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浅はかでした…〈月収37万円・65歳の現役サラリーマン〉、64歳から特別支給の老齢厚生年金を受給も「受け取らなきゃよかった」、安易な判断が「大後悔」を招いたワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月26日 10時15分

浅はかでした…〈月収37万円・65歳の現役サラリーマン〉、64歳から特別支給の老齢厚生年金を受給も「受け取らなきゃよかった」、安易な判断が「大後悔」を招いたワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

複雑怪奇な年金制度。理解するのは容易ではありませんが、だからといってわからないままだと、いつの間にか損をしていることも珍しくはないようです。

昭和34年生まれのサラリーマン、64歳から年金の受取り開始

――年金の受け取りは65歳からだと思っていたので、得した気分でした

当時を振り返る清水徹さん(仮名・66歳)。60歳の定年以降も再雇用で働いているなか、64歳に達する3ヵ月ほど前に日本年金機構から緑色の封筒が届きました。入っていたのは年金請求書。清水さんは案内に従って手続きをしたといいます。

特別支給の老齢厚生年金は、昭和60年の法律改正で老齢厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことを受けて、受給開始年齢を段階的にスムーズに引き上げるために設けられたもの。男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれていることがひとつの条件です。

昭和34年4月以降生まれの清水さんは64歳から1年間、特別支給の老齢厚生年金を受け取りました。受給額は老齢厚生年金の報酬比例部分で、清水さんは月12万円ほどを受け取っていました。

――給与が月32万円ほどで合わせると月44万円。定年前とまではいかないけれど、ずいぶんと生活に余裕が生まれました

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマン(平均年齢42.6歳)の平均給与は月収で40.8万円、賞与も含めた年収は673.6万円。60歳前の月収は53.2万円で、年収は879.1万円です。60歳以降、再雇用で非正規社員になったとしたら、月収は31.9万円ほどにダウンします。

定年を境に月20万円も収入が減るわけですから、給与減に備えていないと破産確定。そんな状況のなか年金がプラスされ、減少分をいくらかカバーできたわけですから、清水さんの「余裕が生まれて感謝」という言葉も納得です。

【大卒サラリーマンの平均給与の推移】

20~24歳:24.3万円/356.2万円

25~29歳:28.3万円/474.0万円

30~34歳:32.6万円/549.4万円

35~39歳:37.9万円/645.5万円

40~44歳:42.4万円/704.2万円

45~49歳:46.7万円/774.5万円

50~54歳:50.6万円/839.7万円

55~59歳:53.2万円/879.1万円

60~64歳:32.0万円/498.6万円

※数値左より月収/年収。59歳までは大卒・男性・正社員、60歳以降は大卒・男性・非正規社員の平均値

年金も給与も増加…嬉しいはずが、なぜか抱いてしまう「後悔の念」

「給与+年金」で生活に余裕が生まれた清水さんでしたが、年金受給の申請をしたことを後悔する事態に直面します。

それは昨今の賃上げによって、清水さんの給与は月5万円ほどアップ。さらに賞与も年間80万円ほどになりました。働きながらもらうことのできる年金である在職老齢年金には、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止になる仕組みがあり、その限度額を超えてしまったのです。

その基準額はコロコロと変わりますが、直近では月50万円。基本月額*1と総報酬月額相当額*2との合計が50万円以下であれば「全額支給」となり、50万円を超えると「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2」だけが支給されます。

*1:加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額

*2:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

さらに厚生年金保険への加入を続けると、その分年金は増えます。そして老齢厚生年金の受取額は前年9月から当年8月までの厚生年金保険加入期間を反映し、毎年10月分(12月受取分)から年金額は改定となります。清水さんの場合、毎年1万円ほど、老齢厚生年金が増えているそう。

増えた老齢年金と月収、賞与を加味すると……清水さん、3万円ほど「支給停止」になる可能性が出てきました。

――支給停止!? それってあとで受け取れるんですか?

――いえ、残念ながら……

――なぜ!? ふざけるな!

年金停止になるかもしれないという事実を知り、思わず頭に血がのぼったといいますが、冷静になるにつれて、何も考えずに年金の受け取りを開始してしまった自分が浅はかだったのでは……という考えに至ったといいます。

働きすぎを抑制する在職老齢年金は、昨今の情勢を加味して廃止の議論がされています。しかしいまのところは、働きながら年金を受け取るか、それとも受取年齢を繰り下げるかなど、色々とシミュレーションのうえ、それぞれが納得した答えを出すことが求められています。

[参考資料]

日本年金機構『特別支給の老齢厚生年金』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

日本年金機構『在職中の年金(在職老齢年金制度)』

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