「年金なんて将来どうせ…」働き続け、払い続けて「もらえる年金額」に戦慄
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月18日 22時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
働いていた際の給与と、加入期間で厚生年金の受給額は決まります。毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」には、これまでの納付額が記載されており、「こんなに払っているのか…。この払っている分、貯金しておくほうが得なのでは?」と思う人もいるようです。本記事では、「年金の意義」について検証していきます。
就職氷河期世代「どうせもらえないから、払わない」
「年金なんて将来どうせもらえないから、払わないほうが得だ」という意見は、数十年も前から存在しました。実際に払っていない人も多くいました。ここでいう「払わない」年金というのは「国民年金」のことで、日本に住んでいる20歳から60歳未満のすべての人が加入するものであり、本来、「払わない」という選択肢はありません。
“国民年金(基礎年金)は、日本に住んでいる20歳から60歳未満のすべての人が加入します。国民年金のみに加入する人(第1号被保険者)が月々納付する年金保険料は定額(令和2年度時点で16,540円)ですが、平成16年度から保険料が段階的に引き上げられてきましたが、平成29年度に上限(平成16年度価格※で16,900円)に達し、引き上げが完了しました。その上で、平成31年4月から第1号被保険者に対して、産前産後期間の保険料免除制度が施行されることに伴い、平成31年度分より、平成16年度価格で、保険料が月額100円引き上がりました。
※平成16年度の物価・賃金水準での価格です。実際には、その時々の物価・賃金の状況に応じて変わります。
国民年金(基礎年金)の支給開始年齢は65歳で、納付した期間に応じて給付額が決定します。20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付していれば、月額約6.5万円(令和2年度)の満額を受給することができます。”『いっしょに検証!公的年金 〜財政検証結果から読み解く年金の将来〜 ー 厚生労働省』より
会社で働いている人の場合、国民年金は厚生年金と共に、自動的に納付されています。前述の「年金なんかもらえないから払っていない!」という人は、就職氷河期時代にフリーターや無職であった当時の若者に多く見られました。「年金を払うお金もない」という人も多く、親に立て替えてもらったり、納付猶予や免除制度を活用したりでしのいでいたようです。
「もらえるわけがないだろう…」という風潮
当時、「将来、年金なんてもらえるわけない」という風潮がどこから来たのかというと、それは年金が賦課方式であるところからでしょう。現役世代が納めている年金が、そのときの受給者に支払われる仕組みです。
“賦課方式というのは、高齢者に支払う年金の財源を現役世代に負担してもらおうという方式です。家庭に例えるなら、子どもが親の生活費を負担するようなものです。親2人に対して、子どもが3人、4人といれば、1人の子どもが負担する金額も少なくて済むかもしれませんが、子どもが1人あるいは2人となると、大変です。残念ながら、日本の年金制度は賦課方式を採用しています。”『30歳から定年までで2億円つくる ほったらかし資産運用術』より
超少子高齢化の日本において、自分たちが受け取る側になったときに、この方式が成り立つはずはない……このロジックは、「世代格差」のネガティブな影響をもろに受けた就職氷河期世代に響くものがありました。支払っていない分、自らが後から損するわけですが「搾取ばかりされるのはごめんだ」と、小さな反骨精神で実行する人もいたのです。
勤労40年…払い続けて「もらえる額」は?
それでは20歳から60歳まで、真面目にコツコツと会社で働き続けた場合、どのくらいの金額が受け取れるのでしょうか? 厚生労働省が運営する『いっしょに検証!公的年金 〜財政検証結果から読み解く年金の将来〜』というサイトでは、
「おおよその年金額を知りたいときはどうしたらいいんだ?」という質問に対して、下記の金額が例としてあげられていました。
“厚生年金に40年間加入して、その期間の平均収入(月額換算した賞与含む)が月43.9万円の場合、受給額は月額約9.0万円の老齢厚生年金と、月額約6.5万円の老齢基礎年金を合計した約15.6万円(令和2年度)になります。”
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のなかで正規社員の平均給与は508万円、月にすると約42.3万円なので、平均よりも少し多めの額ですが、およそ平均です。
「その分、自分で貯金をしておいたほうが得」なのか?
ここで算出された年金の給付額が高いとみるか、安いとみるか、それこそ「その分、自分で貯金をしておいたほうが得だ」と考える人もいるでしょうが、同サイトでは年金の意義について、以下のようにも述べています。
“誰でも、何歳まで生きるか分かりません。老後に備えて貯蓄をしていても、それを使い切ってしまう可能性もあります。逆に、老後への不安から現役時代に過度な貯蓄をしようとすると、若いときの消費が低くなってしまいます。
それに対して公的年金は、終身で(亡くなるまで)受給できる仕組みです。これによって、現役時代に過剰な貯蓄を行う必要がなくなりますし、なによりも、長生きして生活資金がなくなるという事態に備えることができるのです。”
貯金であれば、長生きをした際にいつか尽きてしまうかもしれないし、長生きを見込みすぎて「使えなくなる」ことも想定されるという理屈です。納得することはできるでしょうか。「長生きすれば、どこかで得になるかもしれないが、その分岐点が何歳か教えてくれ」という声も聞こえてきます。
実際、年金制度は他にも「物価の変動や、賃金の上昇に比較的強い」など様々な側面から考察されたうえで、制度ができあがっています。超少子高齢化時代に合っていないという声は多いですが、他によりよい制度はあるのか、厚生労働省の『いっしょに検証!公的年金 〜財政検証結果から読み解く年金の将来〜』を一度読んでみるといいかもしれません。
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