日本の高齢者は栄養不良になりやすい!年を取ったらたんぱく質の摂取が重要な理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月20日 11時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
できれば老けたくないですよね。和田秀樹氏監修の書籍『老けない習慣ベスト100』によると、老化を予防する食事や食べ物があるそうです。一体どんなものでしょうか? 本書から詳しく紹介します。
日本の高齢者は栄養不良になりかけている!?たんぱく質摂取が肝心です
2021年に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんは、亡くなる直前まで精力的に連載などの執筆活動を続けていました。90代になっても毎日大勢の人と会い、元気に出かけていたのです。寂聴さんは、90代後半まで3日に一度はステーキを食べるくらい肉が好きだったそうです。朝ご飯も茶碗に大盛りをペロリと平らげていたそうです。ふっくらとした丸顔で肌つやもよく、とても若々しい印象があります。
ところが、ほとんどの日本の高齢者は、「もう動いていないんだから低カロリーでいい」「身体がそんなに肉を必要としなくなる」と考える人が多いです。「昔のように肉を食べたいとは思わなくなった」と感じている人もいるでしょう。しかし、そのような食生活に慣れてしまうと老化はさらに進んでいくことがわかっています。
実は高齢になるほどたんぱく質を心がけて摂るようにしないと、筋肉の衰えや減少が進み、老化が進みやすくなるのです。欧米の高齢者は70代、80代になっても肉や乳製品をたっぷりと摂ります。一方、日本の高齢者は朝ご飯は味噌汁と漬物、昼は蕎麦で十分とか、夜も同じように軽めにといった食生活になりがちです。これでは、圧倒的なたんぱく質不足です。またカロリーも不足してきます。
実は、高齢者の栄養不良というのは、厚労省もやっとその対策に取り組み始めたくらい見逃されてきた大問題なのです。寂聴さんのように高齢でも精力的で元気な方は、肉や魚を食べてたんぱく質を摂っています。
もちろん、たんぱく質は肉だけではなく、豆腐や納豆のような大豆食品にも含まれていますから、それらをバランスよく組み合わせて摂取することが大事になります。「高齢になったら粗食で足りるし、そのほうが身体にもいい」というのは、大きな誤解といえるでしょう。
高齢者には元気の源「セロトニン」が必須。別名「幸せホルモン」はたんぱく質から摂取できる
そもそも、身体の老化が始まるとエネルギー効率も悪くなります。食べたものが栄養として身体に取り込まれる比率が下がってくるのです。幼児や子どもの頃は身体に入ってくるものがどんどん栄養として取り込まれ、ぐんぐん成長します。
ところが高齢になると細胞も老化してきますから、代謝が悪くなってしまうのは仕方ありません。「だからこそ、食べ物でエネルギーを補充しなければいけない」ということです。成長期の子どもは食べなければ育ちませんが、高齢者は食べなければ萎んでしまうのです。若い頃よりむしろ、吸収が落ちたと考えれば余計に栄養分を摂らなければいけないことになってきます。
そのときに欠かせないのが、前述のたんぱく質です。用途も多く、筋肉や骨格を丈夫にするのがたんぱく質なのです。肉類だけでなく魚介類や乳製品、植物性食品にも含まれていますから食材の範囲が広く、しかも料理がバラエティに富んできます。そして、たんぱく質と一緒に覚えておいてほしいのが「セロトニン」というホルモンです。
たんぱく質に含まれるアミノ酸の一種であるトリプトファンはセロトニンの原料になります。セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれるくらい、脳内で作用すると、私たちの気分を明るく解放的にしてくれます。うつの予防や治療にも使われる神経伝達物質ですから、たんぱく質を摂ることで生活が朗らかになっていきます。
もし、高齢のご夫婦で、毎晩サラサラとお茶漬けを一緒に食べているというような暮らしをされているなら、それも味わいはあるでしょうが、「たまには贅沢しよう」と割り切ってすき焼きなどお肉を食べたほうが、はるかに幸せな気持ちになります。そういう幸福感を、どんなに高齢になっても日常の中に持ち続けてほしいのです。そんな幸福感を生み出すのが肉や魚料理のたんぱく質なのです。
長寿の有名医師は90代でステーキを食べていた。さらに毎朝オリーブオイル入りジュースを愛飲
瀬戸内寂聴さんが90代後半までステーキをよく食されていたことを紹介しましたが、100歳を超えても医師を続けた日野原重明先生は、94歳のときに受けたインタビューで、「週に2、3回はステーキを食べている」と答えていました。このように元気に年齢を重ねている方は、決して粗食を習慣にしていません。高齢になるほど、意識してたんぱく質を摂取しているようです。
そんな日野原先生は、毎朝、ジュースにオリーブオイルを入れて飲んでいたそうです。オリーブオイルは健康効果が高く、しかも日常的に使いやすい植物油です。心臓病の発生率が極めて低いことで知られる地中海沿岸地域の食事は、このオリーブオイルをよく使うことが大きなポイントです。
主成分である不飽和脂肪酸の一種、オレイン酸には悪玉コレステロールを減らす働きがあり、加えてポリフェノールやビタミンEなど、抗酸化作用の高い成分も含まれているのです。オリーブオイルを積極的に摂取するには、日野原先生のようにジュースに加えるのもいいアイデアでしょう。
なかでもおすすめはトマトジュースです。トマトに含まれているリコピンはオリーブオイルと相性が良く、合わせて摂取すると吸収率がぐっとアップします。
和田秀樹 医師
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