1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

認知症になると銀行口座が凍結・お金を引き出せなくなる可能性も…窓口では何を判断基準にしている?家族はどう対処すればいい?【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月23日 7時45分

認知症になると銀行口座が凍結・お金を引き出せなくなる可能性も…窓口では何を判断基準にしている?家族はどう対処すればいい?【FPが解説】

自分や配偶者が認知症になったら…という不安を抱えている人は多いもの。生活に影響が出るのはもちろんですが、本人確認が必要な手続きや銀行預金の引き出しなども、それまで通りとはいかなくなります。本記事では、松尾拓也氏の著書『「おふたりさまの老後」は準備が10割』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集し、認知症になる前に考えておきたい対策についてご紹介します。

Q. 将来認知症になったら、いろいろ困りごとがありそうで心配です。

A. 認知症を発症して判断力が低くなると、本人確認が必要な手続きなどで困りごとが増えることが予想されます。

「死後」の財産に関する対応の方法が相続や遺言ですが、超高齢化社会を迎えた日本では、それに加えて高齢者の「生前」の財産管理をどうするかが、大きな課題となっています。

というのも、法律は基本的に「本人」の判断を重んじるようにできているからです。とくに近年は法意識の高まりを受けて、さまざまな場面で厳格な本人確認が求められるようになっています。認知症が進行して本人の理解力・判断力が失われてしまうと、本人確認が必要な手続きは基本的にできなくなります。

ちなみに、認知症は加齢とともに有病率が急激に高まることが知られています。認知症の有病率は、80代後半で男性の約35%、女性の約44%、90代後半になると男性の約51%、女性の約84%とされています(厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」2013年)。

本人確認を求められる手続きとは、次のようなものがあります。

【本人確認を求められる手続きの例】

●預貯金の引き出しや解約

●株や投資信託などの変更や解約

●不動産売買や施設入所をはじめとする契約の手続き

●遺言の作成

●自分が相続人となる際の相続手続き など

日常生活はともかく、これらのことができなくなってしまうと、資産は凍結状態になってしまいます。そしてもっと怖いのは、その日がいつ訪れるのか、本人も含めて誰にもわからないことです。

医学や生活環境の進歩によって、多くの人たちが長生きできるようになったのは喜ばしいことですが、反面、備えるべきリスクが生まれているのです。自分が認知症を発症することを前提として、対策しておくことが必要でしょう。

認知症になったら、預金が引き出せなくなるって本当ですか?

本人の判断力が十分でなくなれば、口座を凍結される可能性があります。

成人したら、自分の財産は自分で管理することが基本です。しかし、これは本人に適切な判断力があることが前提です。

認知症などによって本人に適切な判断力がないと判断された場合、銀行や証券会社などの金融機関では、口座を凍結することによって本人の資産を保護するというのが基本的なスタンスです。

口座が凍結されれば、振込や払出し、振替や解約などの各種手続きができなくなります。もちろんATMも使えなくなります。さらに、株式や投資信託など購入や売却などのタイミングが重要な商品も、現状維持しかできないことになってしまいます。

なお、金融機関の窓口では、本人が窓口で自身の名前や生年月日が言えるかどうか、直筆で署名ができるかを、判断力が残っているという判断基準にしているケースが多いようです。

条件をクリアすれば、家族が引き出せる場合もある

おふたりさまの場合、認知症になった夫の口座が凍結され、妻が生活費を引き出せないという可能性もあります。認知症などによって預金者本人の認知機能・判断力が低下しているケースについて、社団法人全国銀行協会は次のような指針を出し、特例として家族による預貯金の引き出しを認めています。

【不測の事態における預金の払い出しの条件】

●本人が認知症などの診断を受けていること

●引き出すお金が本人のために必要であること

●預金の引き出しを行おうとする人が、本人の家族であること

ただし、これはあくまでもガイドラインであり、緊急時の家族の引き出しを認めるかどうかは、各金融機関によります。A銀行では引き出せたが、B銀行では引き出せないということがあるわけです。金額上限や回数上限の設定も、金融機関によってルールが決められています。

預金のある金融機関の対応について、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。ただし、これは配偶者や子どもがいる場合に可能な対策です。身寄りのない人が認知症になって口座が凍結されてしまった場合は、成年後見制度によって口座の管理をすることになります。

松尾拓也 行政書士/ファイナンシャルプランナー

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください