「本当に学生ですか?」思わず突っ込みたくなるほど華々しい経歴を持つ人たちと、どう戦えばいい?就活生が知っておくべき「外資系企業の選考」攻略の秘訣
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月15日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
外資系企業は相対的に見て就職難易度が高い企業が多く、新卒採用の選考レベルも高くなります。長期インターンを経験していればそれはもちろん大いに役立ちますが、それと同等・それ以上の経験を持つ猛者たちと選考を戦わなくてはなりません。本記事では、トテジェニファー麻綾氏の著書『学生がキャリアアップするためのインターンシップ活用術』(総合法令出版)より一部抜粋・再編集して、外資系企業の選考について詳しく解説します。
外資系企業を志望する学生と採用担当者の特色
外資系企業の選考がとにかく早い時期からはじまることは有名なことと思われる。多くの外資系企業は日系企業の選考が開始される数カ月も前から選考をはじめており、優秀な学生が日系大手へ流れてしまうよりも前に彼らを獲得しようとしている。
学生側も外資系企業を志望する層はこの流れを理解している。だからこそ、早い人では2年生の後期から就活対策をはじめ、3年生では選考直結型のサマーインターン、ウインターインターンに力を注ぐ。
日系大手を第一志望としている場合でも、早期から対策をはじめ、外資系企業の内定を獲得する学生もいる。これは第一志望の日系に落ちたときのため、といった保守的な理由ではない。
外資系企業の内定を獲得し、箔(はく)が付いている状態で第一志望を受けることができるためだ。箔が付くということは、外資系企業は相対的に見て就職難易度が高い企業が多いともいえる。
実際に、日系大手の中にはエントリーシートの段階で「下記の企業の中で内定を得ている企業はありますか?」と問い、すでに選考が終了している企業を並べるケースがある。そして、それらの企業には外資系企業がびっしりと列挙されている。
企業としては、すでにこの企業の内定をもらっている学生なら優秀に違いないから、うちの会社もほしいなという見方をしているのだろう。
彼らのような外資系企業の内定を獲得した人は、就活市場ではいわゆる上澄み層に値する。結局のところ、外資系企業を志望していようが、日系企業を志望していようが、外資系企業のほうが先に選考がはじまるため、上澄み層は一気にここになだれ込むということだ。つまり、就活をスタートする時期が自分の志望先に左右されることはない。
漠然とでも一流と呼ばれる企業に入社したいと考えているのであれば、1日でも早く動き出すことが不可欠である。1日、1週間、1カ月と就活を先延ばしにするほど内定から遠ざかると思えば、尻を叩く人なんかいなくとも意識が変わるはずだ。
ジョブやグループディスカッションはまさに業務の延長
外資系企業の選考では、「ジョブ」と呼ばれる選考フローがあることが多い。ジョブはグループディスカッションの上位互換である。学生が主体となった短期インターンという言い方が最もイメージがしやすい。
細かい選考内容や選考順序は企業によって異なるものの、
① エントリーシート
② テスト
③ グループディスカッション、面接
④ ジョブ
⑤ 面接
⑥ 内定
というような流れが一般的である。
3日間~1週間程度にわたり、グループワークというかたちでボリュームのある課題にタフに向き合う。その様子を採用担当者が横で見ながら学生の評価をしていく。そして最終的にジョブで成果を上げた学生がその後の選考に呼ばれ、複数回の面接を経て内定を獲得する。
ジョブやグループディスカッションのお題は企業側で事前に用意される。「××駅構内にあるコーヒーショップの売上を3年間で1.5倍にするにはどうしたらよいか」といった課題解決型のテーマや、「なぜ時計は丸いのか」といった抽象型のテーマまでお題のジャンルは幅広い。金融系であれば財務的な観点から、IT系であれば技術的な観点から出題されることもある。
しかし、お題が何であれ、検討の進め方はあまり変わらない。お題の背景にある前提を確認、曖昧な点の定義づけ→現状の把握→原因の分析・特定→解決策の検討→解決策の絞り込みに加えて、随所で調査が挟まってくるというのが一連の流れになる。
そしてこの進め方は、長期インターン経験者にとっては、毎日のようにやってきたことに通じている。前提の確認や定義づけは、タスク内容を問わず意識する必要があるため感覚が染みついているだろうし、現状の把握や原因の特定の段階では、仮説思考が生きてくる。
真摯(しんし)にインターンをしてきたという前提がある上での話だが、インターンのタスクを通して指摘された点を想起させることが、ジョブやグループディスカッションで高い評価をもらうことにつながる。
強いて新たな対策をするとすれば、それた話を指摘し軌道修正することや、全員が会話に参加しているかなど、グループワークならではの振る舞いであろう。進め方や考え方はインターンのタスクに取り組んでいるつもりで行えば、それなりにうまくいくのである。
長期インターンシップや起業経験者との戦い
長期インターンを軸にキャリア戦略を立てていく上では、少なからず自分と同じ層の学生がいることも忘れてはならない。大学1年生のころからインターンを続け、早期から就活をはじめたという希少層に属すことができたとしても、自分と同様に、あるいはそれ以上にキャリアと真摯に向き合っている学生もいるということだ。
3年生になってすぐに外資系企業の選考を受けはじめれば、そういった層の学生ばかりを目にすることになる。中には、「本当に学生ですか?」と突っ込みたくなるぐらい華々しい経歴を持つ人もいる。選考を通じて優秀な学生を見つけるたびに、「自分なんかで大丈夫かな?」と心配になってしまうぐらいだ。しかし、内定を獲得するためには彼ら以上に秀でるほかない。
インターン経験者や起業経験者の学生は、面接のエピソードひとつを取っても、思わず「強いなあ」と言ってしまうほどインパクトのある話を用意してくる。
サマーインターンの選考を受けている際の集団面接で、質問後の第一声から「NPO法人の代表を務め、渡米し、留学中には現地の学生と共同で会社を経営していました」と隣の学生が話をし始めた際は苦笑いを隠し切れなかったことをよく覚えている。
私はこの学生の次に質問を振られたのだが、完全に動揺してしまい、ペースが乱れた。結果は言うまでもなく、不採用である。「他者に左右され自分の言動が変わってしまった。一体全体、私は何をしているのだろう」と惨めに思った。
このような状況を防ぐためには、外資系企業をはじめとした早期選考には、優秀な層の学生がこぞって参加するということを頭に入れておくことだ。自分の経験に自信を持って、彼らの言動に惑わされないことが重要であろう。
いつ自分に話が振られてもおかしくない状況のため、音声をオフにすることはできないが、自分に関係のない話は右から左に流すぐらいにとどめておく。いちいち周りに振り回されていたらきりがないということを事前に念じ、「何を聞いても、何を言われても悠然と構えるんだ」というマイルールを作れば、状況は改善されるはずだ。
トテ ジェニファー麻綾
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