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独身だと思っていたのに…!既婚者であることを知らないでお付き合いしていた場合、〈慰謝料が請求される場合〉と逆に〈慰謝料を請求できる場合〉の違いとは?【弁護士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月17日 7時15分

独身だと思っていたのに…!既婚者であることを知らないでお付き合いしていた場合、〈慰謝料が請求される場合〉と逆に〈慰謝料を請求できる場合〉の違いとは?【弁護士が解説】

「既婚者と知らずに付き合っていた場合、慰謝料を請求される?」「不倫の証拠をつかむために相手のスマホにGPSを仕掛けたらいけないの?」「不倫のボーダーラインはどこ?」など、不倫や浮気をめぐる法律について、上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部抜粋して解説します。

事例1:既婚者だと知っていてお付き合い

CASE:相手が結婚しているのを知っていたのにお付き合い。相手の配偶者にバレたら慰謝料を請求される?

ANSWER:相手が既婚者と知りながら関係を持った場合、夫婦関係が破綻していなければ不法行為となりますが、破綻していれば不法行為ではないので、慰謝料を支払う必要はありません。不倫相手が「もうすぐ離婚する」「別居していて夫婦関係は破綻している」と言っていても、本当に破綻しているとはかぎりません。破綻しているかどうかは、別居の有無、別居期間の長さ、夫婦間の連絡の有無、離婚協議の有無など、総合的に判断されます。不倫相手の甘い言葉は鵜呑みにしないようにしましょう。

解説:不倫のボーダーラインはどこ?

次のうち、法的に不倫と認められるのはどれだと思いますか?

①仕事の打ち合わせで、夫が職場の女性と食事に行った

②夫が性交渉までOKの風俗に通っている

③夫が交際相手とキスをしたことが発覚した

④夫が同僚の女性社員に片思い

離婚理由になる不倫は、「不貞行為」があった場合です。不貞行為とは、性交渉を指します。つまり法律上は、②だけが「不貞行為」となります。1回きりでも不貞行為です。

③は「不貞類似行為」として、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたる可能性があります。不貞類似行為とは、性交渉に類似する行為を行うことです。性交渉を最後まで行わなかったとしても、ホテルなどで裸や下着姿で抱き合ったりするだけでも不貞類似行為にあたることがあります。

①・④は、不貞行為にあたることはありませんが、妻が嫌だと感じるのであれば、いわゆる「性格の不一致」として離婚に至ることもありえます。

事例2:既婚者と知らずにお付き合い

CASE:独身とだまされていて、既婚者と知らずにお付き合いしていた。別れたけど、相手の配偶者にバレたら、慰謝料を請求される?

ANSWER:独身とだまされ、それを信じて交際していた場合、相手の配偶者から慰謝料請求されても、「独身とだまされて信じていた」ことを立証できれば、慰謝料を支払う必要はありません。

ただし、独身と信じたことに過失があった場合は、慰謝料の支払い義務が生じる場合があります。逆に、「独身」とだましていた相手に対しては、「貞操権侵害」を理由に、慰謝料請求できる可能性があります。

解説:貞操権侵害とは?

貞操権侵害とは、次のような事情があるときに成立する可能性があります。

●既婚者であることを隠されていた

●既婚者と知っていたが、相手側の違法性が著しく大きい

●相手が自分と結婚すると言っていた

ただし、ケースごとに事情は異なります。必ず貞操権侵害に該当するとはかぎりません。

事例3:不倫の証拠をつかむために

CASE:妻が不倫しているようなので、探偵に調査依頼したら、GPSは使えないので追跡調査が難しいと言われてしまいました。不倫を突き止めるためなら、許されるのではないでしょうか?

ANSWER:承諾なく他人の持ち物にGPSをつけることは、ストーカー規制法違反や、プライバシー侵害になるおそれがあります。GPSは、人の行動を簡単に把握できるもので、その人にとっては重大な権利侵害となります。不倫を突き止められればどんな手段でも許されるわけではありません。

手続き:パートナーが不倫していたら……

不貞行為が認められる場合、その配偶者は離婚を請求できるほか、相手の不貞行為によって生じた精神的な苦痛に対して慰謝料も請求することができます。不貞行為を立証するには、配偶者以外の人と性行為があったことを証明する必要があります。不貞行為が行われている時期が長いほうが、違法性は強くなります。

メールやLINEなどのやりとりの履歴は、強力な証拠となることが多いです。不倫しているパートナーのスマホにそれらが残っている場合、写真を撮るなどして証拠化しておきましょう。探偵に依頼して不倫相手とホテルに入る場面を撮った写真も重要な証拠になります。

不倫が発覚したとたん目が覚めて反省し、夫婦関係を修復したいと言う人もいます。その申し出を受け入れられるかどうかについてはよく考え、話し合ってみましょう。婚姻期間の長さ、夫婦の年齢、財産の有無、子どもの有無、子どもの年齢などが、結論を出すにあたって大きな要素となるでしょう。どうしたらいいのか判断できない場合、別居して冷却期間を置く、というのも一つの方法です。

ただし、別居すると不倫相手と会いやすくなるうえ、別居期間が長くなれば、婚姻関係が破綻していると判断されるおそれもあります。別居期間中にどのようにコミュニケーションを取るのか、修復に向けた別居なのか、離婚に向けた別居なのか、別居の目的についても、別居前に話し合っておくのがよいでしょう。

なお、別居期間中は、収入が少なかったり、子どもと同居しているほうが「婚姻費用」という生活費を請求できる法律上の権利があります。

ポイント:浮気と不倫の違いって?

「不倫」は婚姻関係にある場合に、一方の配偶者が第三者と性的関係を結ぶことです。

「浮気」は婚姻関係にない場合に、パートナーが第三者と性的関係を結ぶことです。

ただし、「不倫」を「浮気」と呼ぶこともあります。どこから浮気になるかは、人それぞれですが、パートナーが疑わしい相手とランチに行ったからといって、慰謝料請求しても認められません。

不倫に対する慰謝料というのは、不倫によって「平和な結婚生活を送る権利」を侵害されたときに、配偶者やその不倫相手に対して請求することができるものです。婚約中や事実婚の場合は、慰謝料を請求できる場合があります。法律婚の夫婦とまったく同じではありませんが、恋人関係よりは夫婦に近いと考えられるからです。  

あなたを守る法律

民法 第770条 裁判上の離婚  

1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

①配偶者に不貞な行為があったとき。

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

上谷 さくら

弁護士(第一東京弁護士会所属)、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長

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