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お前だけが頼りなんだ…「老人ホームの入退去」を繰り返す〈年金18万円・78歳の父〉ついに貯蓄が底をつき〈49歳長男〉に泣きすがる

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月16日 5時15分

お前だけが頼りなんだ…「老人ホームの入退去」を繰り返す〈年金18万円・78歳の父〉ついに貯蓄が底をつき〈49歳長男〉に泣きすがる

(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が直面する「親の介護」。在宅での介護に懸念を感じるなら、老人ホームへの入居という選択肢も。ただ実態に暮らしてみないとわからない部分もあり、肌に合わず退去ということは珍しいことではありません。ただ入退去を繰り返しているうちに、無駄にお金を払っているというケースも。

介護度があがるほど、自宅→老人ホーム入居を希望…気になる費用は?

国土交通省の資料によると、第1号被保険者である高齢者3,588万人のうち、在宅が3,486万人。残り3%、102万人が老人ホームなどの施設に入っています。

また要支援者・要介護認定者690万人に焦点をあてると、在宅が493万人で全体の71%。有料老人ホームが49万人で全体の7%、認知症グループホームが21万人と全体の3%、特養や老健、介護医療員などの施設利用者は102万人で全体の15%となっています。

いつまでも自宅で……と希望する一方で、介護度によってその思いは変わるようです。「日常生活を行う能力がわずかに低下し、何らかの支援が必要な状態」では「自宅での介護を希望する(現に自宅で介護を受けている)」のは66.6%。介護度があがり「立ち上がるときや歩行が不安定。排泄や入浴などに一部、または全介助が必要な状態」では、在宅介護希望は27.0%。「1人では立ち上がったり歩いたりできない。排泄や入浴などに全介助が必要な状態」では、在宅希望は15.5%となります。

老人ホームのほうが安心なのか、それとも介護負担が増して大変な思いをしている家族をみるのが忍びないのか。理由はさまざまですが、介護度と介護場所の希望は、密接な関わりがあるようです。

老人ホームを検討する段階になった際、最初の懸念がその費用。老人ホームにかかる費用は、大きく入居するときに支払う「入居一時金」と、毎月支払う「月額利用料」の2種類。

入居一時金は家賃の前払いのようなもので、その費用はゼロ円から数千万円、富裕層が入居する高級老人ホームになると数億円というものも。また同じ施設でも、入居一時金がゼロ円のプランを用意するホームも。入居時の費用懸念を下げる一方で、その分、月額費用は高くなる傾向にあります。

また入居一時金には、初期償却と償却期間が設定されています。たとえば、入居一時金が1,000万円のホームで、初期償却が20%、償却期間が5年だとすると、入居後、クーリングオフの期間が過ぎると1,000万円の20%が償却。残り800万円が5年間で償却されていきます。たとえば入居後2年で退去することになった場合、初期償却金200万円と、2年分の償却金160万円、合わせて360万円が引かれて戻ってきます。

月額費用はホームによって何が含まれているかさまざまですが、家賃のほか、管理・維持費、食事、水道光熱費は含まれ、日用品や医療費、外部介護サービスは別途というケースが多いようです。

要介護で自宅での生活に不安。高齢の父、老人ホームへの入居を決断するが…

父親の老人ホーム費用でヒドイ目にあっているという49歳の小林浩紀さん(仮名)。父親は78歳で、事故の後遺症で歩行が困難に。当初、ホームヘルパーをお願いするなど、自宅で生活していましたが、築年数の経った家で暮らすのも大変だと、ホームへの入居を決めたといいます。

ただそこからが大変。歩行は困難であるものの、思考は非常にクリアな小林さんの父親。最初に入居したのは、介護体制が評判の有料老人ホームでしたが、半年ほどで自主退去。

――認知症の人が多くて、なかなか馴染めなかった

というのが理由。そこで父親と同じような入居者も多い施設を選び入居。しかしそこは3ヵ月ほどで退居。スタッフとの相性が良くないというのが理由でした。その後も「隣部屋のテレビの音が大きい」「新人スタッフが多く、サービスの質が低レベル」など、他人からしたら難癖をつけているだけにしか見えませんが、さまざまな理由で入退去を繰り返したといいます。

――父はこだわりが強く、実際に暮らしてみないとわからないことはあるので仕方がない部分もありますが……

と小林さん。入退去の回数よりも気になっていたのは、結局、クーリングオフ期間を超えているので、入居一時金が全額は戻ってこないこと。この2年ほどで入退去は5回。1,000万円近いお金が使われています。

――退去は仕方がないとはいえ、クーリングオフ期間中に判断できないワケ? お金の無駄だろ

と父親を問い詰めたことがありますが、「そんな短い時間で判断なんてできないだろ?」ともっともらしいことをいうのだとか。

そして6つの老人ホームを探しているとき、父親からポツリ。「費用なんだが、サポートしてくれないか」と父親。無駄に入退去。貯蓄が底を尽きそうだというのです。呆れて何もいえない小林さん。

――お金がないなら無理だろ

――ならお前が面倒みてくれるか?

――……

――頼むよ、お前だけが頼りなんだ

我が子に泣きすがる父親。「何とも情けない……」と呆れかえる小林さん。とりあえず、本当に貯蓄を底をつきたのか、預金通帳を確認したところ、入退去5軒目のホームで戻ってきたお金もあり、少々オーバーな言い方だったことが判明、ほっとした小林さん。しかし本当に次のホームを考えるなら、入居一時金ゼロ円、父親の年金月18万円で月額費用を賄えるところ、というのが現実路線。果たして、こだわりの強い父親に合うホームが、その費用感で見つけることができるのか。

――在宅介護か、費用のサポートをするか。あとは実家を売却するのも手

小林さん、色々と思考を巡らせているところです。

[参考資料]

国土交通省『高齢者の住まいに関する現状と施策の動向』

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