つい手を伸ばしてしまう…DeNA取締役が語った、人々が「ソーシャルゲーム」から“逃れられない”納得の理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月26日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
スマホの普及とともに拡大し、いまなお高い人気を誇るソーシャルゲーム。なぜここまで人々を魅了し続けているのでしょうか。「行動経済学」の視点から読み解いていきましょう。橋本之克氏の著書『世界最先端の研究が教える新事実 行動経済学BEST100』(総合法令出版)より、詳しく解説します。
一度手に入れたら手放したくなくなる心
ソーシャルゲームは、App StoreやGoogle Play、SNSなどで入手するオンラインゲームです。ユーザー同士でプレイすることで、コミュニケーションを図ることもできます。
対戦アクション系、ストーリーのあるRPG系など内容は様々です。2012年に『パズル&ドラゴンズ』が、2018年に『Pokémon GO』がヒットしましたが、今も多くのゲームが登場しており、人気を博しています。プレイは基本的に無料ですが、アイテム購入などの課金もあります。
ソーシャルゲームはスマホの普及が進んだ2010年頃から利用者が拡大し、短期間に急激に普及しました。2018年6月、ゲームエイジ総研は10歳~59歳のアクティブユーザー数は約2,958万人と発表しました。同年齢の人口は7,332万人ですから、日本人の4割がソーシャルゲームを楽しむレベルにまで定着しました。
1日にソーシャルゲームをプレイする時間は1回7分を平均5回、合計35分間だそうです。1日24時間から睡眠などの時間を除いた中では高い割合です。なぜなら、一般的なサラリーマンが自由に使える時間は9時~10時(通勤時間)、12時~13時(昼食時間)、そして18時~24時(帰宅後)の8時間程度に限られるからです。
今はこの可処分時間をゲームのみでなく、SNS利用、動画の視聴などで取り合っている状態です。そのためソーシャルゲームは、1回の所要時間を短くして、隙間時間にプレイできるようにしてあります。
フランスの社会学者ロジェ・カイヨワは、あらゆるゲームは以下の四つの要素の組み合せでできていると主張しています※。 ※ 『遊びと人間』ロジェ・カイヨワ(講談社)
・他人との競い合い「アゴン(競争)」・偶然のハプニングと期待「アレア(偶然)」
・真似をして、なりきる楽しさ「ミミクリ(模倣)」
・非日常感「イリンクス(幻惑)」
ソーシャルゲームにハマる第一の理由
ディー・エヌ・エー(DeNA)の取締役でソーシャルゲーム事業本部長の小林賢治氏は、これらをふまえたソーシャルゲームの魅力を、「社会的関係の中で、自身が介入でき、それによる高度なフィードバック(得るもの)があるエンターテインメント」としました※。 ※ ファミ通AP(https://app.famitsu.com/20120514_64039/)
ロジェ・カイヨワの4項目に従えば、ソーシャルゲームでは以下四つのフィードバックが得られると言えそうです。
・競い合った結果の勝利・予想外の発見
・自分以外になる経験
・日頃と違う特殊な体験
これらだけでも十分に魅力的ですが、さらにソーシャルゲームならではの様々なフィードバックがあります。目に見えるものから見えないものまで多数あります。
具体的には、キャラクターの成長、参加チームの勝利、ゲーム上のステージや地位などです。自分が身につけたプレイのテクニックもその一つです。これらはすべてが自分にとって大切な「保有物」となります。こういった「保有物を手放したくないと思う意識」が、ソーシャルゲームにハマる第一の理由です。
人は何かを保有した時に、それに高い価値を感じて手放したくないと感じるようになります。この心理現象を、行動経済学では「保有効果」と呼びます。この法則を検証するために、ダニエル・カーネマンは以下のような「マグカップの実験」を行いました。
まず、実験参加者の学生をAとBの2グループに分け、Aに大学のロゴマーク入りマグカップをプレゼントします。その後すぐ、Aグループに「いくらなら、Bグループにマグカップを売るか?」と尋ね、Bグループには「いくらなら、Aグループからマグカップを買うか?」と尋ねました。
通常のマグカップは6ドルで販売しているものでしたが、結果の平均は「Aグループ:7.12ドルで売る」「Bグループ:2.87ドルで買う」というものでした。
保有者は手に入れたばかりのものなのに、これを手に入れていない人の評価と比べて「2倍以上高い価値がある」と感じたのです。
人間が本当に合理的だとすると、同じものならば、既に持っていても、そうでなくても価値は同じだと考えることでしょう。
橋本 之克 マーケティング&ブランディングディレクター/著述家
この記事に関連するニュース
-
【吉田輝和の絵日記】止め時を見失う中毒者続出のインフレポーカーローグライク『Balatro』沼にズブズブと沈み込んできた
Game*Spark / 2024年12月20日 20時0分
-
ハマっているスマホゲーム、男性は「Pokémon GO」、女性は?- LINEリサーチ調査
マイナビニュース / 2024年12月17日 14時16分
-
ネトフリ『イカゲーム』シーズン2のお供に!「Francfranc」とのユニークなコラボアイテムは必見
isuta / 2024年12月16日 15時5分
-
ホットリンクグループのNonagon Capital、ゲームプレイヤーをマッチングする次世代プラットフォーム「E-Pal/Balance」へ出資
PR TIMES / 2024年11月30日 13時40分
-
Nonagon Capital、ゲームプレイヤーをマッチングする次世代プラットフォーム「E-Pal/Balance」へ出資
PR TIMES / 2024年11月29日 12時45分
ランキング
-
1船井電機会長の即時抗告を却下 破産手続き巡り、東京高裁
共同通信 / 2024年12月26日 21時52分
-
2企業の新規株式公開伸び悩む…5年ぶり90社割れ、大型上場目立ち新興・中小は見送り
読売新聞 / 2024年12月26日 23時30分
-
3女川原発、営業運転を再開=福島第1と同型で初―東北電力
時事通信 / 2024年12月26日 18時46分
-
42024年の日本経済は“歴史的なことだらけ” 一方で景気回復の実感「全然ない」 課題に「中小企業の賃上げ」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月26日 17時10分
-
5イデコ、加入年齢上限引き上げ=70歳未満に―厚労省方針
時事通信 / 2024年12月26日 20時19分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください