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年金は65歳でもらっていればよかったよ…年金増額で月30万円・72歳で引退のサラリーマンが「年金の繰下げ受給」を悔やむ理由

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月3日 10時15分

年金は65歳でもらっていればよかったよ…年金増額で月30万円・72歳で引退のサラリーマンが「年金の繰下げ受給」を悔やむ理由

(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の生活を考えるうえでも重要なのが年金。夫婦共働きであれば、受取額も十分で、何の心配もなさそうに思えますが、絶対安心というわけではなさそうです。

年金の繰下げ受給…自営業者でも「年金だけで暮らせる」が可能に?

内閣府が行った調査によると、「年金」を中心に老後の生活を設計している人が9割弱に及びます。圧倒的多数の人が老後、年金が頼りというわけです。

そこで「できれば年金だけで生活できれば……」と考えるでしょう。その思いに応えるものとして注目されるのが「年金の繰下げ受給」です。

これは原則65歳から受け取れる老齢年金を、66~75歳の希望するタイミングで受取り開始とできる制度。1ヵ月遅らせるごとに、65歳で受け取る年金額が0.7%ずつ増額。75歳まで受給開始を遅らせると、年金受取額は1.84倍となり、それが一生涯続きます。

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢厚生年金受給者の平均受取額は併給の老齢基礎年金と合わせて月額14万4,982円。老齢基礎年金のみ受け取る人たちの平均は月額5万6,316円です。これが65歳で受け取る年金だとすると、70歳で受取り開始だと、厚生年金受給者は月20.5万円、国民年金受給者は月7.9万円に。75歳で受取り開始だと、厚生年金受給者は月26.6万円、国民年金受給者は10.3万円に。大きく増やすことができます。

【繰下げ受給した場合の各年齢の受取額】

65歳:14万4,982円/5万6,316円

66歳:15万7,160円/6万1,047円

67歳:16万9,339円/6万5,777円

68歳:18万1,517円/7万0,508円

69歳:19万3,696円/7万5,238円

70歳:20万5,874円/7万9,969円

71歳:21万8,053円/8万4,699円

72歳:23万0,231円/8万9,430円

73歳:24万2,410円/9万4,160円

74歳:25万4,588円/9万8,891円

75歳:26万6,767円/10万3,621円

ライフスタイルや家族構成などによりますが、自営業の場合は原則、保険料を40年間払って満額受給となる老齢基礎年金のみ。令和6年度、満額支給で6万8,000円です。これだけで暮らしていくとなると、なかなか難しいですが、仮に75歳まで繰り下げると、12万5,120円。ちょっとした希望が見えてきました。

年金の繰上げで「受取額は月30万円に」…それでも後悔してしまう理由

このような、1ヵ月あたりの受取額を増やすことのできる「年金の繰下げ受給」。年金への依存度の高い高齢者にとって、生活を安定させられると、昨今は選択する人が増加傾向。2022年、老齢厚生年金の受給権者2,746万3,864人のうち、繰下げ受給者は37万4,481人。選択率は1.3%。この5年で18.4万人、割合で0.6ポイント増加しています。

――よし、この流れに乗って自分も

そう短絡的に決めるのは、考えもの。年金の繰下げ受給を選び、72歳から年金を受け取り始めたという伊藤明さん(仮名)。「もともと働けるうちは働くつもりだった」という伊藤さん。学校を卒業して以来40年間勤めていた会社は60歳で定年。雇用延長制度で65歳まで働いたのち、知り合いの会社で非正規として7年間働きました。

65歳で受け取るはずだった老齢年金は18万円。72歳まで繰り下げたことで、受取額は1.588倍に。さらに65歳から72歳まで働いたことで、年金はさらに増え、受取額は30万円を超えるといいます。年金の手取り額は額面の85~90%といわれていますが、伊藤さんの受取額も月25万円を超えるとか。これだけの年金があれば、もちろん「年金だけで暮らせる」といっても過言ではありません。

――仕事を辞めたら、釣りに行ったり、たまに温泉なんか行ったりして、のんびり過ごしたいと考えていたんだよね

そんな夢を仕事を辞めた今、かなえているのかといえば……まったくそんなことはないといいます。実は伊藤さん、仕事を辞めたのは持病を悪化させて、仕事を続けるのが困難になったから。

――月・水・金は病院に行かないといけないから、とても泊まりがけでどこかに行こうという気にもならない

医療費については十分な貯蓄もあり、また年金が増額になったことで「何の心配もない」といいます。「お金の心配がないことは幸せなこと」というものの、働き続けたこと、年金の繰下げをしたことについては、正解だったのかどうかわからないといいます。

――年金なんて増えなくてもいいから、65歳で受け取って、趣味なりなんなり楽しめばよかったよ

もちろん、その選択が最良だったのかも、結局のところわかりません。確かなのは「年金の繰下げ受給」を選択をして、「本当によかった」と喜んでいる人もいれば、伊藤さんのように「やめればよかった」と後悔している人もいるということ。それぞれの声に耳を傾け、決断するしかないようです。

[参考資料]

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

日本年金機構『年金の繰上げ・繰下げ受給』

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