世帯年収1,300万円の40代夫婦〈1億円のタワマン〉購入に気分高揚も「妻にかかってきた1本の電話」で撃沈。一生、賃貸暮らしを覚悟する理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月19日 7時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
できるだけ年金の受取額を増やしたい、その思いを叶える「年金の繰下げ受給」。70歳で受給開始としたら年金受取額は約1.4倍、75歳で受給開始としたら年金受取額は約1.8倍。これだけ年金が増えればお金の心配は一切なし、とは限らないようです。
不動産価格上昇…億を出さないと「東京で家を買う」は無理
国土交通省が17日発表した2024年7月1日時点の基準地価は、全用途の全国平均が1.4%上昇。上昇は3年連続で、さらに上昇幅も昨年より0.4%拡大。バブル期以来最大でした。東京などの三大都市では3.9%上昇と上昇が加速する一方で、注目は地方。札幌市、仙台市、広島市、福岡市の大都市を除いた「その他」の地域において、上昇率はバブル期以来、プラスに転じ、東京を始めとした地価上昇の波は地方にまで到達し、全国規模になったといっても過言ではないようです。
ただ手放しでは喜べないのが、マイホームを検討している人たち。地価のほか、材料費や建築費などの高騰により、「いつか落ち着くだろう」と静観していたのにも関わらず、どんどん高くなっていく不動産価格に、「完全に買い時を逃した」という人も。
「東京五輪が終わったら、価格は落ち着くとかいっていましたよね」と話す、高橋健太さん(仮名・44歳)美香さん(仮名・40歳)夫婦。このような論調が強かった、今から5、6年前を振り返り、「あのとき買っていたら」と後悔することもあるとか。不動産価格の天井がみえないなか、「もう待っていても仕方がない!」とマイホーム購入を決めた夫婦。ちょうど子どもは中学受験を控えている。通勤と通学を考慮して購入を検討したらいい、と考えたといいます。
用意できる頭金は2,000万円まで。通勤と子どもの希望校を考慮すると、都心が望ましいと考えていくと、必然的に新築マンションが候補に。そこでモデルルームをいくつかみにいきましたが、そのなかに、夫婦ともに気に入った物件があったといいます。それは、いわゆるタワーマンション。
――ネックは1億円近い価格と広さ
都心駅から徒歩10分圏内のタワーマンション(といっても、検討している部屋は10階未満)。子どもの第1志望の学校からも近く、ロケーションはバッチリですが、価格は9,800万円とほぼ億ション。さらに広さは3LDKながらも70平米以下で、少々手狭に感じられます。
簡単に住宅ローンの返済シミュレーションをしてみましょう。
[夫婦の収入]
夫:月収47万円(手取り月35万円)、年収880万円
妻:月収31万円(手取り月25万円)、年収500万円
[住宅ローン]
借入:7,800万円
返済方式:元利均等
金利:0.5%
返済期間:30年
[返済]
返済総額:8,401万2,247円
利息部:601万2,247円
月返済額:23万3,367円
年収倍率は7.1倍。不動産が高騰する東京では10倍も珍しくないといわれていますが、適正とされているのは5~7倍。また返済負担率は20.7%。こちらも20%前後が適正といわれているので、特に問題はありません。
二馬力で「都心×1億円の都心タワマン」を購入。ところが…
簡易的なシミュレーションの結果ではありましたが、「特に懸念することはありませんよ」と不動産会社の営業担当。しかしどんなに適正といわれていても、1億円近い買い物には抵抗が拭いきれません。
――最近は共働きがほとんどなので夫婦でローンを組まれるのが一般的です。みなさん、億ションを買われていますよ
担当者から「一般的」「みんな」などと聞くと、「それであれば」となるから不思議なものです。マイホーム購入を決断した高橋さん夫婦。しかし、問題はここからでした。
住宅ローンの申込から2週間ほど経ったある日、妻美香さんの携帯電話に、不動産会社の営業担当から1本の電話。
――奥様、実は住宅ローンの審査に落ちました
美香さん。実は心当たりがあったといい、営業担当に打ち明けます。
――そんなことが……旦那様には(ローン審査に落ちたことを)私からご連絡しましょうか
――いえ、私からお話します
ローン審査に落ちた理由。それは美香さんのクレジットカードの滞納歴。いわゆるブラックリストにのっている可能性が高いというのです。
――普段使わないカードだったので、すっかり返済期限を忘れていました
――滞納したのは2、3万円くらいだったから、大丈夫かもと思ったんですが……ダメでした
その日の夜、ローン審査に落ちたこと、その原因と考えられるのがカード返済の滞納であることを健太さんに打ち明けた美香さん。激怒されることを予想していましたが、笑って許してくれたといいます。問題は健太さんの融資枠をギリギリいっぱい使ってまでマイホームを購入するかどうか、ということ。普通に考えると、健太さんが借りられるのは最大6,000万円程度。そこに頭金として用意している2,000万円を足しても、このご時世、新築マイホームは難しそうです。
郊外まで範囲を広げて検討するかどうか……悩んだあげく、妥協して家を買っても後悔するのが目に見えている、とマイホーム購入計画はいったん中止に。
――いつマイホームを買えるのか……一生、賃貸生活も覚悟しないといけませんね
ブラックリストの保存期間は、借金の返済日から5年ほどといわれています。ブラックリストから名前が消えたとき、再チャレンジの可能性はあるものの、今よりも不動産価格が上昇している可能性も濃厚。またもや買い時を逃した高橋さん夫婦。マイホームは夢のまた夢のようです。
[参考資料]
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