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〈退職金計3,200万円〉の60代夫婦、定年祝いに〈豪華クルーズ旅行〉を楽しんでいたが…悠々自適な老後が「70代夫婦との出会い」で一変、「老後破産」に怯えるようになったワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月7日 8時15分

〈退職金計3,200万円〉の60代夫婦、定年祝いに〈豪華クルーズ旅行〉を楽しんでいたが…悠々自適な老後が「70代夫婦との出会い」で一変、「老後破産」に怯えるようになったワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

定年と同時に仕事を辞める人は、1~2割とされています。その少数の人たちは、綿密なプラニングのもと「よし、これならお金の心配はなし」となった、いわゆる勝ち組。しかし、綿密なプランニングも完璧というわけではなさそうです。

60歳定年で仕事辞められるかどうかの判断基準

――何歳まで働きたいですか?

定年間近の50代に聞いたところ、「51~60歳」が23.7%、「61~65歳」が32.7%、「66~70歳」が19.1%、「71~80歳」が14.0%、「81歳以上」が2.0%でした。

では「その年齢まで働きたいと思うのはなぜか?」を聞いたところ、「生活の糧を得るため」が最も多く83.4%と圧倒的。次に「いきがい、社会参加のため」で43.2%。「健康にいいから」26.6%、「時間に余裕があるから」11.5%、「定年退職の年齢だから」10.4%と続きます。

働く理由はひとつでないにしろ、「生活のため」という人が圧倒的です。一方で、「生活ができる目途が経ったら仕事を辞められる」ともいえるでしょう。そのひとつの基準が年金受給が始まる65歳。実際に「何歳まで働きたいか」の問いに対して、半数を超えるのが「65歳」。これは年金受給が始まったら、生活できる目途が立つということの裏返し。

現在、多くの企業で60歳を定年とし、以降は再雇用か勤務延長可、制度に違いはあれど、引き続き働くことができます。おおよそ8割ほどが働き続け、定年で仕事を辞めるのは2割程度と少数派。そして原則、年金受給開始となる65歳を目途に仕事を完全に辞めて年金生活に入る……これがよくあるパターンとなっています。

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 』によると、65歳以上の老齢厚生年金受給者の平均年金額は、男性で16万7,388円、女性で10万9,165円。夫婦共働きであれば月27.5万円ほど、奥さんが専業主婦であれば23.5万円ほど。これだけ年金を受け取れるなら、仕事を辞めても暮らしていける……そう思えるようです。

一方で定年で仕事を辞められる人はどのような人か、考えてみましょう。総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』によると、65歳以上の高齢者夫婦の1ヵ月の平均消費支出は25万0,959円。これを60歳以降の夫婦の1ヵ月の支出とすると、1年で300万円。年金の受取り開始までの5年間で1,500万円が最低でも必要だといえます。

仕事をしていなければ、貯金通帳から毎月25万円、1年で300万円が減っていく……現役時代にはなかった「貯金通帳からお金が減っていくばかり」という現象。そんなストレスに耐えられるだけの貯蓄があれば、60歳定年でスパッと仕事を辞めることができそうです。

厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯のうち、26.4%が「生活が大変苦しい」と回答。さらに「やや苦しい」も合わせると59.0%に達します。前年と比べると、10ポイント以上も上昇。やはり物価高の影響は、公的年金がベースとなる高齢者にはかなりこたえているようです。

定年後の楽しみなんて特にない定年夫婦…「とりあえず、定年祝いに豪華クルーズ旅行」

60歳定年で仕事を辞められる人は、いまや「人生の勝ち組」。そんな人のひとりである、松本博さん(仮名)。妻、順子さん(仮名)とは同い年夫婦で共働き。定年後の生活を考えたとき、貯蓄額、退職金額、65歳から受け取れるだろう年金額を整理。

◆貯蓄額:預貯金や株式等含め1,800万円

◆退職金:博さん2,000万円、順子さん1,200万円

◆65歳からの年金額:博さん18万円、順子さん14万円

これらを加味し「焦る必要はないのではないか」という結論に。ふたりとも60歳で仕事を辞める決断をしたといいます。

ただ仕事三昧の生活を送っていた博さん。「定年後はどうしようか」というのが悩みだったといいます。そこで「時間はあるし、船旅なんてどう?」と、順子さんから提案。確かに、長期休みが取りにくかった現役時代。優雅な船旅など考えたこともありませんでした。「確かに時間を気にしなくてもよくなる定年後だからこそできる旅行だな」と、順子さんの話にのることにしたといいます。

――どうせなら豪華なクルーズ旅行にしよう

40年近く頑張って働いてきた自分たちへのご褒美も兼ねて、背伸びをして豪華クルーズ船の旅に出ることにしたといいます。

参加したクルーズは地中海を20日近く巡るクルーズ船。ひとり300万円という、ゴージャスな船旅です。複数のダイニングにシアター、ライブラリー、カジノ、プールなど、まさに海上の高級ホテル。「人生に一度きりの贅沢」と決め込んで、思い切り奮発したといいます。

そんな豪華な旅の途中、ある日本人夫婦と出会いました。聞けば、松本さん夫婦よりも10年ほど先輩の70代。ただ生き生きとした雰囲気から、実際の年齢よりは10歳、15歳ほど若く見えます。

――若さを保つ秘訣は?

そんな質問をしたとき「毎日の生活を楽しむことね」とニッコリ。毎年2回ほど長旅を楽しみ、ほかは夫はゴルフ三昧、妻は社交ダンスにハマっているのだとか。またガーデニングが夫婦共通の趣味だとか。アクティブすぎる先輩夫婦の話は面白く、クルーズ旅行の間、ほぼ毎日を過ごしたといいます。

クルーズ船で出会った70代夫婦と〈趣味友〉になったが…「お金、足りるのかしら?」

帰国した後も、クルーズ旅行で出会った70代夫婦と会うような間柄に。そして誘われるがままに博さんはゴルフを、順子さんは社交ダンスを始め、どんどんのめり込んでいったとか。

しかし、そこで一抹の不安が。

――このままだとお金が足りず、老後破産をしてしまうのではないか

ゴルフを始めるにあたり、道具を揃えるのにはそれなりにお金がかかりますし、日々の練習にもお金がかかります。さらにコースに出るようになると、もっとお金がかかるようになりました。社交ダンスも同様です。衣装は想像以上に高く、レッスン代もかさみます。

もともと無趣味といえるほどだった松本夫妻。自身の老後の計画では「年金だけでも生活していける」と考えていたものの、余計な出費は想定していませんでした。

【松本さん夫婦の老後計画】

◆65歳時点の貯蓄残高:2,600万円

‐貯蓄+退職金=5,000万円

‐定年のご褒美としてのクルーズ旅行=600万円

‐65歳までの生活費=1,800万円

◆65歳以降の生活費…月27万円

‐年金:夫婦で手取り月27万円

‐1ヵ月の支出:27万円

ただ一度、楽しみを知った趣味を簡単にやめることはできません。またいつまで健康でいられるかわかりませんが、想像以上に長いであろう老後。特に楽しみもなく、淡々と過ごしていくのも、今考えれば苦痛でしかありません。

――お金が足りない分は、働くしかないか……

定年で完全引退したつもりでしたが、松本さん夫婦のスマートフォンには、単発バイトが見つかるアプリがインストールされています。

[参考資料]

内閣府『生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)』

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 』

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