投資はもう止めたほうがいい?…〈株価暴落〉を受け止めて、今こそするべき「原点回帰」とは【CFPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月27日 17時0分
8月5日、日経平均株価は、1987年のブラックマンデー超えの史上1位の下落幅を記録しました。為替市場も大きく変動し、急激な円高による日本経済への大きな混乱から不安な気持ちで日々を過ごした人も多いのではないでしょうか。このような突然の株暴落への備えで重要な点を、ファイナンシャルプランナーとして活躍している中山国秀氏が詳しく解説します。
史上1位を記録した日経平均の下落幅
8月5日の日本株の下落
日経平均株価は、1987年のブラックマンデー超えの史上1位の下落幅を記録しました。
為替市場も大きく変動し、急激な円高による日本経済への大きな混乱から「経験したことのない打撃が追い打ちをかける」という情報に、重い時間をすごした人も多いのではないでしょうか。
連鎖する金融危機の可能性
8月5日の大暴落から、翌日の日経平均株価は、大幅反発(史上最大の上げ幅)となり、危機が終わったという楽観ムードが漂っているとも感じます。
しかし、さらなる株価下落が連鎖する可能性も否定できない現状です。
今回、日銀の利上げ発言・米国の雇用統計の発表のタイミングがもう少し空いていれば、ここまで大きな株価下落にはならなかったかもしれません。
米国雇用統計の悪化 → 米国金利の下落 → 金利引き上げ予定の日本との金利差縮小 → 想定外に日本円が買われる →円高の進行 → 日本輸出産業の業績悪化への懸念現時点の影響として懸念される事象が3つほどあります。
①個人消費への影響 自身の資産減少による控えめな消費行動
②国内企業業績への影響 設備・資本投資に対してネガティブとなる
③新NISA制度の普及へブレーキがかかる
「投資は怖い」というイメージから、一括投資や積立投資に終止符を打つ人も多くなると考えられます。資本主義経済にとって、株式市場の暴落が、ただならぬ影響を及ぼすことを、改めて思い知らされる出来事となりました。
しかしながら、視点を変え、先入観を一旦忘れ、原点回帰と意識することによって、劇的な「好機」と考えることもできるのではないでしょうか?
投資を行うために知っておきたいこと
株価暴落に代表されるように、将来の断定や予測ができないなかで重視するべきは、次の2つのことです。
1.「過去に何が起きていたのか」を知る
下げ幅と代表的な出来事 (日経平均株価と前日比/金額 影響の発端)
①1987年10月20日 21,910.08円 ▲3,836.48円 ブラックマンデー
②1990年4月2日 28,002.07円 ▲1,978.38円 バブル崩壊
③1991年8月19日 21,456.76円 ▲1,357.61円 ソ連8月クーデター
④2008年10月16日 8,458.45円 ▲1,089.02円 サブプライム住宅ローン危機~リーマンショック~世界金融危機
※日経平均プロフィル日経の指数公式サイト参照;筆者編集
下げ率と代表的な出来事 (日経平均株価と前日比/率 影響の発端)
A.2001年9月12日 9,610.10円 ▲06.63% 米国同時多発テロ
B.2011年3月15日 8,605.15円 ▲10.55% 東日本大震災
C.2013年5月23日 14,483.98円 ▲07.32% アベノミクス相場調整・中国の景気指標悪化
D.2016年6月24日 14,952.02円 ▲07.92% 英国EU離脱
※日経平均プロフィル日経の指数公式サイト参照;筆者編集
他にも、1929年の世界大恐慌や1972年のオイルショック、2000年の米国ITバブル崩壊などが、過去の市場暴落の代表的なものです。
株式市場では、これまで何度も大暴落が起こっています。過去に、株を一気に手放した人もいるのではないでしょうか?
ただ、重要視される点として、市場全体では上がり下がりがありつつも、長期では、確実に株価は上がっているということです。市場暴落後の「米国株式」「日本株式」、それぞれの回復までの年数は、もちろん大きな違いがあります。
過程において、投資した資金が半額、またはそれ以下になることもあるかもしれません。苦難に直面することも数多くあることでしょう。
2.長期的な視点で資産を増やしていく「心の姿勢」
・株式市場はそもそも乱高下するもの
・暴騰もあれば暴落もあるという現実を受け止める覚悟
・小幅な下落と反発は数えきれないほど起こる必然的事象
株式市場の動きに一喜一憂することなく、こういった出来事がいつやってくるかもわからない現実と、向き合う姿勢を身につけたいものです。
投資に「不向き」な人は?
投資・積立投資を始めて、半年~1年程度が経過した、いわゆる「初心者」の人たちに確認をしたいのが、下記の項目についてです。
①投資を始める際、長期あるいは中長期の運用と認識していたか
②株式市場の乱高下において、ネガティブになっていないか
③日常生活に影響のない余裕資金を活用した運用しているか
④自身に合った投資スタイルの診断をもとに、投資を始めたか
⑤④にあわせて、自身にあった資産配分の確認をしたか
⑥ファンドを選択する際、「目論見書」の説明を受け、理解したか
⑦⑥にあわせて、運用管理費用(信託報酬)について、説明を受けて理解したか
上述の①~⑦について、②は個人的な考えなので、正解はありません。しかし、①・③・④・⑤・⑥・⑦について、「NO」または「あまり理解できていない」という回答の場合、基本的かつ重要なルールの理解が不足しているといえるでしょう。長期や中長期での資産運用・資産形成に関しては、不向きな性分かもしれません。
そういった人は、金利の上昇局面を味方に、確実性のある貯えの仕方へシフトしてもよいでしょう。
自分自身の「投資スタンス」を見直そう
今回のような「株価暴落」があったときこそ、自分自身の投資について、「ブレのないスタンス」を貫くことが大切です。
将来の予測はどんな経済学者でも不可能です。その前提のなかで、「ブレのないスタンス」とは、以下のように考えることです。
・「投資の一番の敵は己の心」と再認識する。
・ネットやYouTubeの情報を鵜呑みにせず、情報発信者・発信元の意図を考える。
自分自身と家族のライフプランの点検と確認、そして長い人生へ向けて、ライフイベントを見つめ直してみましょう。
そこから適切な「アセットアロケーション(資産配分)」と「リバランス(軌道修正)」を、もう一度振り返って実行してみることが、真の資産運用・資産形成の王道といえます。
中山 国秀
生活設計本舗 秀ちゃん
ファイナンシャルプランナー
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