投資上級者も見逃す…ほとんどの個人投資家が知らない、絶対に知っておくべき「リスク」の“真意”
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月13日 11時45分
画像:PIXTA
投資でよく耳にする「リスク」という言葉。しかし、個人投資家の多くは、このリスクの本当の意味を理解していないのが現実です。香港で産業調査に従事し、英国でMBAを取得後、20年以上にわたり株式分析やファンド運用に携わる⾼⾐紗彩氏の著書『ポートフォリオ・マネジメントで一生お金に困らない人になる!』(すばる舎)から、この見落とされがちなリスクについて抜粋・編集してお届けします。
投資上級者も理解していない…投資における「リスク」
運用の際に欠かせない知識が、「リスク」という概念です。
「投資におけるリスク」を正確に理解することが、成功する投資には欠かせません。ところが、個人投資家のほとんどの人が、「リスク」について正しく理解していないのが実情です。
「投資におけるリスクって、為替のリスクやカントリーリスク、デフォルトのリスク、元本割れリスクのことでしょ」と投資の上級者によく言われるのですが、残念ながら、これらのことでもありません。もちろんこれらは投資にかかわるリスクではありますが、これらとは別の次元で、絶対に知っておくべき「リスク」があるのです。
投資のリターン表示に潜む“落とし穴”
まず、投資の収益(リターン)ですが、これは1年間あたりで表示すると決まっています。ただし、ネット証券などで実績として表示されるリターンはこれではなく、買ったときの金額に対してどれだけ価値が増えたかを示しています。
つまり、3年前に買ったもので30%と表示されていたら、リターンは1年間あたりに直して表記する必要があります。SNSを見ていると、買った値段に対して今日の値段がどれだけ増えたかを「リターン30%!」などと投稿しているケースを見ますが、これでは誤解を招きかねません。3年で30%の上昇なら、1年間あたりでは3で割って(正しくは、1/3乗ですが、ここでは簡易的に3で割ります) 、「3年間の年平均リターンは10%」と表現すべきです。
投資信託などの期待リターンや実績リターンは、すべてこのように年率換算した数値なので、それと3年間のリターン30%を比べて「すごい!」と言うのは、ナンセンスです。
具体的に例を挙げて見てみましょう。たとえば、100万円を投資して3年で130万円になったとします。リターンは、130−100=30万円ですね。これは確かに元金100万円の30%です。
しかし、リターンは1年間あたりで表すので、30/3で10%です。リターンは年平均10%ということになります。この年平均という言葉は、当たり前なのでいちいち書かないことが多いです。そのため知らない方も多いのですが、投資で表示するリターンは必ず年間のリターン表示にする、と覚えておいてください。
「期待リターン」とは何か?
投資信託などで「期待リターン」と表示されているものは、すべて年間リターンの平均を指します。
たとえば20年間運用されている投資信託Aで、期待リターン7%という表示があるのであれば、20年という期間で、1年あたり平均して7%のリターンを確保した、という意味です。あくまでも「平均」なので、年によっては、プラス20%になった年もあったでしょうし、マイナス30%になった年もあったかもしれません。
過去に平均して7%リターンを上げられたのであれば、これからも年平均7%のリターンを上げられるだろう、と投資の世界では考えます。そのために、期待リターン7%という言い方をします。
リスクとは、“期待リターンからのブレ幅の平均”
では、投資におけるリスクとは、どのようなものでしょうか? リスクというと、一般的には、損失をこうむるリスクなどマイナスになることを指すと思います。しかし投資におけるリスクはそれとは異なり、期待リターンが取れるかどうかの「不確かさ」のことを指します。
「不確かさ」とは耳慣れない言葉だと思いますので、これも詳しく見ていきましょう。
先ほどの投資信託Aは、期待リターンが7%でした。年によっては、プラス32%になった年も、マイナス18%になった年もありました。このときそれぞれの年は、期待リターンより25%高かった(32−7=25%)、25%低かった(−18−7=−25%)という言い方をします。
別のある年には、期待リターンより20%高かった、またある年には10%低かった、としましょう。この4つの年の「期待リターンからブレた度合い(%)の平均」は、(25+25+20+10)/4で、20%になります。この20%をリスクと呼ぶのです。
このようにリスクとは、期待リターンから実際のリターンが外れた幅の平均(%表示)を指します。
⾼⾐ 紗彩
株式会社ミッション・ミッケ人生デザイン研究所 代表取締役
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