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年金17万円の80歳母、見学10件でようやく決めた「こだわりの老人ホーム」だったが…ある日、20キロ先の娘宅に逃亡した「衝撃理由」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月15日 5時15分

年金17万円の80歳母、見学10件でようやく決めた「こだわりの老人ホーム」だったが…ある日、20キロ先の娘宅に逃亡した「衝撃理由」

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の住まいとしても人気が高まっている「老人ホーム」。ホームによって特長があり、自身のこだわりによって比較検討ができるようになっています。ただ見学を繰り返し、理想のホームを見つけたからといって、必ず満足できるとは限らないようです。

老人ホームに入所…決め手は「美味しい食事」

中村知子さん(仮名・57歳)が母親(80歳)とともに老人ホームを探し始めて半年。その間、10軒のホームを見学したといいます。

父親が10年前に亡くなってから、実家で1人暮らしをしていた母親。80代になった今も健康そのものですが、ある日、近所で孤独死した高齢者が。このことがきっかけで1人暮らしに不安を感じるようになり、老人ホームへの入所を検討するようになったといいます。

絶対条件となる費用は、初期費用となる入居一時金は1,000万円まで。月額費用は、母親の年金月17万円に加えて、最大プラス5万円まで。ロケーションへのこだわりは特になく、何かあった際に知子さんが駆けつけることができるよう、知子さんの自宅から車で1時間圏内を条件としていました。

しかし、見学をすればするほど、今どきの老人ホーム事情がわかり、「もっといいところがあるのではないか」と決めきれずにいたといいます。

最終的に決めた老人ホームは、見学10軒目。知子さんも母親も初めて意見が一致し、入所を決めたといいます。入居一時金800万円、月額費用20万円、知子さんの自宅から下道利用で40分のロケーション。医療と介護体制が整っていて、終身利用も可能です。また何といっても決め手となったのは食事。提供される3食のうち、朝は2食、夕方は3食から選択可能。週に1度は特別メニューが提供され、行事食の際にはフルコースが提供されることも。

10軒も見たんだから間違いないと意気揚々と入所した知子さんの母親。思っていた通り、食事に対する満足度が高いようで、よく料理の写真が送られてきたそうです。

――ここじゃない、ここでもないと見学を繰り返していたときは、一生決まらないのではないか、と思っていました

そう胸をなで下ろしていた知子さん。しかし、ある日、事件が起きます。その日、知子さんの携帯電話に1本の電話。母親が暮らすホームからでした。嫌な予感がして電話に出ると、母親の姿が見当たらないと焦るホームのスタッフでした。80歳の母親。健康そのもので、ホームでもよく散歩に出かけているといっていました。

――まさか、事故にでもあったのでは

血の気が引いたという知子さん。急いでホームに駆けつけようと、車の鍵を手にしたとき、今度は自宅のチャイムが鳴りました。「こんなときに、なに!」と出てみると、そこにいたのは知子さんの母親だったといいます。

老人ホームからの逃亡理由は「隣人トラブル」

――やっと着いたわ

と知子さんの母親。バスと徒歩、3時間かけてやってきたといいます。

――おっ、お母さん、ホームから電話があって、心配したわよ

なぜ母親がこのような行動に出たのか聞いてみると、いわゆる隣人トラブル。隣部屋の入居人は耳が悪く、話し声やテレビの音が大音量。ホームに何度か相談してみるものの、現在契約している価格帯の部屋は満室で、空いているのはハイグレードな部屋だけ。「別の部屋にお願いします」とはとてもいえない金額です。

――入居しているのは高齢者。程度の差はあれどみなさん耳が悪いので、どうしても「音」は大きくなりがちで……

そう説得されて我慢してきたけれど「もう無理!」と逃げてきたという顛末でした。知子さん、「10軒も見て回ったのに……」と、一瞬、目の前が真っ暗になったとか。

株式会社LIFULL senior『介護施設入居に関する実態調査 2023年度』によると、老人ホームの入居を考え始めた時期として、最も多かったのが「入居する2~3ヵ月前」で19.3%。続いて「入居する4~6ヵ月前」が19.2%がほぼ同数で、「入居する1年前」が16.1%と続きます。

また見学した時期で最も多かったのが「入居する2~3ヵ月前」で26.6%。「入居する1ヵ月前」が24.4%、「入居する4~6ヵ月前」15.3%と続きます。

ではどれくらいのホームを見学しているのかというと、最多は「2ヵ所」で30.0%。続いて「1カ所」が26.5%。一方で「見学は行っていない」が19.7%と、5人に1人は見学をしないで老人ホームへの入所を決めています。

見学数はその後のホームへの満足度にも差が生じていて、「現状のホームに満足」という人に見学したホーム数を聞いたところ、最多は「2ヵ所」で30.87%、続いて「1カ所」が26.90%。「見学していない」は18.69%でした。一方「現状のホームに不満」という人の場合、最多は「見学していない」で29.03%。「1カ所」22.58%、「2ヵ所」20.97%と続きます。やはり見学をせずに入所を決めた場合のほうが、満足度が低いことがわかります。また見学をしても不満を訴えている人が7割強ということから、入所にあたり、見学したほうがいいけれど、それで完璧かといえば否、というのが現実。

老人ホーム選び、難しいものです。

[参考資料]

株式会社LIFULL senior『介護施設入居に関する実態調査 2023年度』

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