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28歳・大卒男性「社会人になってから年収300万円を超えたことが1度もないんです」…令和の日本に生きる“ワーキングプア”の実態【座談会ルポ】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月28日 11時15分

28歳・大卒男性「社会人になってから年収300万円を超えたことが1度もないんです」…令和の日本に生きる“ワーキングプア”の実態【座談会ルポ】

(※写真はイメージです/PIXTA)

増えない給与に止まらぬ値上げ、さらには地震や酷暑、豪雨などなど……考えはじめるとキリがない生活への不安。こんな“生き辛い”現代の日本で暮らす20代~50代の男女4人に、それぞれの生活状況や経済的事情について“赤裸々”に語ってもらいました。ルポライター増田明利氏の著書『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社)より、詳しくみていきましょう。

貧困にあえぐ現役世代…20代~50代の男女4人による座談会

<参加者プロフィール>

■平井伸浩(28歳)

大学卒、派遣社員。大学卒業後に外食産業に就職したがブラック度が高い会社だったため、約2年で退社。アルバイトを経て派遣会社に登録、携帯電話会社の販売店に派遣され販売と事務処理に従事。

■金沢美幸(35歳)

短大卒、パートタイマー。短大卒業後に印刷会社に就職。28歳のときに結婚し30歳で長男を出産。退職して主婦兼ママで過ごしていたが20年9月から食品雑貨スーパーの半日パートで働き始める。夫は中堅旅行会社の営業マン。

■土屋景子(45歳)

専門学校卒、契約社員。経理・ビジネス系の専門学校を卒業して機械加工会社に就職。寿退職して主婦業に専念していたが結婚生活約15年で離婚。現在は業務請負会社の契約社員で倉庫作業に従事。高校1年生の娘と中学1年生の息子を育てるシングルマザー。

■吉田貴司(53歳)

大学卒、正社員。大学卒業後に建築会社に就職したがリーマンショック後の09年にリストラで退職。以後は職を転々とし16年に食品製造会社に工場作業員として採用される。契約社員を経て正社員になれたが賃金は相変わらず日給月給制のまま。家族は妻と社会人1年目の長男、大学2年生の次男。

──まずは皆さんのお仕事の現状はどんなものでしょう?

平井:今は派遣でして。渋谷にある携帯電話会社の大型店で商品とプランの説明、販売や事務処理を担当しています。

金沢:食品中心のミニスーパーのパートスタッフです。勤務は午前、午後の交替制で1日の就労時間は4時間。フルタイムの仕事を探しているのですが子どもが未就学児だと面接でハネられてばかりです。色々と不満はありますが、とりあえず家計の足しになる収入があるのはありがたいですね。

土屋:業務請負会社の契約スタッフです。家電量販店の物流センターで商品のピッキングや梱包、伝票処理、トラックへの詰め込みなど何でもやらされている。広いセンターを歩き回るので終業する頃には足腰が痛くて大変ですね。

吉田:わたしはコンビニ惣菜などを作っている食品会社の工場でコロッケを揚げたり野菜をカットしたりする作業をやっています。つまらない仕事ですよ。

“ボーナス”はわずか3,000円…それぞれのリアルな懐事情

──収入的にはいかがですか?

吉田:安いですよ、何たって日給9,200円ですからね。4週6休、残業20時間でも月収は25万円で、賞与は出るけどわずかばかりの金額です。この10年は年収320万円がやっとです。

土屋:わたしは日給月給で働いています。4月に賃上げがあったけど1時間単価で見たら15円上がったぐらいでした。月収はやっと20万円というレベル。生活は楽ではありません。

平井:自分も基本的には時給です。アルバイトよりは高くて時給1,460円。月収は23万円前後ですね。わたしは社会人になってから1度も年収が300万円を超えたことがないんです。やっぱりワーキングプアだと思います。

金沢:わたしの場合は夫の扶養の範囲内で働きたいので年収は100万円までと決めているんです。月収だと約8万円ですが、今はこれで満足です。子どもに手がかからなくなったらフルタイムの仕事に復帰するつもりですが。

吉田:今はこれで仕方ないと思っているけど、それでも彼我の差は感じますね。特にボーナスシーズン。日経新聞に大手の平均妥結額が89万円って載っているのを見たときは溜め息しか出てこなかった。

平井:わたしは今まで1度もボーナスをもらったことがないです。公務員や大手企業の人はいいなあって思いますよね。

土屋:募集案内にミニボーナスありって載っていたので期待していたけど、金額は3,000円でしたね。5年働いているけどこの夏は7,000円、力が抜けますよ。

金沢:短時間パートなので寸志も出ない。夫は正社員で管理職だけど金額は大手企業の3分の1ぐらいですかね。

吉田:それだけあればたいしたものだと思うよ。

お金がないと疲れます…幼いころから「貧困層」であると自認

──皆さんはご自身をワーキングプア、貧困層だと自嘲気味におっしゃいますが、どんなときにそう感じるのですか。

平井:思春期からずっと思っています。高3のとき、同級生に大学に行くには金がかかるなあって言ったら、そいつは怪訝そうな顔で、普通その金は親が出すものだろって言ってきたので悔しくなりました。大学は奨学金とアルバイトで何とか卒業できたけど、教科書すらろくに買えず図書館で読んでいました。ゼミの研修旅行や卒業旅行も断るしかなかったので、やっぱり惨めでした。

金沢:わたしも子どもの頃から薄々感じていました。ずっと県営の古い団地アパート住まいで年寄りと品のない人が多くて、友だちに家どこ? って聞かれても恥ずかしくて本当のことを言えなかった。

吉田:生活のあらゆる場面で感じます。体調が悪かったり奥歯の詰め物が取れたりしても、まず頭に浮かぶのは病院代のこと。年末に町会の人が来て歳末助け合いの募金を求められても払いたくないし。家族全員が出払っているのにウォシュレットの電源が入ったままだったらもったいなあって思う。

土屋:一昨年に坐骨神経痛になりまして。整形外科の先生に身体に合うコルセットを作った方がいいと言われたんですが、自費で4万円ぐらいと言われて諦めました。ドラッグストアで売っている既製のコルセットで誤魔化しましたよ。

金沢:お金がないと精神的に疲れますよね。

土屋:四六時中、節約のことを考え、あれは我慢、これも我慢という生活だと息苦しくて、耐えるのはしんどいものね。

(一同苦笑いで頷く)

参加者の「最近の大きな出費」の共通点

──最近の大きな出費は何ですか。

吉田:去年は次男が大学に進学したのですが、そのときの納入金です。入学金と授業料、施設費など合計で130万円。最初の費用は払ってやるがあとは自分で半分ぐらい工面してくれと言ってある。

土屋:うちも子どもの学校に係わる出費が大きい。県立高校、市立中学なので学費は必要ない。だけど制服、体操服、修学旅行の積立など払わなきゃならないから。

金沢:どれくらい必要なんですか?

土屋:娘の制服は夏服と合わせて2万8,000円。体操着と運動靴で6,000円ほど。息子もほぼ同じ金額でした。修学旅行の積立は2人で月1万7,000円。高校、中学と同時進学だったから郵便定額貯金を解約しました。給食費も上がるって通知があったし。

金沢:今の段階から備えておかないとまずいですね。

平井:自分は奨学金の繰上げ返済ですね。6回分で約8万円だった。

吉田:教育費ってのは聖域的なものだけど本当に高いと思う。

土屋:塾代、模擬試験の費用も必要だし習い事も。子どもたちからいくつもお稽古事や習い事をしている同級生がいると聞くと、申し訳ないなあと思う。子どもの才能や可能性を伸ばすのが親の役目だし、そういうことをやってあげられないのは親としてつらいものがある。

吉田:クラブ活動にもお金が必要だしね。うちは、上の子は高校で硬式野球をやっていたけどユニフォーム、練習着、その他の用具代を合計すると10万円ぐらい必要だった。練習試合の交通費もあったし。下のは中学から吹奏楽部だったけどフルートを買うのに4万円必要だったからね。

平井:わたしは貧乏なのが分かっていたからお金の必要ないことしかやりませんでした。中学は園芸部で、高校では帰宅部でアルバイトをしていました。やりたいことをやれる人が羨ましかったです。

増田 明利 ルポライター  

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