テレワークが増えて部屋の広さに対する考え方に変化が!理想の部屋に近づくヒント
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月28日 11時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
快適な部屋で過ごしたいですよね。勤務医で賃貸オーナーのこう氏は著書『ひとり暮らし大全 自分空間を整えれば人生は好転する!』で理想の部屋にまつわるヒントを伝えています。どんなことを知ればいいのでしょうか? 本書から紹介します。
テレワークが増えて部屋の広さに対する考え方に変化が!
コロナ禍では多くの変化が起きました。生活様式だけでなく部屋に対する意識もそうです。特に、テレワークが増えて在宅時間が長くなったことから〝居心地の良さ〟や〝仕事のしやすさ〟を多くの人が求めるようになりました。そんな社会の変化が発端となり、部屋の広さに対する考え方も変わりました。
コロナ前は20平米を切っている部屋(リビングは6〜8畳以下)でも入居希望者はたくさんいたのに、コロナ後は25平米(リビングはおよそ8〜11畳)くらいないと入居希望者が見つかりにくくなりました。家賃が上がることになっても25平米くらいの広さを求めるようになった、ということです。
不動産情報サイトのアンケートでも「部屋が広いほうが苦痛なくテレワークができる」という声が多く寄せられていました。部屋では寝られさえすればいいというイメージをもっていた若い会社員も、はっきりと意識を変えていたわけです。さらに、コロナ禍では23区内にこだわらず郊外で広い部屋を探す人も増えました。郊外なら家賃も下がるので、通勤時間よりも快適さを優先していたのでしょう。
コロナが落ち着いてきてから23区内の賃貸物件の人気は戻ってきましたが、部屋に快適さを求める意識がなくなったわけではありません。自分の部屋をどうするかということを以前よりも真剣に考えるようになった人が増えてきたのは間違いないはずです。「早く帰りたい」と思えるだけでも毎日の生活はまったく違うものになってきます。そういう日々を生み出してくれる〝理想の部屋〟を誰もが求めるようになったのです。
ノートパソコンを使ってカフェなどで仕事をするのを日課にしている人も増えましたが、効率面で考えればそれも疑問です。必要になりそうな資料は持ち込むようにしていても、実際に作業を続けていれば「あの資料も必要だったな」となるケースも出てくるはずです。カフェで仕事をするのは、落ち着く、気分転換になる、コーヒーがおいしい……などの理由があるのでしょう。ですが、結局のところ、自分の部屋を理想的なものにできていないためにそうしているわけです。
カフェに行けばお金もかかります。そんなムダを省く意味でも「仕事も部屋でやりたい」と思える環境づくりが大切になります。どうすれば自分の部屋をより快適にできるかを考えることは、リモートワークの有無とは関係なく、誰にとっても大切なテーマになります。
東京23区では専有面積の最低限を定める「ワンルームマンション規制」が敷かれるようになったので、今後は狭いワンルームマンションを建てるのが難しくなります。その分、平均家賃が上がることになるので、借りた部屋をできるだけ快適な空間にしなければ、とてももったいないことです。〝今の部屋は自分にとって理想的な空間になっているか〟〝これから住むことになる部屋を理想的な空間にできるのか〟そういったことをこれまで以上に考えるようになるのが自然な流れです。
「くつろぐ空間」、「仕事をする空間」、「眠る空間」を分けるのが基本!
具体的にはどういうところに注意すれば、理想の部屋に近づけるのでしょうか? ひとり暮らしの人のほとんどは、ワンルームか1Kや1DKに住んでいるのだと思います。1LDK以上の部屋に住んでいる人は多数派ではないはずです。ワンルームか1Kであれば、居住空間や寝室などがすべてひと部屋に集約されますが、1DKであれば、居間(リビング)と寝室を分けられます。
1DKでは、DK(ダイニングキッチン)部分をリビングにあてて、もうひと部屋を寝室にあてる人が多いのだと思います。リモートワークがある人は、リビングの一画にワークスペースを設けるか、寝室の一画にワークスペースを設けるかを選択することになります。いずれにしても、1つの部屋か2つの部屋の中で「くつろぐ空間」、「仕事をする空間」、「眠る空間」の分け方を考えるわけです。
一般的に生活の中心になるのがリビングです。リビングは、テレビを見るなどして普段の時間を過ごす部屋のことです。本来なら食事をする場所や眠る場所とは分けて考えますが、都心のひとり暮らしであればなかなかそうはいきません。
ワンルームや1Kであれば、リビングを完全に独立させるのは難しいので、ダイニングを兼ねた空間とみなす場合が多くなります。そのうえで「仕事をする空間」、「眠る空間」を考えていくことになるわけです。ある程度の広さがなければ空間分けは難しくなるものの、そういうなかで部屋の選択や部屋づくりの工夫をしていくことになります。
「プライベート空間」がもつ意味
理想の部屋をつくることができていた場合、もっとも大きいのは心理的安らぎを得られることです。ストレスから解放されてリラックスできる避難所のような空間にできるので、通勤している人であれば「早く帰りたい!」と思うようになります。それだけ仕事がはかどります。リモートワークがあるならなおさらです。気分よく仕事ができているかどうかは大きな違いになってきます。
最近は〝プライベート空間が心理的にどのような意味をもつか〟という研究も進められています。たとえば、筑波大学に在籍していた泊真児先生と吉田富二雄先生による『プライベート空間の心理的意味とその機能』という論文によれば、プライベート空間には「情緒的解放」、「保全性」、「知的活動」という要素があり、それぞれについて次のような機能を有しているといいます。
情緒的解放としては、「緊張の解消」、「気分転換」、「日常的役割からの解放と自己開発」。保全性としては、「自己保全(個人的な情報を漏らさないこと)」、「自己概念の安定(家族や友人、同僚などとの親密かつ率直なコミュニケーション)」。知的活動としては、「課題への集中(仕事、読書、勉強などの課題志向的な活動)」、「自己注目(自己分析を行ったり、自分の内面の不均衡を調整するような活動など)」です。
このなかでもやはり注目したいのは「課題への集中」と「緊張の解消」、「気分転換」という部分になるのではないでしょうか。リモートワークが行われるようになったことで、知的活動を行う空間としての機能が強く求められるようになりました。だからこそ、知的活動(仕事)に集中できる環境と、仕事を離れたときにリラックスできる環境の両面が求められるわけです。
ワンルームなどでも「衝立(ついたて)」を置いて、空間を物理的に分割する人も増えています。衝立を置くかどうかはともかく、気持ちを切り替えられる空間づくりができているかが問われてくるのは間違いありません。
理想の部屋をつくるメリット
うまく空間分けができているか? 雑然とした部屋になっていないか? それができているかどうかで毎日が変わる、生き方が左右される、と言っていいのではないかと思います。整った部屋にできていれば、自己肯定感をもつことにもつながります。
私の場合、もともと片付けがかなり苦手で、学生時代に暮らしていた部屋などはずいぶん散らかっていました。しかし、部屋を片付けることを意識するようになり、理想の部屋と現実の部屋のギャップが埋まってくると、「自分にもやれるんだ!」という達成感を得られました。その積み重ねが成功体験になり、自己肯定感になっていきます。
私は認知症の専門医資格も取っています。経験的にいって、部屋の掃除などをしたがらない人は認知機能が低くなりやすい傾向が見られます。「遂行機能」といいますが、ルーティンなどを決めてそのとおりに掃除などができている人は認知機能が落ちにくいものです。そういう意味でも20代、30代のうちから常に部屋をキレイにする習慣をつけておくことは大切です。
何かの習慣化ができると、他のことでも習慣化できるのではないかと思えるものなので、前向きになりやすい。ポジティブ思考も促進されます。そもそも空間が整理されていると、心理的な余裕が生まれやすいものです。ディスカウントストアのドン・キホーテのようにさまざまな商品がすきまなく積み上げられている「圧縮陳列」が好きな人もいるでしょう。お店ならよくても生活空間となれば話は別です。部屋がドン・キホーテのようになっていれば、普通は圧迫感を受けて、心理的な余裕をなくします。
余計なものが目に入ってこない整然とした部屋のほうが視覚的なストレスが減って脳に負担がかからないものなのです。空間をうまく分けられたなら、それぞれのタスクの進行はスムーズになります。焦燥感や不安感がなければ仕事上のストレスにも冷静に対処できるようになります。
そうなってくれば、寝つきもよくなり、眠りの質も向上します。翌日の目覚めがよければ、またパフォーマンスがあがります。理想の部屋が導いてくれるのは、そういう好循環です。
こう 賃貸オーナー
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