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給与や預金口座、家具差し押さえ…9ヵ月間「マンション管理費」を滞納する困った住人への最終宣告【弁護士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月25日 14時45分

給与や預金口座、家具差し押さえ…9ヵ月間「マンション管理費」を滞納する困った住人への最終宣告【弁護士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

マンション管理組合の理事をしていると、さまざまなトラブルが発生するでしょう。なかには、管理費を滞納している住民がいるといったこともよく聞くトラブルの1つです。住民とはできるだけ円満な解決を図りたい……。そこで今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、マンション管理費の滞納トラブルについて、川畑貴史弁護士が詳しく解説します。

管理費を9ヵ月間滞納する住民

相談者はマンション管理組合の副理事長を務めています。現在、マンション管理費の9ヵ月間の滞納者に頭を悩ませています。管理組合が連帯保証人を求めるべきなのかも迷っている観点です。そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

(1)この滞納者の対応について、どのような法的措置が適切でしょうか。

(2)今後同様の事態に備えた予防策を教えてください。

まずは直接交渉を、難しければ訴訟提起も視野に

滞納者への対応として、まずは、管理会社の担当者や理事長などが直接自宅を訪問して支払いを求めたり、管理組合としての強い意思表示を示すために内容証明郵便などで支払いを求めたりすることになります。

内容証明郵便では、いつまでに管理費の支払いがされなければ、訴訟提起等の法的措置を講じる旨や弁護士費用等の請求も行う旨を記載して、強いプレッシャーを掛けることになります。

内容証明郵便は、弁護士名義で送付したほうが与えるプレッシャーとしては強くなりますが、弁護士費用も掛かります。そのため、まずは管理組合理事長名義で送付して、それでも応答がない場合には弁護士に依頼して弁護士名義で送付することも選択肢に入ってくるでしょう。

それでも支払いがない場合には、訴訟提起が必要になってきます。訴訟提起は、総会の決議を得てすることが原則となりますが、規約で理事会の承認をもって総会の決議に代える特別の定めがある場合には、理事会の承認で可能となります。訴訟提起をする場合には、やはり弁護士に依頼して解決を図るケースが一般的となりますが、これにもやはり弁護士費用の負担が発生する問題はあります。

訴訟提起後、裁判所における和解などで回収ができることもありますが、支払う意思が一切見られない場合には、判決に基づき、滞納者に強制執行が可能となります。

強制執行としては、滞納者の給与や預金口座の差押え、賃借人がいる場合は賃料の差押えなどが多いですが、自動車や家具の差押えを行ったり、物件自体に担保がついていない場合は、競売請求を行うなどして回収することになります。滞納者に資力がなく、物件自体に担保が付いている場合には、滞納者からの回収が難しいケースもありますが、物件を任意売却や競売で取得した買受人にも滞納分の請求は可能ですし、連帯保証人がいれば連帯保証人に連絡することで、滞納者が支払ってくるケースがあったり、連帯保証人に資力があれば回収ができたりするケースもよくあります。

そのため、回収可能性を上げるためには、請求対象者を増やすことが効果的であり、連帯保証人を付けることは非常に効果的な方法といえます。

管理費滞納の予防策は「連帯保証人の設定」と「管理規約の検討」

今後の予防策として、管理費等の支払いについて連帯保証人を付けることを必須とすることは、滞納者が連帯保証人との関係性から滞納して迷惑を掛けるわけにはいかないという心理的な強い抑止力が期待できます。さらに、連帯保証人に対しても滞納分を請求できることは、回収の可能性を上げるためにも大きな効果が期待できます。

また、過去の経験より、滞納額が大きくなる前に対処したほうが早期に解決するケースが多いです。弁護士名義での内容証明の送付は、与えるプレッシャーが強くなりますので、日ごろの管理組合業務に伴うトラブルも含めて、気軽に相談できる弁護士を確保しておくことも重要になるかと思います。

なお、弁護士に訴訟提起を依頼する場合には、どうしても弁護士費用が発生するため、躊躇する方も多いでしょう。そこで、管理規約において弁護士費用を違約金として請求できる旨を記載しておくことで、その費用を滞納者に対して請求できるとされています。そのため、かかる規定があるかどうか、一度管理規約を確認されてみてください。

そして、管理規約に規定があった場合においても、管理規約の定めに基づく弁護士費用の請求として、「実際に支出した弁護士費用」の請求が認められるか、または、「裁判所が相当と認定した額」の請求が認められるのかが、争われるときがあります。この点について、裁判所は、

その趣旨を一義的に明確にするためには、管理規約の文言も「違約金としての弁護士費用」を「管理組合が負担することになる一切の弁護士費用(違約金)」と定めるのが望ましいといえよう。

としています。つまり、管理規約において、「管理組合が実際に支出した弁護士費用」を滞納者に請求できると明確に規定されているのかが重要なポイントとなりますので、もし明確でない場合、管理規約の改定をするのが望ましいと思われます。

川畑 貴史

弁護士

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