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未婚女性より深刻、50歳で未婚男性の「孤独」...定年後、死ぬまで働き続ける「結婚していないミドルシニア」の切ない事情【CFPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月14日 10時45分

未婚女性より深刻、50歳で未婚男性の「孤独」...定年後、死ぬまで働き続ける「結婚していないミドルシニア」の切ない事情【CFPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」によると、2020(令和2)年の「50歳時の未婚率」は男性が28.3%、女性が17.8%で、年々増加傾向が見られます。今後、結婚をする人が増えなければ、ミドルシニア未婚者の単身世帯の数は、今後多くなることが想定されます。本稿では具体的な調査結果を踏まえて、ミドルシニア未婚者のキャリアに対する意識について、日本総合研究所創発戦略センタースペシャリストの小島明子氏が解説します。

ミドルシニア未婚男性は未婚女性よりも友人との交流が少ない

ミドルシニア未婚者に対して、友人の数について尋ねたところ、「年齢が10歳以上若い友人」は「0人」という回答が最も多く、全体の約6割に上ります。性別で比べると、「年齢が10歳以上若い友人」は「0人」という回答が、男性では66.8%、女性では59.6%と最も多くなっております。一方、「悩みごとを相談できる友人」は男性では「0人」という回答が50.4%と最も多いものの、女性では、「2~3人」という回答が42.0%と最も多くなっています。

さまざまな相手と「共食(共に食事をすること)」する頻度を尋ねたところ、「家族」については、「毎日」を選択した人が最も多く約3割です。その他の相手については、「まったくない」が最も多く、「仕事の知り合い(職場の人除く)」は約6割、「学生時代の友人」、「社会人になってからの友人」は約半数、「地域の人」は約9割に上ります。男女別に比べると、「学生時代の友人」、「社会人になってからの友人」については、女性のほうが男性よりも、「共食」をする相手がおり、頻度もやや高めである状況がうかがえます。

これらのことから、年齢が10歳以上若い友人がいない人は男女ともに半数以上に上るものの、女性のほうが男性よりも悩み事を話せる友人や、食事をする頻度が高いことがわかります。本調査の対象者は、皆仕事をしていますが、働いていても、主に男性においては、人間関係が希薄であり、退職したあとの孤独・孤立の問題が生じることが懸念されます。

定年後も働く理由に「人との関わり」を求めるのは男性よりも女性が多い

日本総合研究所の調査によれば、定年を問わず、できるだけ長く働き続けたいか尋ねたところ、全体の45.5%が長く働きたいと回答しています。男女別には、男性(42.0%)よりも女性(49.0%)のほうがやや希望している人が多いですが、大きな差ではありません。

「できるだけ長く働き続けたい」または「わからない」を選択した回答者に、理由を尋ねたところ、全体では、「生活費を稼ぐため」(89.0%)が最も多く、男女ともに約9割に上ります。男性よりも女性のほうが、「健康を維持するため」(男性35.5%、女性41.5%)、「人と接していたいため」(男性16.1%、女性29.5%)が多くなっています。経済的な問題を理由に挙げる人がほとんどであるものの、男性よりも女性のほうが、人との関わりを大切にしていることがわかります。

定年後の働き方として、希望する働き方のスタイルを尋ねたところ、全体では「体力的に負担をかけずに働く」(47.9%)が最も多く、「現在の職種に近い仕事をする」(35.2%)、「現在の業種に近い仕事をする」(32.5%)と続いています。男女別に見てみても、この傾向は変わりません。高齢になるにしたがって体力は低下する人が増えますので、体力的な負担を軽減したいという理由は大きくなっています。一方で、現在の職種や業種に近い仕事をしたい、という理由からは、いままでのスキルや経験を活かしたい人が多いことが推察されます。

脱エイジズム社会で、孤独を予防する

2025年4月には、「65歳までの雇用継続」に関する経過措置が終了し、希望者全員への対応が求められます。企業は、「65歳までの定年引き上げ」「定年制の廃止」「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」のいずれかを導入することが求められます。さらに、単に物理的に働き続けられるということではなく、年齢を問わず、いままでのスキルや経験を活かせる働き続けられることが、働く意欲を活かすうえでは大切だと考えます。

本稿では、ミドルシニアの未婚者に焦点を当てましたが、特に男性は女性に比べて、仕事がなくなってしまうと、人間関係が希薄化してしまう可能性があることが懸念されます。働きたい人がいくつになっても働き続けられる脱エイジズム社会を作っていくことが、間接的には孤独・孤立の予防にもつながるのではないでしょうか。

小島 明子 日本総合研究所創発戦略センター スペシャリスト

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