「狭い世界で生きてきました。」と結婚25年目〈50歳専業主婦〉の決断に、部長昇進で小躍りの〈月収75万円・52歳夫〉の悲鳴「何かの悪い冗談だろ」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月3日 5時15分
給与アップを実現させる方法はいくつかありますが、そのひとつが昇進。そのためには家族のバックアップも不可欠です。だからこそ昇進&昇給を実現したとき、誰よりも家族が喜んでくれる……そんなことをイメージして頑張ってきたけれど、思い通りにならないケースも珍しくはないようです。
サラリーマン、昇給したければ昇給を目指すしかない
株式会社マイナビが全国15歳以上を対象に行った『マイナビ ライフキャリア実態調査2024年(働き方・キャリア編)』で「正社員で現在役職がない人の今後の昇進意欲」を聞いたところ、「昇進したい」は「20代男性」で68.0%だったのが、「30代男性」で51.2%、「40代男性」で32.5%、「50代男性」で27.1%と、年齢を追うごとに意欲が低下。昇進したい・したくないの分岐点は男性の場合で40代となりました。
昇進したくない理由を具体的に聞いたところ、最も多かったのが「責任が重くなるため」で49.2%。「自分には向いていないため」39.8%、「メリットが感じられないため」38.1%、「仕事と家庭の両立が困難になるため」16.7%、「長く勤めるつもりがないため」13.7%と続きます。
仕事に対し色々な価値観はありますが、「昇進はしたくない」という人でも「昇給はしたい」が本音ではないでしょうか。ただ世の中、そんな甘い話はなく、転職でもしない限り、給料をあげたいなら昇進を目指すしかありません。
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマンの月収の中央値は28.5万円。手取り(妻子あり)にすると月22万円ほどでしょうか。
役職なしから係長職になると月8万円ほど昇給し、36.3万円になります。手取り(妻子あり)にすると月28万円ほどでしょうか。
係長職から課長職になると月11万円ほど昇給し、47.0万円になります。手取り(妻子あり)にすると月36万円ほどでしょうか。
課長職から部長職になると月9万円ほど昇給し、56.3万円になります。手取り(妻子あり)にすると月41万円ほどでしょうか。
昇給額ほど手取りは増えない……そんな悲しい事実も確かにありますし、昇給額とそれに伴い負うことになる責任とのバランスが取れないというケースもあるでしょう。それでも役職なしと役職ありの場合の給与差は明確です。
大手建設会社勤務のサラリーマン、部長への昇進を喜んでいたが…
給与があがれば、当然仕事のやりがいもアップするし、家族も喜んでくれる――サラリーマンであれば誰もが思っていること。ただ昇給が幸せとは限らないというケースも。大手建設会社で働く山田健一さん(仮名・52歳)も、そんなひとりです。
山田さん、2歳下の妻と結婚したのは25年前。当時妻は大学院に通っていましたが、卒業と同時に妊娠が発覚。そこで結婚に至ったといいます。その後一男一女をもうけ、今年下の子が大学を卒業。子育て終了と共に、課長職から部長職への昇進も決まったといいます。
課長職だったころの給与は月収で60万円程度。それが昇進により月75万円ほどに昇給したそう。大手でも部長にまでのぼり詰めるのはひと握り。仕事を優先し、家庭を顧みないところもあったと反省するところはあるといいますが、それも専業主婦の妻が家庭をちゃんと守ってくれたおかげ。山田さん、感謝の気持ちでいっぱいだといいます。
しかし部長に昇進し小躍りして喜んでいるのは、山田さん本人だけだったといいます。
それは突然のことでした。ある日、テーブルに置かれた一枚の紙と指輪。その紙は離婚届だったといいます。テレビドラマでみたことのある光景が目の前に……よもやよもやのことに、思わず悲鳴をあげてしまったという山田さん。「悪い冗談だろ」「何かの間違いでは」と思ったものの、妻は本気でした。
実は5年前から山田さんの母、妻にとっては義母は認知症を患い在宅介護。主に面倒をみていたのは山田さんの妻でした。山田さんは長男で、親戚のなかにも「長男の嫁が親の介護をすべき」という考えがありました。それを察してか、特に頼んだわけでもありませんが山田さんの妻が率先して母(義母)の介護にあたってくれたといいます。そして今年の初め、母(義母)は亡くなり、子どもたちは全員社会人に。妻は介護と子育てから解放されます。
――わたしの役目はすべて終わりました
――お義母さんが亡くなり、子育ても終わって、ふと思ったの「ずいぶんと、狭い世界で生きてきたな」と
――大学院を卒業したあと、すぐに結婚するつもりはなかったの。この年齢になったけど、その続きを始めたいの
ひと通り聞いたあと、「それは離婚しなくてもできることでは?」と山田さんは反論。それに対し妻は「あと、もうあなたのお守りはしたくない」とひと言。山田さん、家庭を顧みなかったことをどんなに謝っても、妻の意志は固かったといいます。
昇進・昇給を引きかけに「仕事と家庭の両立」を犠牲にしてきた山田さん。あとは自身の判を押すだけの離婚届だけが残されました。
[参考資料]
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