最高月収150万円・70歳の元エリートサラリーマン「ぶざまだな…」と自虐…勝ち組確定のはずが一転、「日雇いバイト」を探すしかない「まさかの実情」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月27日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
60歳を定年年齢と定める企業が多いなか、そこで現役を引退するか、それとも継続するかは、選択次第。定年で仕事を辞められるのは、その先、お金の心配は一切ない「勝ち組だけ」といえるでしょう。しかし、定年で現役を引退したからといって「勝ち組確定」というわけではなさそうです。
何歳まで働きたい?今と40年前と比べてみると
2013年、高年齢者雇用安定法の改正よって「60歳未満の定年」が禁止となり、さらに「高齢者雇用確保措置」として、「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかを実施し、2025年4月からは「65歳までの雇用確保」が企業の義務となります。
さらに2021年4月には「70歳までの就業機会を確保」を目的とする「高年齢者就業確保措置」を追加。「70歳までの定年引き上げ」「定年制の廃止」「70歳までの継続雇用制度の導入」「70歳まで継続的に従業員と業務委託契約を結ぶ制度の導入」「70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入」のいずれかを講じることを努力義務としています。
ちなみに継続雇用制度は大きく2つ。「勤務延長制度」は定年になっても退職扱いにはせず雇用を続けるもので、賃金や職務内容は大きく変わりません。一方、「再雇用制度」では従業員は一度退職扱いとなり退職金が支払われたあと、新しい雇用契約を交わします。その際に契約社員や嘱託社員扱いとなり、給与が減ったり職務内容が変わったりするのが一般的です。
定年を60歳としたまま、いつまで働くかは個人の判断に委ねられるようになってきましたが、では会社員は「何歳まで働きたい」と考えているのでしょうか。世論調査の結果をみていくと、「65歳まで」で過半数に到達。「70歳以上」はおよそ2割です。
ちなみに55歳定年が主流だった40年ほど前の同じような調査をみていくと、「60歳まで」で4割ほどだったものの、半数を超えるのは今と変わらず「65歳まで」。さらに3割は「働ける限りずっと」と回答していました。
【何歳まで働きたいですか?】
※内閣府『生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)』
・50歳以下…7.8%
・51歳~60歳…14.8%
・61歳~65歳…28.5%
・66歳~70歳…21.5%
・71歳~75歳…11.4%
・76歳~80歳…6.1%
・81歳以上…3.6%
※内閣府『勤労者の老後の生活設計に関する世論調査(昭和56年8月調査)』
・50歳くらい…8.2%
・55歳くらい…10.9%
・60歳くらい…25.3%
・65歳くらい…12.0%
・70歳くらい…3.5%
・働ける限りずっと…33.3%
・その他…1.9%
・わからない…4.9%
アプリで日雇いバイトを見つける「70歳男性」の身に起きたこと
現役引退のあとは収入が大きく減るため「生活していけるか」という不安がつきまといます。そのような不安とは無縁であれば定年で現役を引退できるでしょうし、不安があるのであればその払拭のために現役を続けるしかありません。結局「何歳まで働きたいか(働かないといけないのか)」というのは、今と昔、それほど変わっていないのかもしれません。
定年で現役を引退できるのは、十分な貯蓄があり、定年後の生活に何も心配がない人だけ。煩わしいしがらみから解放され、お金の心配がなく、自由気ままな日々を送る……そんな、何とも優雅な定年後の生活は、サラリーマンの勝ち組だけに許されたものです。ただそんな生活を手に入れたからといって、全員が優雅な生活を続けられるとは限りません。
単発バイトで70歳の男性と一緒になったという健吾さん(仮名・22歳)。40歳以上も上の男性は、この日、初めて日雇いのアルバイトを体験するということで、右も左もわからない状態。そこで何かとお世話をしていたところ、70歳の男性の身の上話になったといいます。
ゆたかさん(仮名・70歳)は、有名企業の本部長にまでのぼりつめたという元・エリート。「えっ、スゴイ! どれくらい給料もらえるもんなんですか?」と、無邪気に聞いたところ、「最高で月150万、年収で2,500万円くらいかな」と桁外れな回答が返ってきたといいます。
50代後半で役職定年となり、60歳で定年退職。退職金は4,000万円ほどあり、独身でお金を使うような趣味もなかったため、貯蓄と合わせると億を超えたといいます。
将来を見据えてマンションをキャッシュで買い、それでもなお十分すぎる貯蓄があったといいます。
――そんな貯蓄もほとんど残っていないけどね
――(んっ、老後も余裕だったはずなのに)
定年で現役を引退したはずなのに、その10年後、なぜ日雇いバイトをしているのか。話を聞いていくと、「女の子に入れこんじゃって」とゆたかさん。
アプリを通して出会ったというのは、大学進学を目指して学費を貯めるために働いているという20代女性。会って食事をするたびに、数十万円のお小遣いをあげていたといいます。ほかにも受験に向けた特別講習代として数十万円、さらには学費として数百万円、大学近くに家を借り新生活を始めるために数百万円と渡していき、気づいたら、数千万円を出費。
――(交際は)順調だと思っていたんだけど、急に連絡が取れなくなってね、お別れしたのさ
――ほんと、ぶざまだよな
とゆたかさんは寂しそうに語りますが、
――話を聞く限り、付き合ってない。失恋ではなく詐欺だと思う(いわないけど)
――仕事一筋だったから、女性と付き合ったことはほとんどないというし
結局、万が一のときのための貯蓄・5,000万円ほどをほとんど失ったという、ゆたかさん。年金が月20万円ほどあり、毎日、暮らしていくには十分だといいますが、「何かあったときに対応できない」と、10年ぶりに働くことを決意。ちまたで話題になっているアプリを活用して、まずは日雇いバイトに挑戦してみたという顛末でした。
警察庁『令和6年6月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』によると、2024年上半期、詐欺の認知件数は5,068件。被害総額は約660.2億円で、昨年より500億円以上増加しています。SNS型ロマンス詐欺に限ると、認知件数1,498件、被害総額153.9億円。被害者350人のうち、65.7%が男性で、その4割弱が60代以上です。あくまでもSNS型ロマンス詐欺に限ったものなので、恋愛絡みの詐欺事件、さらに認知されていないものも含めると、相当数にのぼると考えられます。
また法務省『令和5年版犯罪白書』によると、詐欺の認知件数は3万7,928件。近年、高齢者をターゲットとした特殊詐欺による被害が増加しているといいます。
勝ち組が一転、思わぬ事態で転落することもゼロではありません。詐欺にしてもほとんどの被害者は「まさか自分が被害にあうなんて思ってもいなかった」と語っています。特に定年とともに現役を引退した勝ち組は、確実にお金のある絶好のターゲット。「自分は大丈夫」と過信せず、自分事として注意を払うことが重要です。
[参考資料]
内閣府『生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)』
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