日本の弁護士の数は4万人、アメリカは133万人…訴訟文化が根付く社会で「失敗した人」の「扱い」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月20日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
仕事で失敗したとき、あなたはまずなにをしますか? 文化の異なるアメリカと日本では、その後の対応が大きく異なるようで……。本記事では、上級心理カウンセラーである野口雄志氏の著書『最大の成果をあげる心理的安全性マネジメント 信頼関係で創り上げる絶対法則』(ごきげんビジネス出版)より一部抜粋・再編集して、日米の失敗の捉え方の違いについて解説します。
失敗の捉え方の文化の違い
日常生活のなかで失敗をしたり、業務上でミスをしたりすることは、誰でも経験があることです。失敗することを提唱しているわけではなく、失敗したときに対応をどのようにするかで、その失敗が次の成功に結びつく可能性があるのです。
ここでいう日米の違いは、失敗をしてしまったときの個人や組織の在り方についてお伝えします。決して難しいことではなく、失敗だけを捉えるか、少し上空から失敗の前後を俯瞰して見られるかの違いで、大きく変わってきます。日米とも組織や個人の多様性がありますので、ここでお伝えするのは一般的な流れや対応と認識ください。少し具体的に日米での違いを説明します。
日本社会における失敗時の対応
1.謝罪と謙虚さが重要
私の会社生活での経験でも、仕事上で失敗したときは「まずは謝ること」を徹底的に指導されました。たとえこちらに落ち度がなかったとしても、日本では提供する側がまず謝罪、あるいは謙虚な態度で対応することが強く求められます。とくに社会的に問題になるような失敗は、失敗を犯した個人や組織は社会的責任を取り戻すために対応が求められます。ここで個人を全面に出すかどうかも大きな判断になるでしょう。
2.個人の責任か組織での連帯責任か
失敗が個人や特定の人物によることが確定しても、その責任は組織全体に帰されることがあります。組織はその失敗がなぜ発生したのか、そこに問題はなかったのかを説明します。今後同様の失敗を防ぐための対策や改善策をいかにはやく表明するかも、組織としての責任になるでしょう。日本では組織における対応が謙虚であるか、誠実であるかが、社会がどう評価するかを意識しています。失敗が社会的に大きな影響を与えるものである場合、個人や組織は社会的信頼を取り戻すための努力をします。
アメリカ社会における失敗時の対応
1.個人の責任を追及し裁判へ
アメリカ社会では、個人の責任が重要視されます。法的な手続きを含む裁判文化が存在していますので、失敗が個人の行動や判断に起因する場合には、すぐに訴訟などの法的手続きが行われることが多いです。アメリカの訴訟文化、裁判文化といわれる所以です。
アメリカの弁護士の数は、日本弁護士連合会の2021年の調査によると133万人もいて、(人口に差があるにしても)日本の4万3000人、ドイツの16万5000人と比較しても一桁多い数が存在します。その理由は、アメリカに訴訟文化が根付いているのは間違いありません。個人の権利と法的保護を重視する社会であり、憲法や法律に基づいて市民の権利を保護することが重要視されているのです。これに伴い、法的アドバイスや代理業務を提供する弁護士の需要が高まります。
2.反省と教訓の共有
アメリカ社会では、失敗をした個人や企業がしばしば公にその反省と教訓を共有することが求められます。ほかの人たちが同じ過ちをくりかえさないようにする意図があるのです。会社内でも失敗に対する経過と原因、対応策など事実を明確にし、隠し事はせず必ず公にします。これにより、他人も同じ過ちを起こすことがないように予防できます。
3.再出発とリカバリー
アメリカの文化では、失敗からの立ち直りと再出発が重要視されます。失敗をしてしまった事実は変えられません。失敗を乗り越えて成功をおさめる例は多く、個人や企業が新たなチャンスをつかむことが尊重されます。
心理的安全性が高い環境では「挑戦」がしやすい
失敗を組織の恥として、できれば隠したい日本と失敗したことを次につなげようとするアメリカとでは、新しいことをはじめようとしたときに、気持ちのうえで大きな影響を及ぼすことになります。日本における、できれば新しいことに取り組まない、「挑戦」を好まない組織文化は、このような理由でできてしまっているのです。
心理的安全性が高い環境とは、常に構成者が新しいことに挑戦できる環境になります。日米の比較に見る失敗時の対応の違い、失敗の捉え方などは大いに参考になる点です。
野口 雄志
グリットコンサルティング合同会社
代表
※本記事は『最大の成果をあげる心理的安全性マネジメント 信頼関係で創り上げる絶対法則』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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