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フィリピン中央銀行、さらなる「政策金利引き下げ」を実施…株式市場への影響は?

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月26日 7時15分

フィリピン中央銀行、さらなる「政策金利引き下げ」を実施…株式市場への影響は?

写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はフィリピン中央銀行の利下げ開始に伴い、株式市場や銀行融資にどのような影響が考えられるのか解説します。

フィリピン「政策金利引き下げ」…株式市場には好影響

8月15日にBSPが25ベーシスポイント(bp)の利下げを行い、これを受けてフィリピン証券取引所指数(PSEi)は7,000ポイントに迫る動きを見せています。専門家は、フィリピン中央銀行(BSP)のさらなる利下げが、フィリピン株式市場に好影響を与えると予測しています。

一般的に金融政策のハト派的な転換は株式市場にとって好材料であり、金利の低下は借り入れコストの減少と株式市場の上昇をもたらします。また、安定した為替レートと持続的な経済成長が海外投資マネーの流入を促し、取引量の増加につながります。実際、PSEiは、8月22日には6,944.76ポイントで取引を終え、一時7,005.27ポイントまで達しました。

BSPは政策金利を25bp引き下げ、6.25%に設定しました。これは2020年11月以来の利下げで、これにより過去17年間で最も高かった6.5%からの引き下げとなりました。BSP総裁のレモロナ氏は、第4四半期にさらに25bpの追加利下げの余地があるとしています。

市場関係者の多くは、PSEiが年末までに7,000ポイントを突破すると予測しています。BSPや米連邦準備理事会(FRB)による利下げが流動性を向上させ、借り入れコストを低下させることで、経済成長を刺激し、企業収益を押し上げると考えられています。

一方で、利下げのあとには市場のボラティリティが増す可能性も指摘されています。利下げにより投資家がポートフォリオをリバランスし、債券から株式市場に資金をシフトさせる動きが活発化する可能性があります。

利下げの恩恵を受けるセクターとしては、不動産企業やリゾート(REIT)、消費財関連企業が挙げられます。特に消費関連株は、ホリデーシーズンを控えて家計支出が増えるなかで恩恵を受けると予想されています。

このようななか、インフレが消費支出に与える影響を考慮し、年内の株式市場に対して慎重な楽観的見通しを示す市場関係者もいます。企業収益が依然として高価格に苦しむ消費者に影響を受ける場合、株価の上値が重たくなる可能性があります。また、アメリカでの景気後退や株式市場の軟調化のリスクも依然として残っており、これが発生すればフィリピン市場にも悪影響を及ぼす可能性もあります。さらに、地政学的緊張や世界経済の減速などのリスクも指摘されています。

フィリピン「政策金利引き下げ」で「銀行融資」はどうなる?

フィリピンの中央銀行(BSP)が政策金利をさらに引き下げると予想されているため、2025年には銀行融資の伸びが加速するというS&Pグローバル・レーティングの見解が示されました。

S&Pグローバルは、2024年の融資の増加は緩やかに進み、その速度は非常に遅いだろうとしています。政策金利が来年には5%まで引き下げられると予測しており、融資成長の本格的な回復は2025年になると見込んでいます。

先週、中央銀行の政策委員会は政策金利を25ベーシスポイント(bps)引き下げ、6.5%から6.25%にしました。これは17年来の高水準からの引き下げです。BSPのレモロナ総裁は、10月または12月にさらに25bpsの利下げの可能性を示唆しています。フィリピンでは通常、政策金利は3%前後のため、25bpsの利下げがあっても、6.25%という政策金利は依然として通常の3%と比較して高い状態です。

フィリピンの融資の伸びは、パンデミック前には年平均10%から12%で推移していましたが、2023年には約7%から8%にとどまりました。その原因は政策金利が高かったためです。

中央銀行は2022年5月から2023年10月にかけて、インフレを抑えるために政策金利を合計450bps引き上げました。BSPの最新データによると、6月の銀行融資は前年比10.1%増加し、12.09兆ペソに達しました。この6月の成長率は5月と同水準で、2023年3月の10.2%以来の高いペースです。また、融資の伸びのパターンが変化しつつあります。フィリピンの銀行は大口法人向け融資を維持しつつ、高リスクで高収益な消費者向け融資を約2倍の速度で拡大しています。

現在のフィリピンの不良債権比率(NPL)は約3%ですが、消費者向け融資の不良債権率はその2倍に達しています。6月の銀行業界の不良債権比率は3.51%で、5月の3.57%からわずかに改善しましたが、5月の比率は過去2年間で最も高い水準でした。フィリピンの銀行は収益性を向上させるために消費者向け融資を増やしていますが、その過程で不良債権のリスクも増加しています。

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