年金31万円の仲良し夫婦、72歳夫急逝に68歳妻が号泣。さらに旧友から「意外ともらえる」と聞いていた遺族年金が〈まさかの金額〉で二度目の号泣「計算、間違えているのでは?」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月2日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
遺族年金が廃止になる!? そんな話が広がっていますが、確かに改正の動きはあるものの、影響があるのは一部の人たち。ホッとひと安心、といきたいところですが、パートナーが亡くなったとき、誰もが十分な遺族年金を受け取れるとは限らないようです。
「遺族年金が廃止される」の噂の真相
遺族年金の噂が広まり、関係者が火消しに必死に……今年、そんなことが起きました。それは
――2025年に遺族年金が廃止になるらしい
結論からいうと、それは(いまのところ)噂でしかありません。それがSNSを中心に広まったのは、令和5年に行われた厚生労働省「第6回社会保障審議会年金部会」の資料の一部が広まったせい。その資料では「①子のない配偶者への遺族厚生年金」「②男性は受け取ることができない中高齢寡婦加算」「③子に対する遺族基礎年金」について課題提起されました。しかし①の内容が大きく報道されると、「遺族年金は廃止になるらしい」という噂がまことしやかにささやかれるようになったのです。
見直しが検討されたのは、20~50代の子のない配偶者が亡くなった場合、遺族年金を男女ともに5年に統一するというもの。そもそも現行では、以下の4パターン。
・夫を亡くした30歳未満の子のない妻は5年間の給付
・夫を亡くした30歳以上の子のない妻は一生受け取れる
・妻を亡くした55歳未満の子ないし夫は給付なし
・妻を亡くした55歳以上の夫は60歳から給付
女性が優遇されているうえ、共働き世帯が専業主婦世帯の倍以上というなか、時代にそぐわないという批判がありました。そこで現状に即し、男女ともに20~50代で子のない場合は5年間の給付に統一するよう、見直しがいわれているのです。
――年金が頼りだったのに……私の老後は終わった
そんなコメントも多くみられましたが、あくまでも見直しは20~50代の子のない場合。年金が生活を支える高齢者には関係ありません。
亡くなった配偶者が厚生年金の加入歴があれば受け取ることのできる「遺族厚生年金」。国民年金に由来する「遺族基礎年金」は子の要件があるので、そもそも子どもがいない場合や、すでに子が成人してしまった場合は対象外。それに対し、遺族厚生年金は子の要件はなく、年金世代であっても受け取れるもの。遺族年金廃止の噂を聞いて「年金が頼りだったのに……」と嘆く人たちは、ひと安心といったところ。
遺族年金「意外ともらえる」を信じていたが…
一方で「遺族年金などあてにならない」という内藤慶子さん(仮名・69歳)。1年前に4歳上の夫を亡くし、年金の手続きのために年金事務所を訪れた日のことを振り返ります。
最愛の夫を亡くし、涙に暮れていた内藤さん。そのとき思い出したのが、同じく夫に先立たれた古くからの友人の言葉でした。大手銀行に勤める男性と結婚した友人は結婚を機に専業主婦に。内藤さん、専業主婦の場合、受け取れる年金は老齢基礎年金(=令和6年度満額受給で月6万8,000円)だけと思っていたので、「生活費は大丈夫だろうか、きちんと暮らしていけるだろうか」と心配していたそう。
すると友人は「大丈夫よ。意外ともらえるのよ、遺族年金」との返事。
――夫が生きているときは、ふたりで月27万円くらいだったの。私の年金だけだと月7万円に満たないくらい。いまは月17万円くらいもらっているわ
確かそんなことをいっていたなと、ぼんやり思い出していた内藤さん。基礎年金だけもらっていた友人で、それだけの年金をもらっているのだから、自分はさらにもらえると考えていたとか。ところが年金事務所で聞いた遺族年金額は驚くほどの金額で、なぜか悲しくなり、涙が出てきたとか。
――えっ、計算、間違っていませんか? そんな金額ではないと思うんです
内藤さん、大学を卒業して就職したのは大手食品メーカー。そこで出会ったのが、亡くなった旦那さんでした。結婚後、旦那さんは転職をしましたが、内藤さんはその会社を定年まで勤め上げたそうです。順調にキャリアを積み重ねたからでしょうか、65歳から受け取っていた年金は、旦那さんよりは少ないものの、平均的な女性よりはずいぶんと多いものでした。
【内藤さん夫婦が65歳以降に受け取っていた老齢年金】
夫婦合計:月31.5万円
(内訳)
夫の年金…月16万円
妻の年金…月15.5万円
そもそも遺族厚生年金の受給額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額ですが、自身で老齢厚生年金を受給している人が遺族厚生年金を受け取る場合は、「①死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「②死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額を合算した額」の多いほうが遺族厚生年金の額となります。さらに老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止に。つまり「遺族厚生年金-自身の老齢厚生年金」がプラスであれば、そのぶんは自身の年金にプラスされるということです。
内藤さんの場合、①での計算では6.9万円、②での計算は8.95万円。そして自身の老齢厚生年金は8.7万円。つまり遺族厚生年金は差額の2,500円だけ受け取れるということになります。
夫婦で31.5万円受け取っていたのが、夫が亡くなったあとは15.75万円。友人から聞いていた「意外ともらえるのよ、遺族年金」は自分には当てはまらなかった……いまさら知る年金のルールに、泣くことになった内藤さん。しかも遺族年金は非課税。老齢年金は雑所得で課税対象。大切なパートナーを亡くしたのに、年金の手取り額にも差が生じ、モヤモヤ感はさらに増したといいます。
[参考資料]
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