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退職金2,200万円・貯金2,500万円でも…60歳で仕事を辞めた後も質素倹約の〈おひとり様男性〉が一転、3,000万円失い「老後破産」まで覚悟した「まさかの出来事」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月7日 10時15分

退職金2,200万円・貯金2,500万円でも…60歳で仕事を辞めた後も質素倹約の〈おひとり様男性〉が一転、3,000万円失い「老後破産」まで覚悟した「まさかの出来事」

(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの企業が採用する60歳定年。そのあとも継続して働くことができますが、8~9割が「老後が心配」と仕事を継続。ある意味、60歳で仕事を辞められるのは、お金の心配がない勝ち組だといえるでしょう。一方で、60歳で仕事を辞められるということは、お金がある証拠でもあり、気を付けないととんでもない事件に巻き込まれる可能性も。

平均的な大卒・独身サラリーマン…実は相当の勝ち組という事実

例外はもちろんありますが、サラリーマンであれば、年齢と共に収入があがっていき、定年と共に3割減。そして仕事を辞め、年金生活を始めるタイミングで3割減。これが平均的な収入の推移です。

バリバリ仕事をこなしていた頃は「収入は増える」が当たり前だったのが、老後を見据える頃になると、転がり落ちるように減っていく……そのインパクトは非常に大きく、だからこそ、老後を見据えた準備は必須になります。

老後の生活を見据えて頼りになるのが、貯金と退職金。そして実際に仕事を辞めたあとは、そこに年金が加わります。

まずは貯金についてみていきましょう。

金融広報中央委員会『令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]』によると、単身高齢者の貯蓄額(金融資産保有額)は、60代で平均2,240万円、70代で平均2,104万円。中央値は60代も70代も1,100万円です。貯め込んでいる人とそうでない人の差は激しいので、平均値と中央値で1,000万円近い差があります。

そして退職金。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、大卒の定年退職で、「勤続35年以上」だと平均2,037万円。月収換算で38.9ヵ月分です。「勤続30~34年」で1,891万円、「勤続25~29年」で1,559万円、「勤続20~24年」で1,021万円でした。

さらに従業員1,000人以上の大企業に限ると、「勤続35年以上」で平均2,242万円。月収換算で40.8ヵ月。一方、従業員30~99人の中小企業だと、「勤続35年以上」で平均1,785万円。月収換算で33.1ヵ月です。

預貯金のなかに定年退職金が含まれているのか、いないのか、判別できませんが、仮にそれぞれ別と考えると、独身を謳歌する大企業サラリーマンの場合、老後を前に平均4,000万円の貯蓄(退職金含む)があるといえます。

それに対し、単身高齢者の1ヵ月の平均支出は14万8,028円。単純計算、貯蓄だけで270ヵ月、22年ほどを暮らせるということになります。60歳定年だとして82歳。平均寿命を超えています。

大学を卒業して以来、就職した企業ひと筋で勤め上げ、貯金も退職金も平均値という大卒・独身サラリーマン、はっきりいって勝ち組です。

老後資金3,000万円を一気に溶かした理由とは?

平均値でも勝ち組、そんな一例が加藤健一さん(仮名・65歳)。大学を卒業し、大手メーカーに就職。「平々凡々なサラリーマン人生ですよ」と自己評価する会社員時代、年齢を重ねるごとにそれなりに昇給していき、気づけば定年間近になっていたとか。

20代の頃、結婚を前提にお付き合いしていた人もいたといいますが、タイミングを逃し、一度も結婚をしないまま、これまた気づけば定年間近になっていたとか。

貯蓄は、預貯金とわずかに投資信託と株式があり、それらを合わせて2,500万円ほど。定年退職金は2,200万円ほどだったとか。再雇用での勤務継続の話もありましたが、「これ以上働いても……」という思いがあり、定年と共に仕事を辞めた加藤さん。

――毎日本を読んだり、映画を観たり。淡々とした日々を送っています

――もっとパッーとできたらいいのですが、派手な趣味があるわけでもなく……自然と質素倹約の生活になっています

そんな加藤さん。イメージする勝ち組とはずいぶんと違うセカンドライフを送っていました。しかし、そんな平々凡々な日々が一変する大事件が起きます。

「お金を持っているだけで使わないとバチがあたる」と加藤さんは、ボランティア活動を行うようになったといいます。そのときに知り合ったのが、ある30代女性。知り合ったといってもSNSを通じたもので、一度も直接はあったことがありません。世界の紛争地域でボランティア活動に従事しているという女性。初めはDMでのやりとりに始まり、たまにWEBで顔を合わせて話をする間柄に。そうしているうちに、加藤さんいわく、恋人関係になっていったといいます。

何十年ぶりかの交際に加えて、相手は30歳以上も年が離れている若い外国人女性。正常な判断ができなくなって、テンションが上がりっぱなしだったという加藤さん。正常な判断ができなかったといいます。ある日、母国で暮らす父が倒れ、一時帰国したいのに……と泣きじゃくる女性。お金がなくて帰ることができないのだといいます。すでに両親が他界している加藤さん。それは一大事だといって、数十万円を送金します。

――喜ぶ彼女の顔をみたら、その笑顔は本物だなと……感じてしまったんですよね

その後も何かとお金がないと相談があっては、送金を行う加藤さん。サポートのお礼として、現地(だという)でサポートする人々の笑顔の写真が送られてきます。そのやりとりで、すっかり彼女を信用してしまったという加藤さん。しかし、いつのまにか彼女のために使ったお金は3,000万円近くにも膨れ上がっていたといいます。

ここまでサポートしているなら、もっと見返りを求めたくなるもの。WEBではなく、直接会ってみたい……そんな思いが強くなり、今いる場所の詳細を教えてほしいとお願い。「会いに行くから」と猛アタックすると、それ以来、音信不通に。そのことを友人に話したところ、「それって国際ロマンス詐欺っていうやつでは……」と指摘されたそう。

SNSを活用した「ロマンス詐欺」が急増!

警察庁の発表によると、今年7月末時点のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は1,868件と、昨年同期比プラス1,066件。被害総額は約198.8億円と、こちらも昨年同期比約113.9億円プラスと、被害認知件数、被害総額どちらも急増しています。

被害者についてみていくと、被害者1,868人のうち、男性は1,157人と圧倒的に男性被害者が多く、60代が26.9%、70代が7.7%、80代が0.9%と、被害者の3人に1人は高齢者です。

一連の出来事を振り返り、

――老後破産を覚悟しました。破産しても彼女がいれば……そんな変なテンションになっていました

――財産をすべて使い果たす前に終わって、いま振り返るとよかったです

と加藤さん。高すぎる勉強代になったものの、全財産を失う前でよかったと笑うのは、やはり勝ち組だからでしょうか。

決して許されることのない詐欺事件。確実にお金の持っている定年退職後の高齢者は、犯人たちからしたら絶好の獲物。投資も恋愛も、美味しい話はないことを肝に銘じておきたいものです。

[参考資料]

金融広報中央委員会『令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]』

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』

警察庁『令和6年7月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』

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