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「えっ、健康保険組合からお金がもらえたの?」がんを患って職場復帰した42歳女性、同僚が何気なくつぶやいた言葉に耳を疑ったワケ【CFPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月22日 11時15分

「えっ、健康保険組合からお金がもらえたの?」がんを患って職場復帰した42歳女性、同僚が何気なくつぶやいた言葉に耳を疑ったワケ【CFPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

大病をして民間保険の給付金を受け取ったものの、会社の総務担当者と話した際に「うちの会社の健康保険組合のお見舞金があって助かったわ〜」という言葉を聞いてびっくりした相談者。相談者は“お見舞金”のことを全然知らず、申請しなければ受け取れないことや、申請期限があること、また受け取っていたら入院時の自己負担額がかなり抑えられたことを知ってとても後悔していました。健康保険組合の保障内容は加入している健康保険組合によって異なります。今回は健康保険組合で独自に用意されている保障の一つである付加給付について、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが解説します。

健康保険組合の「付加給付」

数年前にがんが見つかり、入院を余儀なくされた相談者の青木佳奈さん(42歳、仮名)。一時はどうなることかと思いましたが、手術も無事成功し、今では元気に働いています。先日、病気で入院していた総務担当者と病気の話をしていた際に、「うちの会社の健康保険組合のお見舞金っていい制度だよね。お見舞金があって助かったわ〜」という言葉を聞いて耳を疑いしました。青木さんは“お見舞金”のことを全然知らず、申請しなければ受け取れないことや、申請期限があること、また受け取っていたら入院時の自己負担額がかなり抑えられたことを知ってとても後悔しました。 医療費の自己負担は通常3割と決まっていますが、入院となると食事代など保険適用外の費用も発生します。それを補うのが民間の生命保険で、青木さんは幸い「ガン保険」に加入していたため、保険会社から給付金を受け取れましたが、実際に病気で入院すると多くの費用がかかるものです。

もちろん日本には高額療養費制度があり、所得に応じた上限額を超えた部分は還付してもらえます。

しかし、健康保険組合によっては「付加給付」という独自の制度を設け、一定金額以上は付加金として払い戻されるケースがあります。金額は健康保険組合によって異なりますが、2万円など低額に設定されているところもあり、高額療養費制度以上の還付を受けることができるのです。

例えば、最終的にかかった医療費が70万円だったとしましょう。その場合、窓口で支払う額は自己負担分の3割ですので21万円です。

そして所得区分が「標準報酬月額28万円~50万円」の人であれば、高額療養費制度の自己負担額は「8万100円+(総医療費-267,000円)×1%」ですので、8万4,430円です。

つまり、入院期間がその月の1日から月末までだった場合、21万円から8万4,430円を差し引いた額12万5,570円が還付されます。これが高額療養費制度です。

しかし、会社の健康保険組合に付加給付制度があり、自己負担額が2万5,000円だったとすると、さらに5万9,430円が健康保険組合から給付されるのです。高額療養費制度だけだと8万4,430円の負担ですが、健康保険組合に付加給付制度があれば最終的な自己負担額は2万5,000円で済むことになります。21万円支払って18万5,000円戻ってくるのですから、これはとても嬉しい制度ではないでしょうか。

付加給付制度は高額療養費制度と異なり、健康保険組合が独自に設けている制度ですので、高額療養費制度との併用は可能です。ただ、健康保険組合によって自己負担の上限額が異なる点や、給付方法、対象者が異なる点に注意しなければなりません。

付加給付制度の利用方法は、本人が行わなくても健康保険組合が自動的に行ってくれるところもあれば、自分で申請しなければ給付金額を受け取れないところもあります。また、健康保険組合によっては、申請の時効を設けているところもあり、2年を超えると申請できないといったケースも見られます。

そのため、自分が加入している健康保険組合に付加給付制度があるかどうか、あるならその手続き方法まで確認しておきましょう。健康保険組合によっては年に数回冊子を配るところもありますし、健康保険組合のホームページで確認できます。

民間の生命保険は入る必要はない?

ただ、この制度があるなら民間の生命保険は要らないのではないかと思う人もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かにここまで手厚く保障してもらえるのなら、民間の生命保険に払う保険料はもったいないと思うかもしれません。

ただし、健康保険組合の付加給付制度は国の高額療養費制度に上乗せして行われる制度です。そのため、国の高額療養費制度の内容もしっかりと理解しておく必要があります。

高額療養費制度で一番問題になるのが、自己負担額の上限がその月の1日から月末までの1ヶ月間が計算の基礎になることです。そのため、月をまたいで入院した際には、思ったほどの金額が返ってこない可能性があるのです。

うえで試算した70万円の医療費が月をまたいだ20万円と50万円の合計だった場合、窓口で支払う金額は21万円で変わりませんが、還付される高額療養費は20万円の月と50万円の月に分けて計算します。

そのため、20万円の月の自己負担額の上限は8万100円、50万円の月の自己負担額の上限は8万2,430円ですので合計16万2,530円となり、還付される額は4万7,470円と約8万円も少なくなってしまうのです。

入院期間は自分では決められないため、月をまたぐケースも否定できません。

そういった意味でも民間の生命保険と健康保険組合の付加給付制度は分けて考えることをおすすめします。

まずはご自身の加入している健康保険組合の制度を今一度再確認してみましょう。そして、まだ時効がきておらず申請できる給付制度があれば、早めに申請するようにしてください。 新井智美 トータルマネーコンサルタント CFP

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