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人は何歳まで生きるのか?「世界最長寿者」女性は122歳のフランス人、男性は111歳の日本人…“超高齢者”の日常【大学教授が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月1日 7時0分

人は何歳まで生きるのか?「世界最長寿者」女性は122歳のフランス人、男性は111歳の日本人…“超高齢者”の日常【大学教授が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

「超高齢化社会、待ったなし」の日本。長寿者を敬う文化がある一方で、当事者としての加齢にはネガティブな考えが付きまとうこともあります。本記事では老年心理学者の権藤恭之氏が、世界最長寿のフランス人女性のエピソードや実際に出会った100歳を超える男性の日常生活をご紹介します。

これまでの世界最長寿者は、フランスの女性で122歳

人間はいったい何歳まで生きることができるのでしょうか? これまでの世界最長寿者はジャンヌ=ルイーズ・カルマンさんで、122歳と164日です。フランスの女性で1875年に生まれ、1997年に亡くなっています。一方、男性の世界最長寿者は116歳と54日の木村次郎右衛門さんで、1897年に生まれ2013年に亡くなりました。

このふたりについては研究者による調査データが残っていますが、認知機能の衰えはなかったという結果が出ています。

カルマンさんはアルルに住んでいて、そこに滞在していたフィンセント・ファン・ゴッホが親族の営む画材店に絵具と鉛筆を買いに来たということを覚えており、世界的に話題となりました。また、カルマンさんは100歳まで自転車に乗っていて、114歳で大腿骨を骨折するまで歩くことができました。長寿の秘訣は大好きなチョコレートを食べて赤ワインを飲むことだったそうです。

私がカルマンさんの話を聞いて長生きは悪くないと思ったことがあります。「リバースモーゲージ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本でも少し知られるようになりましたが、これは自分が住んでいる家を担保にお金を借りることができるシステムで、彼女はその契約を地元の人と結んでいたのです。細かいところは知りませんが、死んだら不動産を接収してもよい、しかし、生きている間は生活費を支払ってもらうということが条件だったと記憶しています。

でも予想以上に長生きするとどうなるか、想像できるでしょうか。カルマンさんが長命だったために、相手のほうが先に亡くなってしまい、その契約が息子に引き継がれたそうです。そして、彼女の生涯の生活費はその契約をもとに支払われたとのことでした。

早起きは三文の得といいますが、長生きは億万の得というところでしょうか。この話を聞いて私も長生きしようと思いました。彼女は凍った水道管の氷を溶かそうとして地下室でボヤ騒ぎを起こした後、施設で最晩年を過ごしたのですが、その最晩年の様子はほとんど知られていません。

男性の世界最長寿者は日本人。気になる日常生活は?

男性の世界最長寿者である木村さんは京都府に生まれ、郵便局の仕事に就き、退職後は畑仕事をしていました。晩年は朝5時に起床し、午後8時に就寝するという規則正しい生活を続け、食生活では朝にヨーグルト、サツマイモ、梅干しを、夜に牛乳を摂ることを習慣としていました。

私は木村さんとは5回会って、さまざまな話を聞きました。初めて会ったのは木村さんが111歳の時でしたが、とてもお元気でした。木村さんは慶應義塾大学が105歳以上の人の調査を行っているという記事を読んで、自分から連絡をくれたのです。京都府北部の京丹後市に住んでいたので、私は東京から伊丹空港、コウノトリ但馬空港と飛行機を乗り継いで、そこから車でお宅を訪問しました。

木村さんは耳が遠く、老眼も進んでいたので認知機能テストはうまくできませんでしたが、畳の間に背筋をピンと伸ばして正座する姿が非常に印象的でした。はきはきと質問に答え、自分の人生を小冊子にまとめていたこともあり、記憶も細部にわたっていました。

この時は一緒に研究をしている慶應義塾大学医学部の広瀬信義先生に同行したのですが、インタビュー終了後、私は広瀬先生に「こんなに元気な111歳がいるわけがない。きっと年齢を偽っているに違いない」と話したのを覚えています。

その後、私は戸籍だけでなく、国会図書館で地域の資料を探したりして、結局、小学校の卒業者名簿に木村さんの名前が記載されていたことにたどり着いて、生年月日が正しいものであることを確認しました。

生年月日を検証するために、他にも木村さんが話したことを細かく調べたことがあります。結婚した時にはまだ家まで電気が通っていなくて、蠟燭の明かりで夜を迎えたという話でした。ただ近いうちに電線の設置されることが決まっており、すでに電灯の配線は終わっていたといいます。

いろいろ調べて、正確に電線が設置された年月日はわかりませんでしたが、この地域に電気を配給するためのダムが結婚の年に稼働開始していたので、話の内容は正しいと考えることができました。

老年心理学者 権藤 恭之

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