上も下も右も左も、全員いなくなった…手当たり次第壁を叩く騒音被害!経営するアパートにやってきた「迷惑入居者」の実録【不動産鑑定士兼税理士大家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月9日 9時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
入居者の迷惑行為に悩むオーナーは少なくありません。放っておくと、ほかの入居者が退去する、物件を荒らされる、内見に来た入居希望者に逃げられるといった悪影響も。そこで今回は、現役不動産投資家である不動産鑑定士兼税理士の沖田豊明氏が自身の賃貸経営を行ううえで、遭遇した迷惑入居者の事例を紹介します。
利回り7%、いい物件を購入できたと思っていたが…
不動産投資を始めて3物件目で出会った中古の一棟マンション。都内にあり、部屋数は47。ファミリータイプと単身者向けの部屋が混合で入っている物件でした。築27年で利回り7%と不動産会社から伝えられ、購入を決断。無事融資もおりて、非常にいい買い物ができたなとニンマリしました。
1階にあった管理室が空いていてもったいなかったので、200万円かけリノベーション。1部屋増やしたことで、家賃6万円、年間で70万円程度の収益アップに成功しました。家賃収入も1年間ずっと滞ることなく入ってきて、順調に経営できていると安心していました。
管理会社「入居者が立て続けに退去しています」
ところが、2年目に差し掛かったある日。管理会社から「近ごろ、入居者が立て続けに出ていっています」と報告を受けました。ある部屋を中心に上の階、下の階、右隣の部屋の入居者が立て続けに退去したというのです(図表参照)。そして今度、左隣の部屋の入居者も退去しようとしているとのこと。
管理会社や住人から詳しく話を聞いていくと、段々と原因が明らかになってきました。どうやら当該部屋の入居者(A氏)が、上下左右の壁を四六時中突っついているようなのです。上の階に住む人の物音について苦情が入ることはよくありますが、上の階に住む人が下の階の住人をうるさいというのには驚きました。
証拠を掴むために悪戦苦闘
こうした迷惑行為には証拠がなければそれ相応の対処をすることができません。初期対応として、共有スペースの掲示板に「迷惑行為による苦情が発生しているため、気を付けましょう」という趣旨の張り紙をしました。
しかし、それでもA氏の迷惑行為は一向に改善することはありませんでした。結局、唯一残っていたA氏の左隣の部屋に住む入居者も退去してしまいます。
困り果てた筆者は、なんとか証拠を掴もうと、管理会社の担当者から一度A氏に連絡をしてもらいました。
担当者「上の階がうるさいようですけれど大丈夫ですか?」
A氏「私も上がうるさくて迷惑している」
担当者「いや、実はもう上の階に人はいません。おかしくないでしょうか?」
A氏「あれ、そうだったのかな」
このようにA氏はしらをきり続けるため、確信犯だと思いました。
泣き寝入り
知り合いの弁護士に相談しましたが、やはり、こうしたケースでは現行犯で証拠を掴むしかないそうです。しかし、現実的に考えて写真を撮るなどは無理な話でしょう。諦めるしかありませんでした。
結局、今回のケースでは「バレてるな」とA氏は心理的に不安に思ったようで、その後は少し大人しくなってくれました。
中古物件の場合は、購入前に現契約者の属性を確認
あとからわかったことですが、A氏は生活保護受給者だったそうです。気になってよくよく調べていくと、もうひとつ驚きの事実が発覚しました。筆者が購入したこの物件は、47部屋のうち12部屋が生活保護受給者だったのです。
もちろん、すべての生活保護受給者がA氏のような迷惑入居者となるわけではありません。生活保護受給者や生活苦の高齢者などは物件の存する地域の自治体によって、住居費の助成などが受け取れることも多いです。そのため、貸し倒れしにくく家賃収入が確保しやすいことから、安定した賃貸経営を行えると、あえてそうした入居者を積極的に募集するオーナーもいます。賃貸経営の戦略という面では、有効な策のひとつといえるでしょう。
中古物件を購入する場合、レントロールは皆さんチェックしていると思います。しかし、レントロールだけでは家賃や入居者の入居期間などしかわかりません。自身の賃貸経営を成功させるためには、まずはどのような戦略で臨むか、そのためにはどのような物件を選べばよいかということを考えるべきでしょう。
どのような物件であるかを知るために、購入前に管理会社へ依頼して、現契約の入居者の属性を調べてもらうことも一案です。具体的には、勤め先や、男性か女性か、などを確認しておくことをお勧めします。筆者は今回の件で大いに学びました。
沖田 豊明
沖田不動産鑑定士・税理士事務所
不動産鑑定士/税理士/行政書士
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