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ブランド品、腕時計…高額商品の購入を迷っている人が満足する接客術とは?「商品知識」や「メリット」を語るよりも大切にすべきこと【元ルイ・ヴィトン トップ販売員が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月24日 10時15分

ブランド品、腕時計…高額商品の購入を迷っている人が満足する接客術とは?「商品知識」や「メリット」を語るよりも大切にすべきこと【元ルイ・ヴィトン トップ販売員が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

高額品の購入には、お客様の迷いや葛藤がつきもの。信頼できる人の言うことを信じたい気持ちは誰にでもあるはずです。そんなお客様には、どのように対応すれば心を動かすことができるのでしょうか。本記事では、元ルイ・ヴィトン トップ販売員の土井美和氏の著書『元ルイ・ヴィトン トップ販売員の 接客フレーズ言いかえ事典』(大和出版)より一部を抜粋・再編集して、お客様の心をつかむフレーズをご紹介します。

高額品の購入を迷っている:商品購入のメリットを述べるより、購入の葛藤に寄り添う

【無難なフレーズ】

すごく丈夫で、長く使えますよ

【心が動くフレーズ】

悩みますよね、わかります。私はいずれは娘に使ってもらおうと思って、半額分ってことで言い訳しながら買いました(笑)

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お客様には、「高額だからこそ信頼できる人から購入したい」という思いがあります。だからこそ、商品知識を並べ連ねるよりも、共感しながら未来を想像させることや、罪悪感をとり除くことに注力したいところです。

購入することで満たせる「欲」を提示する

高額品に興味を示してくださり、購入を悩んでいるお客様へのクロージング、それはお客様の「欲」を刺激することです。お客様は商品そのものがほしいわけではなく、「それを手にした未来」がほしいのです。その未来がどのような未来なのか、そこに「欲」を満たすイメージを提示できれば、購買意欲は高まります。

では、どのように「欲」を知ることができるのか。「どんな自分になりたいというイメージはありますか?」「人からどんなふうに見られたいですか?」という直接的な質問も、関係構築ができているお客様に対してはいいかもしれませんが、初対面のお客様にこのように質問するのは難しいでしょう。

ですから、5W1Hや過去・普段を伺う質問をしながら会話することで、お客様の「欲」を探っていきます。

販売員「なぜ、この腕時計に興味をお持ちいただいたのですか?」

お客様「かっこいいし、あんまり人がしているのを見たことがないから」

販売員「たしかにあまり人とは被らないですよね。普段から人とは被らないもののほうがお好きなんですか?」

お客様「そうですね。ちょっと変わったもののほうが、おっ!ってなりません?」

販売員「わかります。そういうものを持ちこなせている感じがまたかっこいいですよね。ちなみに普段、お仕事用とプライベート用で時計を分けていますか?」

お客様「はい、仕事用として使いたいと思って見ていたんですよね。実は今してるこれ、職場の同僚と同じ時計だと気づいて(笑)」

販売員「なるほど、そうだったのですね。とても人気のモデルですよね」

お客様「そうなんですよね。今は持ってる人よく見るようになっちゃって。買ったときは周りにしている人ほとんどいなかったのに」

このように会話をすることで、お客様がどのシーンでどんなふうに見せたいのか、誰にどう見られたいのかがはっきりします。

このお客様は、「仕事で使いたい」というニーズの中に、「人と違うものを持ちたい」という欲をお持ちだとわかるので、購入をお迷いの場合はこのように後押しできます。

「この腕時計は見た目にインパクトがあるので、初対面の取引先の方とお話しする際、時計をきっかけに『かっこいいですね、どこのですか?』と話が弾み距離が縮まった、なんていうお話も多いですよ。誰もがしている時計より、このような珍しいデザインのほうがお仕事でもいい働きをしてくれると思います」

他にもお客様がお持ちの「欲」によって、同じ商品でも伝え方は無限大です。

■こんな素敵な時計が腕元にあったら、お仕事のときも時間を見るたびにモチベーションが上がると思いませんか?(仕事のモチベーションを上げたいという欲)

■どんなに大きな家に住んでいても、素敵な車に乗っていても、それを持ち歩くことはできないですよね。しかし腕時計だけは、常にお客様のお手元にあるものなので、男性にとって腕時計はその人、ステイタスを語るアイテムでもありますよね。デートでお食事に行かれる際も、バッグや靴はテーブルに隠れてしまいますが、腕元だけは常に見えるので、時計に目がいくという女性は多いですよ。(異性からモテたいという欲)

このように「仕事がうまくいく」「モチベーションが上がる」「異性からモテる」「周りに自慢できる」……など、この商品によって欲が満たされ、日常がアップグレードするイメージが湧く言葉をお伝えすることで、購入の後押しができます。

〝罪悪感〟をとり除く言葉がけ

購入に対して罪悪感をお持ちのお客様には、〝金額に見合う価値がある〞ということをしっかり言葉にして、寄り添いながらお伝えします。

「決してお安いものではないので、悩みますよね。わかります。私も先日〇〇を購入したのですが、いずれ娘に使ってもらおう、だから私は半額分ってことで……と自分に言い訳しながら買いました(笑)」

「お子さんの代、お孫さんの代まで繋いでいけたら、いいですよね。それほど長くご愛用いただける価値のあるものです」

「自分の中で高いと感じることも、私は大切だと思っています。高いからこそ、大事にしようと思えたり、今日はいいものを身に着けているという自覚があるからこそ、湧いてくる高揚感や幸福感が、自信として立ち振る舞いに表れたりしますよね」

というように。

私が長年勤めてきて思うことは、高額品販売に最も大事な要素は、「あなたから買いたい」と思っていただける〝販売員の人間力〞だということです。高額品を購入いただくため、ついつい商品の説明をひたすら語る自分本位な接客を見かけます。

知識は大事です。でもそれだけで売れるということはありません。高額品だからこそ、むしろあなたという人への信頼が得られていれば、商品知識が足りていなくても売れることは十分にあるのです。

土井 美和

株式会社Clienteling Advisory

代表取締役

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