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ご希望に添えかねる結果となりました…世帯年収1,400万円・30代パワーカップルが、住宅ローン審査落ち。「そういえば」口を開いた夫に原因、〈銀行の総合的判断〉の正体【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月4日 10時45分

ご希望に添えかねる結果となりました…世帯年収1,400万円・30代パワーカップルが、住宅ローン審査落ち。「そういえば」口を開いた夫に原因、〈銀行の総合的判断〉の正体【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人の夢である「マイホーム」。人生で最も高い買い物ともいわれるだけあり、ほとんどの人が「住宅ローン」を活用するでしょう。お金を借りる際に重要なのはなんといっても「信用」で、年収が高ければ審査は問題なさそうなものですが、実際には一筋縄ではいかないようで……。 本記事では、Aさん夫婦の事例とともに、住宅ローンに申し込む際の注意点について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。

ペアローンでマンション購入を決意したパワーカップル

※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。

都内に住む30代のAさん夫婦は結婚生活4年目になります。これまで賃貸マンションで暮らしていましたが、妻の妊娠をきっかけにマンションの購入検討を始めました。子供の将来や、今後の家族の生活を考え、持ち家に住むという結論に達したのでした。

夫婦が考えているのは、都内でも比較的静かで、子育てのしやすい環境のあるエリア。都内でも人気の高いエリアで、2人の希望する条件でのマンション相場は8,000万円前後とのこと。

物件探しを始めて数ヵ月後、ようやく見合うマンションを見つけることができました。築浅の中古マンションで、少しのリフォームで問題なく住むことができそうです。

夫のAさんはメーカー勤務、妻は金融業で勤務しており、いわゆるパワーカップルと呼ばれる収入状況ではありましたが、「持ち家はお互いのもの」という考え方からペアローンを選択しようと決めていました。

Aさん夫婦

夫33歳 メーカー 年収800万

妻31歳 金融業  年収600万

物件価格 8,000万円

住宅ローン

変動金利:0.375%

借入期間:35年

早速不動産会社へ申込を入れ、住宅ローンの事前審査を行うことに。

予想外の審査結果

「……ご希望に添えかねる結果となりました」銀行の担当者からの予想もしない言葉に、2人は固まりました。

「そんな……。収入状況は問題ないはずなのに、どうして……?」

理由を聞いてみても、「総合的判断で」の一点張りで、否決理由は教えてくれません。A夫妻はなぜローン審査に通らなかったのでしょうか。

審査に通らない…考えられる3つの原因

住宅ローンは、「年収が高ければ通る」というものではありません。審査には複数の要素が関わり、その結果によって融資が決まるため、しっかりと理解しておくことが大切です。

1.勤続年数が短い、年収が低い

住宅ローン審査で見られる要素の1つに「勤続年数」があります。

収入が安定しているかどうかを判断するため、金融機関は借り手の勤続年数に注目します。一般的に3年以上の勤続があると審査が有利になりますが、それより短い場合は「今後の収入の安定性に懸念がある」と判断されることがあります。

希望借入額に対して年収が見合っていない状態も注意が必要です。年間の収入に対してどれだけの金額をローン返済に充てるかの割合を返済比率といいますが、通常、この返済比率は30%以内に抑えることが推奨されます。収入が多くても、返済比率が高すぎると「返済が難しい」と判断されるため、ローン審査に影響を与えます。

たとえば、年収600万円の場合、返済比率が30%だとすると年間で180万円、月々の返済額は約15万円までが適切な範囲です。もしそれを超える返済計画を立てていると、審査に通りにくくなることがあります。

住宅ローンの審査を左右する「信用スコア」

2.ほかに借入がある

もう1つの大きな要因として、「既存のローンや借金」が審査に影響することがあります。

金融機関は、住宅ローンの審査を行う際に、借り手が他にどれだけの借金を抱えているかもチェックします。もし、車のローンやクレジットカードのリボ払いなど、他の借入金がある場合、それらも含めた総合的な返済能力を評価されるのです。

A夫妻は、上記のどれにも該当しませんでした。お互いに大学卒業から同じ会社で、借入もありません。しかし、よくよく考えてみたAさんが「そういえば……」と口を開きました。

3.信用情報に問題がある

住宅ローン審査では、年収のほかに「信用スコア」が重要となります。信用スコアとは、過去の借入やクレジットカードの利用履歴、返済状況などをもとに計算される「信用力」の評価です。金融機関は、この信用スコアを使って借り手が過去にしっかりと返済をしてきたか、今後も安定して返済できるかを判断します。

たとえば、過去にクレジットカードの支払いを何度も遅延したり、リボ払いの残高が多かったりする場合、信用スコアが低くなり、住宅ローンの審査に悪影響を与えることがあります。年収が高くても、信用スコアが低ければ「返済能力に不安がある」と見なされ、審査に通らない可能性があるのです。

Aさんは大学時代に奨学金を利用しており、現在も返済を続けています。返済口座は大学時代にアルバイト代の受取のために開設した銀行口座を使っており、毎月、メイン口座から返済用口座へ振り込みを行っていました。

数年前に、仕事が忙しくうっかり数ヵ月入金を忘れてしまいました。そのあいだに奨学金の借入先である日本学生支援機構から催促の連絡はありましたが、後で振り込もうと考えているうちに月日が経過してしまったとのことです。

奨学金も借入にあたり、返済が滞ると個人信用情報機関に個人情報が登録されます。現在奨学金を返還されている方は、延滞3ヵ月以上で個人情報が登録され、住宅ローン等の借入に大きなマイナスとなる場合があります。

住宅ローンの審査に通るには

1.勤続年数が短い、年収が低い→借入額に見合う物件への見直し、頭金の増額

収入に対して借入額が多いと審査が厳しくなります。頭金を増やすことで住宅ローンの額を減額するか、少し安い物件を選んで借入額を減らすことで、審査に通りやすくなります。

勤続年数が短い場合、特に転職直後などは、金融機関からは「安定していない」と見なされることがあります。数年間同じ職場で働き続けることで、収入の安定性が証明され、審査に通る可能性が高まります。

2.ほかに借入がある→完済する

既存の借入がある場合は、住宅ローン申込前に完済しましょう。これにより信用スコアを向上させることが可能です。特に、クレジットカードのキャッシングなどの高利な借金は、早めに返済することをおすすめします。

3.信用情報に問題がある→5年待つ、パートナー名義でローンを組む

過去にクレジットカードや奨学金などの滞納がある場合、信用情報機関に登録されている場合があります。いわゆる「ブラックリスト」という状態です。この場合、一般的に5年間は情報が残るとされています。ローン審査の際に保証会社は信用情報を確認するため、滞納歴が発覚すると大きなマイナスとなる場合があります。

信用情報は、自身でも確認することができます。CICやJICCといった信用情報機関で自分の信用情報の開示請求を行い確認しておくことも手です。

待つか、買うか…夢のマイホームを実現するために重要なポイント

A夫妻は、これから生まれてくる子のためにも、購入を先送りにせず、妻名義で購入することを決めました。幸い貯蓄は堅実に行ってきたので、頭金を多く出し、妻フルローンでも対応可能な金額までローン金額を下げることにより、審査を通す方向でいるとのことです。

「いま買うのをやめてしまうと、これからの生活を考えたときに住宅購入の検討自体をやめてしまう気がしたから」とA夫妻は言います。

住宅は人生で最も大きな買い物とされています。だからこそ慎重な計画が必要ですが、マイホームを必要とすべきタイミングにも関わらず先送りにしなければならない、といった状態は避けたいものです。

「我が家は、いまが一番マイホームが必要なタイミングだと感じたんです」とAさんの妻は話します。

ライフステージの変化により、家族それぞれにタイミングはあります。それは突然やってくるかもしれないし、数年後かもしれません。どのような状況となっても目標を実現させることができるような計画を立てることができるよう、日ごろから準備を行っていただけたらと思います。

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス

代表

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