次女「もう私を頼らないで」と言い残し音信不通。途方に暮れる〈年金18万円・要介護の父〉、海外在住の長女に救いの電話「すまん、助けてくれ」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月7日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
いずれ、多くの人が経験することになる「親の介護」。仕事と両立させる人も多く、その数は300万人強にもなります。仕事だけでも大変なのに、そこに介護も加わり、さらに「親のわがまま」も加わると……。
仕事と介護を両立…50代後半~60代前半で10人に1人
総務省『令和4年就業構造基本調査』によると、「仕事をしている人(有業者)」6,706万人に対して、「介護もしている人」は364万人。また「仕事が主の人」5,583万人に対しては「介護もしている人」は274万人。おおむね「仕事と介護を両立させている人」は5%ほどといえる状況です。
さらに年齢別に仕事と介護の両立させている人の割合をみていくと、50代後半~60代前半がピークとした山なり。このあたりが「親の介護」に携わる人のピークだといえそうです。
【年齢別「仕事と介護を両立させている人」の割合】
15~19歳…1.29%
20~24歳…1.23%
25~29歳…1.28%
30~34歳…1.45%
35~40歳…1.93%
40~44歳…2.69%
45~49歳…4.34%
50~54歳…7.84%
55~59歳…11.24%
60~64歳…10.47%
65~69歳…7.00%
70~74歳…3.96%
75歳以上…3.54%
さらに都道府県ごとにみていきましょう。仕事と介護を両立させている人の割合が最も高いのは「京都府」で6.09%。「富山県」「鹿児島県」「島根県」「岩手県」と続きます。一方で、割合が最も少ないのは「石川県」で4.07%でした(関連記事:『【ランキング】都道府県別「介護と仕事を両立している割合」1~47位…〈令和4年就業構造基本調査〉』)。
【都道府県別「仕事と介護を両立させている人」の割合】
1位「京都府」6.09%
2位「富山県」5.85%
3位「鹿児島県」5.79%
4位「島根県」5.77%
5位「岩手県」5.62%
--------------------------------------
43位「神奈川県」4.58%
44位「静岡県」4.53%
45位「群馬県」4.37%
46位「千葉県」4.35%
47位「石川県」4.07%
内藤幸子さん(仮名・51歳)の妹、英子さん(47歳)もそう。現在、長女である幸子さんは海外に住み、一方の次女の英子さんは実家の隣の市、車で1時間ほどのところに住んでいます。実家で1人暮らしをする78歳の父親が足を骨折をしたのを機に要介護となったのは半年ほど前のこと。以来、英子さんが仕事の合間、父親の介護に通っているといいます。
子どもが介護をするのを当たり前だと思っている「要介護の父親」だったが
仕事と介護を両立する妹の英子さん。海外に住んでいるため、父親の介護を100%任せっきりなのは仕方がないことと、割り切るしかないと幸子さんは感じていたといいます。
そんなある日、英子さんからメールが。
――お父さんのところに行くのに、毎回お金を請求してもいいかな
思わず「えっ!?」と思ったという幸子さん。メールを読んでいくと、
・仕事と介護の両立はキツイ
・実家に行くたびにちょっとした買い物を頼まれるが、その代金は英子さんが立て替えている
・実家に行くたびに掃除をしたり、食事の用意をしたりと家政婦扱い
・ヘルパーさんにはお金を払うが英子さんにはゼロ円、感謝の言葉もない
・実の親だからと我慢してきたが、そろそろ限界。お金をもらわないとやってられない
確か父親は年金を月18万円程度受け取り、資産運用がうまくいったとかで、貯蓄も結構あると記憶しています。しかし父親は昔からケチな性格なうえ、「家事は女がやるもの」という考えが強いことも知っていました。英子さんへの対応は父親であれば想像の範囲。仕事もしながら父親の相手もするのは、大変だよな……幸子さん、納得でした。
「全然いいと思う」と返信をしたあとは、特に英子さんからの連絡はなく、折り合いがついたのだと思っていましたが、それから1ヵ月ほど経ったころ、今度は父親から電話が入ったといいます。
――すまん、助けてくれ
――英子と連絡がつかないのだが……
数日前、英子さんと大喧嘩となり、「もう私を頼らないで!」といって帰ったきり、どんなに電話をしても、メールをおくっても、英子さんと連絡が取れないと父親。自宅に電話をすると英子さんの夫や子どもたちは出るので、意図的に無視しているのは明らかでした。父親の話を聞いていくと、英子さんから父親にお金の話があったそうですが、「親不孝者」と一蹴したのだとか。
父親からの電話を切った後、英子さんに連絡をしてみると、すんなりと繋がりました。やはり「もう限界、もう無理」とご立腹。
――もうお父さんの面倒は、絶対にみないから
そう宣言した英子さん。こうなったら、テコでも動かないことは幸子さんも知っています。父親は家族には強い態度ででられるものの、他人には何もいえない性格。そのため、英子さんに依存していた部分もあったのでしょう。せめて感謝の気持ちを伝えていれば、こじれることはなかったのに。
幸子さんも父親の介護を任せっきりだったことを少し反省。父親に「もう英子には頼れないよ。それでも自宅で生活する? それとも施設に入る?」と二択を迫ったといいます。家族に頼れないなか、自宅での生活は不安だと吐露した父親。一度帰国し、施設探しの手伝いは幸子さんがしようと考えているといいます。
[参考資料]
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