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月収65万円・59歳のサラリーマン、8回目の転勤の地「札幌」で定年退職…穏やかな日々を願うも、5年後に年金月17万円の老後崩壊「こんなはずじゃなかった」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月4日 7時15分

月収65万円・59歳のサラリーマン、8回目の転勤の地「札幌」で定年退職…穏やかな日々を願うも、5年後に年金月17万円の老後崩壊「こんなはずじゃなかった」

(※写真はイメージです/PIXTA)

転勤制度を採用する企業は3割近くになるとか。最近は、採用活動への影響を考えて制度の見直しを図る企業も増えているといいます。転勤を繰り返してきたサラリーマン、最悪の老後をみていきます。

転勤のある会社は3割…「未婚者」「子どもがいない」ほうが選ばれやすい

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2017年に行った調査によると、正社員(総合職)のほとんどに転勤の可能性がある企業は全体の33.7%。3社に1社の割合でした。その後、働き方改革や人手不足が深刻化するなか転勤制度のある企業は避けられる傾向があることから、転勤制度を廃止する会社も増えているといいます。しかし大企業を中心に、人材育成や事業上の都合などから、多くの企業で転勤制度を採用しています。

アート引越センター株式会社が従業員規模300人以上の企業で、総務・人事など転勤に関わる業務に携わっている会社員に対し行った『転勤実態アンケート2023』によると、「年間の人事異動の回数」で最も多かったのが「毎年2回実施」で29.2%。「毎年1回」「毎年3回以上実施」がともに23.0%でした。

転勤者の選定については、44.8%が「本人の希望や意志を反映(やや反映含む)」。また71.7%が「転勤者を選ぶ際、家族構成は影響している」と回答し、60.2%が「既婚者よりも未婚者のほうが優先されやすい」、37.2%が「子どもがいない人のほうが優先されやすい」と回答しています。

60歳定年を控えていた阿部健太郎さんは、大学卒業後に就職した会社で、「①東京」→「②金沢」→「③大阪」→「④東京」→「⑤福岡」→「⑥広島」→「⑦新潟」→「⑧札幌」と転勤を経験。これだけ転勤をするのは同期のなかでも多いほうだといいます。

――結婚もしていないし、子どももいない。何もしがらみがないから、真っ先に名前があがってきたのでしょう

定年後も引き続き働いてほしいという打診があったといいますが、8回も転勤を経験し「十分働いた」という満足感とともに、「一度、のんびりしたい」という思いもありました。

定年を前にした阿部さんの月収は65万円。預貯金は5,000万円を超え、退職金も2,000万円を超える予定。ねんきん定期便を確認する限り、65歳からは月17万円を超える年金がもらえる見通し。将来を見据えて、お金の心配はありません。

――ひとりですし、派手にお金を使うこともなかった

――もう仕事をしなくても生きていける確信もあった

60歳を迎えた阿部さん、北の大地でサラリーマン人生を終えます。

父も転勤族…生まれてからずっと全国を転々としてきた

60歳で定年退職を迎えた阿部さん。まず問題は「どこに住むか」ということでした。東京都出身の阿部さんでしたが、すでに亡くなった父親も転勤族で、幼いころから転校を繰り返してきたといいます。

――今まで住んだことのある街はどこも馴染みがあるとはいえず……老後を見据えてどこに住むか、考えどころでした

阿部さんは生まれ故郷である東京に戻り、郊外のマンションをキャッシュで購入。何か趣味でも見つけ、楽しいながらも穏やかな日々を送る……予定でした。

実は阿部さんの定年はさかのぼること5年ほど前の話。東京郊外にマンションを購入した直後、新型コロナが世界を襲います。マンションに引きこもる毎日は「とにかく孤独だった」と阿部さんは振り返ります。さらにだんだんと自粛が緩和するなかでも、なかなか活動的になることができず、あっという間に年金生活がスタートしたといいます。

ある日の行動を振り返ると、6時に起床→11時に外出、近所のスーパーで昼食(弁当)を購入し帰宅→18時ごろに再び外出し、近所の弁当店で夕食を購入し帰宅→22時に就寝。家では食事をするほか、本を読んだり、テレビを見たり、特に興味もない映画を観たり……何をしているわけでもないといいます。

――想定通り、月17万円程度の年金を受け取っていますが、それも余るほどです。何をするために生きているのか……

内閣府『令和6年度高齢社会白書』で直近1年間における65歳以上の社会活動 への参加状況と生きがいの関連性について見ていくと、何らかの社会活動に参加した人のうち「生きがいを感じている」と回答したのは84.4%。一方で、社会活動への参加はしていない人では61.7%と、20ポイント以上も下回っています。社会に参加している、社会と結びつきがあることと生きがいには深い関係があることがわかります。

*「生きがいを十分感じている」と「生きがいを多少感じている」の合計

幼いころから住むところを転々とし、深い人間関係を築く機会がなかったという阿部さん。

――転勤したと思ったらまた転勤。サラリーマン時代は常にバタバタしていたので、退職したらゆっくりと楽しい日々を送るんだと思っていました。しかし、こんな自分には無理でした。思い描いていた老後なんて、もう崩壊していますよ……こんなはずじゃなかったのに

後悔の念を口にしていた阿部さん。その後、体調不良から病院にいったところ心の病と診断。「思い通りにいかなかったのは病のせい」と、少し心が軽くなったといいます。

[参考資料]

独立行政法人労働政策研究・研修機構『企業の転勤の実態に関する調査』

アート引越センター株式会社『転勤実態アンケート2023』

内閣府『令和6年度高齢社会白書』

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