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3年間で数百億円の売上増・想定外の倒産危機も回避…「超レジェンド級顧問」の事例から学ぶ、現場が認める顧問の働き方【プロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月17日 7時45分

3年間で数百億円の売上増・想定外の倒産危機も回避…「超レジェンド級顧問」の事例から学ぶ、現場が認める顧問の働き方【プロが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

職場で高い知見や優れた能力を発揮し続けた人が「顧問」に就任するというケースは多々あります。しかし、顧問として現場で大活躍したという話はなかなか聞く機会がありません。現場で求められ活躍できる顧問になるには、どのような働きをすべきなのでしょうか。今回は、東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)の代表取締役社長・福留拓人氏が、Aさんの事例とともに、顧問の「理想の姿」について解説します。

現場で必要とされない「顧問」という存在…

ビジネスパーソンとして高い知見を持ち、優れた能力を発揮してきた人物がハイキャリアになると、やがて「上がり」の立場になることを前回のコラムで指摘しました。

会社はその人物に「個人的なネットワークを活用して今後も力を貸してほしい」と声を掛けます。それに呼応して「顧問」に就任される方が増えています。

しかし、顧問として大活躍したという話はあまり聞くことがありません。企業側と顧問側の期待値にはギャップが大きく、なかなか難しいということは以前にお話したとおりです。顧問は何かと受け身になりがちで、アドバイザー的な立ち位置になりやすいのですが、現場はそういう人の必要性を感じていません。

ですから、自分で仕事を創出することが顧問として生き残る条件になっています。

機械部品メーカーの顧問に就任したAさん

今回は、私ども東京エグゼクティブ・サーチが関与して、顧問として大成功した事例をご紹介させていただきます。ここに登場する顧問を仮にAさんと呼ばせていただきます。

Aさんは某自動車メーカーの製造、設計、さらに営業とマルチに活躍され、最終的に役員まで登り詰めた方です。優秀ながら60代なかばで役員定年を迎えて退任しました。Aさんの活躍ぶりは業界内外でよく知られており、退任前から多くのオファーが殺到していたといいます。肩書や雇用形態は別にして、絶対に欲しい人材と考える企業も多かったようです。

そんなとき、ある機械部品メーカーがAさんを顧問として迎えることになりました。Aさんは退任後、複数の仕事を引き受けていますが、そのなかの1社がこの企業です。

ここでのAさんは大御所的な立場で相談に乗るのではなく、会社全体をくまなく観察しながら周囲とコミュニケーションを深めました。問題点を抽出したうえで自ら報告書をまとめ上げて経営陣に企画をプレゼンテーションするなど、顧問になってすぐの動きには目を見張るものがありました。

文章で読むと簡単に思えますが、こうしたことを初動で実行できる勇猛果敢な人は少ないのではないでしょうか。役職は顧問だから失うものは何もない、年齢的に偉ぶる必要もなく、貢献していこうという風に割り切って、ダイナミックに動かれたのでしょう。

顧問となったAさんが「自動車部品」事業進出を提言した理由

この機械部品メーカーは非上場ですが売上は数百億円に達し、業界でそれなりの地位を占めていました。2005年頃の話ですが、白物家電で使われる部品が売上の7割ほどを占めていました。

Aさんは、経営トップに「自動車メーカーの部品にも事業を展開して製造・販売してみてはどうか」と提案します。経営陣は、それまで手をつけたことがない分野だったため大変驚きました。しかも、日本の自動車産業の部品に対する要求レベルというのは世界最高水準です。あらゆる製造分野のなかで最高の品質が求められ、難易度が高い業界とされています。大手自動車メーカーの納入業者になる難易度は最高レベルなのに、そこへ家電しか扱ったことのない会社が進出できるはずもありません。

大変興味深い話ではあったものの、経営トップは腰が引けてしまいました。するとAさんは「発想が逆だ」と言ったのです。「自動車部品で自動車メーカーに認められる品質水準をクリアできれば、部品を必要とする世界中のメーカーに持っていっても通用する。だから挑戦する価値がある!」と、経営トップに対してコーチングしました。さらに、自分ができる限りの陣頭指揮を執ると宣言したのです。

販路を広げていたおかげで窮地を脱することができた

そして、顧問であるAさんは設計、品質管理、生産管理、工場の生産体制の現場に入り、自ら指揮を執りました。自動車産業での経験が長かったので、それまでの得た知見を基に3ヵ年計画で会社全体のレベルを引き上げて行きました。

そして3年後。可能な水準に達したとAさんが評価をした段階で、各自動車メーカーの購買部門を通さずに自分のネットワークを活かして役員にセールスを掛け、一気に販売窓口を開設しました。これにより、数百億円の売上が入るようになりました。猛烈な成長率です。

しかし、順調だった2011年、東日本大震災が発生しました。この会社が従来部品を納入していた会社はすべて東北に拠点があったため、当然大きな被害を受けました。特に、家電関係の製造は完全に停止してしまったのです。ところが、この会社は自動車部品にも販路を広げていたので、その危機を脱することができました。売上の減少も最低限に抑えることができたのです。

もしAさんが顧問に就任していなければどうなったことか。考えると背筋が凍り付きます。

現場が顧問を認めるハードルは高いが、不可能ではない

いかがでしょうか。これが顧問の真骨頂というものです。顧問という役職の理想形のひとつともいえるでしょう。Aさんのケースは、ほかでは見られないスーパースターの物語だったかもしれません。

しかし言い方を変えれば「ここまでやらなければ現場は顧問を認めない」という事例でもあります。社員は、基本的に外から来た得体の知れない人の言うことは聞きません。実際に色々なことを手取り足取り教わり、自分たちの会社の経営陣からは出てこない視点やメソッドを知り、知るだけでなく二人三脚で取り組み、自分たちの成長を実感し、また自分たちが結果を出せるということを理解する……こうしたことがあると人は初めて顧問の存在を認め、自発的に動くようになるのです。

このエピソードでは、Aさんが社長に匹敵する働きをしていることがわかるでしょう。世のなかにはこういう顧問が実際に存在するということを、ぜひ認識しておいてほしいと思います。顧問という存在が大活躍するヒーローズ・ストーリーは遠い世界の話ではなく、現実にあり得るのだということです。

福留 拓人

東京エグゼクティブ・サーチ株式会社

代表取締役社長

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