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相続したオンボロ空き家を放置…「特定空き家」に該当すると、固定資産税が最大6倍に【相続専門税理士が解説】 

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月13日 11時15分

相続したオンボロ空き家を放置…「特定空き家」に該当すると、固定資産税が最大6倍に【相続専門税理士が解説】 

(画像はイメージです/PIXTA)

空き家となった実家を相続したものの、持て余しているという人は少なくありません。以前は放置することで問題を先送りにできましたが、近年では法改正され、相続人の速やかな対処が求められます。相続専門税理士の岸田康雄氏がやさしく解説していきます。

空き家数が全国900万戸に

空き家対策特別措置法が施行され、空き家を放置することに対して厳しい処置をとるようになっています。

この法律は、空き家の発生を抑えて活用を促すための法律で、窓や壁の一部が壊れるなど管理状態が悪い「オンボロの空き家」には、税金の優遇をなくし、処分を急がせる目的もあります。

この税優遇とは、住宅用地には固定資産税を減額する特例があります。最大で6分の1に減額するというものです。しかし、倒壊する危険がある「特定空き家」と、その一歩手前の段階にある「管理不全空き家」については、固定資産税の特例が受けられないようになっています。

空き家であっても相続してしまうと、毎年、固定資産税や都市計画税がかかります。固定資産税は課税標準額の1.4%、都市計画税は課税標準額の0.3%です。もともと親の自宅であれば、住宅用地として固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大で3分の1まで特例で減額されています。それが相続後「特定空き家」に該当すると、住宅用地の特例を受けられなくなり、固定資産税が最大6倍になってしまいます。

増加し続ける空き家数

2024年4月に公表された最新調査結果によると、居住目的のない空き家数は、全国に900万戸もあります。2018年時点の350万戸より倍以上に上ります。

地方では、人口が減少して過疎化が進んでいる地域も多いと思いますが、買主を見つけるのは容易ではありません。最近では地方自治体の空き家バンク、メルカリのように個人間の売買のマッチングサイトもあります。「処分に手間がかかる」「どうせ売れない」とあきらめるのではなく、いろいろな手段を試してみることをお勧めします。

空き家を放置することの懸念点

まず、草木が伸びて近隣に迷惑がかかるほか、壁や柱が崩れて倒壊する危険性もあります。ほかにも、ゴミが持ち込まれてゴミ屋敷になる、不審者が居つく、不審火が生じるといったリスクがあります。

また、家のなかに放置された棚やテーブル、テレビといった大型の家財道具も粗大ごみとなりますから、その処分が必要になります。

空き家になった実家の相続を回避する方法についても考えてみましょう。どうしても実家を相続したくないなら、相続放棄する方法もあります。ただし、もし相続放棄してしまうと、預貯金等の資産も含め、すべての相続財産を放棄することになるため、その点は判断が必要でしょう。

また相続人の全員が相続放棄すると、国庫に引き継がれることになります。相続財産管理人が選任され、清算することになりますが、相続財産管理人が選任されるまでは、相続人が空き家を管理しなければいけません。

空き家を有効活用する

空き家を有効活用する方法について考えてみたいと思います。

相続後の理想的な運用としては、リフォームして賃貸物件にできればいいでしょう。家賃収入が得られますし、誰かに住んでもらうことで、家屋の劣化のスピードを緩めることにもつながります。

しかし、貸主になることで、設備等の故障への対処や、必要な修繕も行わなければなりません。管理を管理会社に依頼しても費用が発生します。そもそも、借主が見つかればいいですが、地方の過疎地だと借主を見つけることは難しいでしょう。何よりも、一度賃貸に出すと、その後は簡単に売却できません。居住用の物件として売ることができず、投資用不動産の売買になってしまうためです。通常は、居住用の物件の2割くらい値下がりすることになります。

空き家対策特別措置法の「特定空き家」に指定されると、固定資産税が6倍になります。「特定空き家」に該当すると、行政指導が入る恐れもあり、なにより近隣住民とのトラブルが心配です。それなら、空き家を解体したほうがいいでしょう。しかし、解体費用は1坪あたり4~6万円くらいかかります。20坪だと100万円ぐらい必要です。

であれば、空き家を他人に無償で譲ることも視野に入れなければなりません。自治体に寄付する方法もあるでしょうが、必ずしも自治体が受け入れてくれるかどうかわかりません。利用価値がないと思えば、自治体も拒否するでしょう。

岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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