として塾に通うことになったため、その費用として、毎月約3万円が新たにかかることに。この追加費用が、すでに川上夫婦の限界に近い家計にさらなる圧力を加え、家計は今後赤字に転じる見込みです。

状況を見かねた妻が、夫に強く訴えかけます。

「これから長男の高校受験のために、毎月3万円も負担が増えるの。いよいよ貯金を取り崩さなければならないわ。そろそろお母さんの仕送りを見直してくれない? 生活保護の選択肢もあるわけだし」

しかし、健司さんはこの提案を却下します。

「それはできないよ。俺たちの支援がないと、母さんは生活ができなくなってしまう。それに、何度か生活保護について提案してみたけど、母さんは断固として受け入れてくれないからな」

妻も食い下がります。

「じゃあ、私たちの生活はどうなるのよ! いつまでたっても生活が楽にならないじゃない!」

この言葉に、つい感情的になる健司さん。

「じゃあ、俺がなんとかするよ! 休みの日にアルバイトでもして稼いでくるから!」

夫婦間に流れる、険悪な空気―。とはいえ、仕事に忙殺されている健司さんは、すぐに週末バイトを始める準備もできず、家計不安に悩みつつ、時間だけが過ぎていく日々を過ごしていました。

母親の自宅に年金機構から届いた「緑色の封筒」

その後も健司さんは、母親の直子さんへの仕送りを続けていましたが、ある日、直子さんからの電話がありました。「年金機構から変な封筒が届いたの。一度見に来てくれない? 最近、年金とかの詐欺があるって聞いたから」とのこと。

週末、母親の自宅を訪れた健司さんは、直子さんが受け取った緑色の封筒を手に取りました。封筒には「年金生活者支援給付金請求書」と記載されています。

中身を詳しく読んでみると、直子さんには「年金生活者支援給付金」として、月約5,000円が支給されることが判明しました。

健司さんは驚いて直子さんに伝えました。

「母さん! 今の年金に上乗せして毎月約5,000円が支給されるみたいだよ! 年間で6万円にもなるみたいだ!」

この金額は一般的には大きなものではありませんが、川上さん親子にとっては、非常にありがたい知らせでした。

息子に金銭の援助を受けることを少なからず申し訳なく感じていた直子さんは、健司さんに伝えます。「健司、いつも仕送りありがとうね。これから給付金が入るし、私ももう少し家計を見直して、健司の負担を減らせるよう努力するわ」

健司さんは、その言葉にホッとしながらも、「母さん。それは本当にありがたいよ。実はこれから長男の高校受験で、毎月の教育費負担が増えてしまうから、大変になりそうなんだ」と、健司さん一家の家計の現状を、包み隠さず直子さんに話しました。

最終的に話し合いを経て、母への仕送りを7万円から6万円程度に減額することが決定しました。

妻もこの結果に対して「本当にありがたい話ね。これで少しは家計も楽になるかもしれないわ。私たちも、長男の受験のために、節約していかないとね」とひと安心の様子。

「緑色の封筒」がもたらした予期せぬ支援が、川上家の財政状況に、僅かながらではあるものの、希望をもたらすこととなりました。

「年金生活者支援給付金」の対象者には、月に約5,000円給付される

「年金生活者支援給付金」とは、現在老齢基礎年金を受け取っていて、かつ所得が少ない人に支給される給付金です。年金生活者給付金には、老齢(補足的老齢)生活者支援給付金、障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の3種類に分かれています。

この給付金の支給は、2019年10月1日の消費税引き上げと同時にスタートし、いまのところは、恒久的に支給される制度となっています。

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金を受け取れる要件は、以下のとおりです。

・65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること

・同一世帯の全員が市町村民税非課税であること

・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が87万8,900円以下であること

条件に当てはまるかどうかの確認は、自身でおこなう必要はありません。

給付額給付額は、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の①と②の合計額となります。

① 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5,140円 × 保険料納付済期間/480月

② 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1,041円× 保険料免除期間/480月

年金生活者支援給付金請求書は、該当する人へ毎年9月1日から順次送付されます。 給付金を申請する場合は、請求書に必要事項を記載して返送すれば可能です。

生活困窮者は1人で悩まず自治体やFPに相談することが大切

後日、まだまだ経済的な困難に直面している川上夫婦と健司さんの母・直子さんは、今後の家計設計について、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談へ行くことにしました。

FPはまず、直子さんを健司さんの扶養に入れることを提案。この変更により、健司さんは、扶養控除48万円の適用を受けることができ、所得税や住民税が軽減されます。さらに、直子さんが扶養に入ることで、健康保険料の負担もなくなり、年間で約3万円の節約が可能となりました。

そのほかにも、FPのアドバイスに従い、川上家は家計の見直しを行い、これまでよりも、経済的な余裕を持つことができるようになったといいます。

このように、生活が困窮してしまう場合は、自分だけで解決しようとせず、生活困窮者自立支援制度の活用やFPに相談するなど、専門家の助けを求めることが大切です。  

辻本 剛士 ファイナンシャルプランナー

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