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お金が増えない人ほど陥りがち…住宅ローンなし・50代夫婦「預貯金2,000万円あるから安心」のはずが、“老後資金に大誤算”のリスク【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月18日 9時15分

お金が増えない人ほど陥りがち…住宅ローンなし・50代夫婦「預貯金2,000万円あるから安心」のはずが、“老後資金に大誤算”のリスク【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、物価高騰などの影響を受けて「老後資金3,000~4,000万円が必要」とも言われています。もちろん、必要な金額は人それぞれ異なりますが、「ひとまず預貯金2,000万円貯めたから大丈夫」などと思っている方は要注意です。一見余裕があるように見えますが、思わぬ「落とし穴」が待ち受けている可能性があります。本稿では、自身も貯金ゼロから4年間で1,000万円貯めた経験を持つファイナンシャルプランナーの櫻井かすみ氏が、現実に起こり得る「老後資金リスク」について解説します。

老後資金をコツコツ堅実に貯金しても、全く安心できない理由

「老後2,000万円問題」ではなく、「老後資金4,000万円不足する時代になる」というニュースが話題になっています。これは、2019年に話題になった「老後資金2,000万円不足問題」を例に、物価上昇率3.5%が20年続いた結果、実際には老後資金が4,000万円不足するというシミュレーションです。

大切なのは、必ずしも「4,000万円貯めなければならない」というわけではなく、今の時点で自分が将来いくら必要になるのかを理解し、そのためにお金をどこに置くかを考えることです。

例えば、50代の夫婦がコツコツと貯金を続けてきたとします。子どもは独立し、老後を考える年代です。贅沢はできないかもしれませんが、温泉や旅行を楽しむ安定した老後を思い描いているでしょう。65歳までに退職金も含めて2,000万円の預貯金ができ、さらに働くつもりで安心しているかもしれません。しかし、そこには「思わぬ落とし穴」があるのです……。

事例:

・一郎:58歳・会社員、和子:55歳、パート

・長男:27歳、長女:25歳(ともに独立)

・一郎さんが65歳時点の預貯金は退職金含め2,000万円

・住宅ローンなどの借金はなし

老後2,000万円では不足する“本当の理由”

一郎さん夫婦は、金融庁のワーキンググループが報告書で示した「老後資金2,000万円問題」について認識していました。「借金もないし、65歳までに預貯金が2,000万円あれば安心」と妻の和子さんとも話していました。

一郎さんは、仕事一筋で真面目に働いてきたため、お金の管理は妻に任せっきりでした。「預貯金で2,000万円あれば大丈夫だろう」と深く考えていなかったのです。大学卒業後に就職し、出世とまではいかなくても、コツコツと真面目に働いて安定した収入を得てきました。このまま定年まで働き続ければ、65歳の頃には退職金を含めて預貯金が2,000万円を超えるだろうと楽観視していたのです。

金融投資に関しては、「元本割れのリスクがあるくらいなら、預貯金が一番安全だ」という考えです。ニュースなどで詐欺や株価暴落の話を聞くたびに、「投資なんてお金持ちのやることだ。わざわざリスクを背負う必要はない」と妻に話していました。金融投資=リスク、株=怖いもの、銀行=安心という思い込みから、投資は選択肢に入っていませんでした。

預貯金が安全な時代はとっくに終わっています

しかし、令和の時代、真面目に預貯金をしているだけでは、現金の価値は今以上に下がります。インフレと円安が進む日本では、投資をしなければお金が目減りしてしまうのです。

円安は円の価値が下がること、インフレは物やサービスの価格が上がることを意味します。ここ1~2年で物価が凄まじいスピードで上昇しており、今後もこの傾向が続くと予測されています。生活必需品の値上がりにより、私たちの支出も増加するでしょう。

その結果、現金の価値がどんどん下がり、数年後には同じ100円で買えるものが減る可能性が高くなります。現金を持ち続けることが不利になるのです。

老後資金は「預貯金だけでは不足」……できる対策は

預貯金だけで老後を乗り切るのは難しいです。インフレが続くと、現金の価値が下がり続けるためです。例えば、インフレ率が年2%上昇すれば、20年後には100万円が約67万円の価値になってしまいます。

したがって、インフレに強い資産を持つ必要があります。一般的に、インフレ時には企業の業績が向上し、株価が上がる傾向があります。そのため、株などの金融商品を保有することでリスクを軽減できます。これまで日本は30年以上デフレが続いていたため、現金が強く預貯金だけでも問題ありませんでした。

今の日本ではインフレに強い投資信託や不動産の比率を高めることが重要です。もちろん、一気にすべてを投資信託に変える必要はありません。無理のない範囲で、少しずつインフレに強い資産にお金を移していくことが大切です。

このように考えると、「預貯金2,000万円で大丈夫」という考え方がいかに危険かがわかります。コツコツ貯めたお金だからこそ、時代に合わせた資産運用を考え、少しずつ増やしていくことが大切です。将来を見据え、資産が目減りしないようしっかり対策を立てていきましょう。

ファイナンシャルプランナー

櫻井かすみ

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