1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

〈可処分所得〉を増やしたいなら…「家を買う」よりも「会社名義で借りた家に住む」が正解といえるこれだけの理由【税理士・公認会計士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月14日 9時15分

〈可処分所得〉を増やしたいなら…「家を買う」よりも「会社名義で借りた家に住む」が正解といえるこれだけの理由【税理士・公認会計士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

支払う税金は1円でも少ないほうがいい……個人・法人にかかわらず、そのように考える人は少なくないでしょう。そこで、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏が、可処分所得を増やすための、税金対策手法を解説します。

不動産の名義…“個人”と“法人”どちらが得?

――経営者のなかには、資産を購入する際、個人で持つか法人で持つかで悩む人も多いと思うのですが、実際のところどうなんですか?

黒瀧氏(以下、黒)「基本的には法人で資産を持ったほうがメリットは多いですね」

――それはなぜなんでしょうか?

黒「法人名義で購入すると、個人で購入するよりもトータルで用意するお金が少なく済むんです。かなり単純化して話しますが、たとえば1,000万円の資産を購入するとしましょう。

所得税と住民税が合わせて税率50%だった場合、1,000万円の資産を購入するためには役員報酬を2,000万円出さなければいけません。

しかし、法人名義で買う場合は所得税や住民税を考えなくても良いので、用意するお金は1,000万円で済むんです」

――なるほど、個人の税金を考えると、法人で購入したほうが安く済むんですね。

黒「さらに、法人の場合は資産の購入費用や維持費などを経費として計上できます」

――会社の節税にもつながるんですね。それを聞くと、法人で買わない手はないですね。

黒「ただし、資産を購入する際にはまとまったキャッシュが必要になるほか、資産ごとにデメリットも存在します」

不動産を法人で買うメリット

――ではまず、不動産を法人で持つメリットとデメリットについて教えてください。

黒「法人で不動産を購入すれば、減価償却費や不動産に関連する費用を経費にできます。不動産には修繕費や固定資産税などの費用が購入後にもかかってきますが、こういった費用をすべて経費計上して、法人の利益を大きく抑えることができるわけです」

――なるほど、不動産を法人で購入するだけで、法人の節税対策になるんですね。

黒「ええ。くわえて、購入した物件を経営者自身が借りると家賃が発生しますが、その金額を低く設定することができます」

――これはどういうことなのでしょうか?

黒「こちらについては役員社宅制度という制度を活用します。役員社宅制度とは、会社で購入または賃貸契約をした物件を役員に貸し出すことで、役員が制度のなかで決まっている家賃に相当する金額を毎月支払うだけで物件を借りられる制度です」

――家賃に相当する金額っていうのはどう決まるんですか?

黒「こちらは物件によって変わってきます。ただ、基本的には物件の価値を考えて実際に払うべき家賃の半分以下になることが多いです」

――つまり高くても半額の家賃で家を借りられるということですか。物件の購入費などを会社の経費にできるうえ、家賃も安くなるなんてありがたいですね。

黒「ただし、あまりに広い物件や豪華な物件の場合は役員社宅制度の適用外になる可能性があるので注意が必要です」

不動産を法人で買うデメリット

――続いてデメリットについて教えてください。

黒「はい。法人が不動産を購入するデメリットとしては、土地代は経費にすることができないということが挙げられます」

――あくまで経費にできるのは建物だけということですか?

黒「そうなんです。土地は建物と違い、耐用年数の概念が存在しないため、資産価値が減らないものとして扱われます。結果、土地は減価償却されない資産として計上することになるので、経費にすることができないんです」

――なるほど、では建物と土地を合わせて購入した場合、全額を経費にすることはできないんですね。それは残念です。

黒「もう1つのデメリットは、経営者が住む前提で不動産を購入した場合、将来経営者本人が亡くなった後に家族がそのまま住み続けられない可能性があることです」

――どういうことですか?

黒「会社で保有していた物件に社宅制度を利用して住んでいた場合、経営者が亡くなった時点で社宅制度が利用できなくなるので、家族がそのまま住み続けることができなくなる可能性があります。

家族が会社を引き継いで経営者になるのであれば、再度社宅制度を利用することで住み続けることができますが、そうでない場合は注意が必要です」

――それは結構な問題ですね。

黒「そのため、法人名義で経営者自身が住む物件を購入する場合は、あらかじめ経営者個人と会社の間で賃貸借契約書を締結しておくなどの対策が必要になります。

こういったデメリットを考えたくないのであれば、物件を購入するのではなく、会社で賃貸契約をして、経営者個人に貸し出すのがおすすめです」

――そうすると物件を購入するのとは何が変わるんですか?

黒「会社で物件を賃貸契約した場合、購入したわけではないので物件の購入費や維持費等を経費にすることはできなくなります。しかし、代わりに物件の家賃と、経営者から徴収する金額の差額を損金として計上できるようになるんです」

――つまり最低でも家賃の半分は損金にできるということですね。家賃は毎月支払うものなので、年間を通すと結構な金額を損金にできそうです。

黒「また、会社が負担する金額の分だけ役員報酬を抑えることで、経営者個人の所得税や住民税、社会保険料を抑えることが可能です。社会保険料が抑えられると折半している会社の固定費も減るので、結果的に手元に残せるお金が増えることになります」

――見た目の役員報酬が減っても、経営者個人が使えるお金は逆に増えることになるんですね。会社の固定費も減っていいことづくめですね。

黒「それに、会社で賃貸契約する物件を変えていけば、経営者自身のライフイベントに合わせた物件に住むことが可能です」

――物件購入よりも柔軟な対応性が高いということですね。そう考えると、会社で賃貸した物件に住むのが良さそうですね。

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください