お金を貯めるにはどうすればいい?共働き・独身・片働きそれぞれのパターン【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月11日 11時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
お金に苦労しない人生にするために、20代でできることは何でしょうか? ファイナンシャルプランナーの中村芳子氏は著書『【新NISA・iDeCo対応版】20代のいま、やっておくべきお金のこと』で、お金の基本ルールを知ることだと主張しています。一体どんなルールでしょうか? 本書から詳しく紹介します。
フツーの収入でも、共働きで投資をしたら、1億円貯められる!
[パターン1]いちばんおすすめ、共働きで1億円
25歳で貯金ゼロ。夢がいっぱいというだけではお金は貯まらないが、次の基本ルールを実行すれば必ず貯まる。希望がふくらむシミュレーションをお届けしよう。
・ポイント1:手取り収入の15%を貯める 基本は手取り収入の15%を貯め続けること。住まいや子どもの教育にお金をかけすぎないこと。これだけ守れば、無理なく1億円貯められる。
まず今日から、手取り収入の15%を貯め始める。これは買い物や旅行に使ってはいけない「将来のための貯金」だ。近々使うお金は別に取り分ける。貯金が50万円を超えたら投資をスタート。NISA で投資信託積立てだ。このタイミングを逃さない。29歳の終わりには265万円貯まっている(年収250万円の25歳から収入15%を貯めたとき・年5%昇給)。
・ポイント2:結婚費用に貯金を使い果たさない 30歳で結婚! 相手は同い年で、貯金も年収も同じと仮定しよう。女性は自分より高収入の男性を望みがちだが、そうすると結婚は遠のく。同じくらいがわかりあえて、助け合ってやっていける。結婚資金はそれぞれ100万円ずつ出す。
親からの援助や祝い金もあるだろうから、その範囲で式をして、旅行に行って、住まいを借りよう。新生活は2人合わせて貯金330万円からのスタート。結婚式や新居にお金をかけすぎないのがポイントだ(ワナ:結婚雑誌を見るとお金をかけすぎることになる。要注意)。
・ポイント3:結婚後は3割貯金に 結婚したら子どもが生まれるまでが貯めどき! それぞれ手取りの3割を貯めよう。それでも共働きだから優雅な生活がおくれる。海外旅行にもコンサートにも行ける。2人だけの時間をたっぷり楽しもう。
・ポイント4:子どもが生まれたら育児休業 仕事を続ける 33歳と36歳で赤ちゃん誕生。おめでとう、おめでとう、おめでとう。子どもは宝! 子育てにはお金がかかって大変かな、と恐れなくていい。出産費用、育児休業手当、保育費用の補助、高校までの学費無料など公的なサポートがたくさん。
一昔前に比べて、費用面でも制度面でも楽に子育てができる。子どもとの時間、家族一緒の時間はかけがえがない。大切に大切に。子が生まれた年は、母親と父親がそれぞれ半年ずつ計1年の育児休業を。休業中の収入(手当)は前年の67%。この年は貯金は1割に。仕事に復帰したら15%にもどす。
・ポイント5:自宅の購入は40歳前後がベスト ローンは年収の4倍まで マイホームは急いで買うと、物件選びでも資金プランでも失敗しがち。上の子が小学校に入る頃がいい。シミュレーションでは、39歳で5500万円の中古物件を購入する。頭金1000万円。マンションでも戸建てでも中古がリーズナブルだ。リフォーム予算を400万円と諸費用300万円。これで同予算の新築より価値の高いものが買えるはず。
住宅ローンは年収の4倍までが理想。金利が低いいま(2024年現在)なら、5倍までいいだろう。それ以上になるとローンの負担が大きくなって人生を楽しめない。くれぐれも借りすぎないこと。マンションでも戸建てでも、自分たちの暮らし方に合う良い物件を、適切な値段で買えば損をすることはない。
住宅ローンは65歳までに返し終える。5200万円を26年で返済するなら、金利1%で返済額は年227万円。手取りの25%以下だから、これからの子育ても余裕。65歳で返し終わるから、老後プランも大丈夫だ。すばらしい。
・ポイント6:教育費と老後資金は、貯金+投資 自宅を買った。子どもは小学校。気になってくるのは子の教育資金だ。でも心配無用。収入の15%貯金を続けていれば、そこから大学の費用は十分出せる。大学の費用(貯金から出す分)として子ひとり500万円を見積もった。
子が大学に入る頃、50歳になるとそろそろ自分の老後が気になってくるが、これも心配いらない。15%貯金を続けていれば大丈夫。ただし貯めるだけでは不十分。20代から始めたNISA での投資信託積立てを続けよう。夫婦とも30歳から月3万円を積み立てたら、50歳には元本分で720万円×2に、投資が順調なら1.5倍の1000万円×2になっていても不思議じゃない。
貯金とNISAから子の教育費を出した後も、そのまま積み立て続ければ、老後資金になる。簡単だ。40歳からこれに、iDeCo= 個人型確定拠出年金をプラスすれば、非課税の恩恵を受けられる。どちらも1回設定すれば、自動で貯めて増やしてくれる。楽ちんだ。
・ポイント7:子が独立したら貯金を増やす 退職金をもらったら1億円 50代は子の教育費がかかるけど、大学は4年で終わる。大学院まで進んでも、十分応援できる貯金がある。昇給は40歳まで年5%、50歳まで3%、50歳からはゼロ、60歳からの収入は前年の7割で計上した。現実は、転職したり、不景気で給料が減ったり、好業績でボーナスが増えたり、いろいろだろう。
15%貯蓄を続ければいい。子どもが独立したら貯金の割合を増やす。1人独立したら3割に、もう1人独立したら4割に。60歳から収入が7割に減ったら15%でOK。夫婦で退職金を1500万円ずつ貰うと、貯金残高は1億円を超える。おめでとう! お疲れさま。公的年金を受け取る年齢だ。
でも65歳ってまだまだ元気。それまでの経験と興味を生かして、次の人生を生きていこうぞ。手元の1億円、夫婦で世界一周旅行をしてから、起業資金にしてもいいかもしれない。人生、あと20年以上あるからね。それから、実は老後のために1億円貯める必要はない。使い切れない。子どもが結婚する時や家を買う時に、300万円、1000万円ずつ援助しても、老後は安泰だ。
[パターン2]シングルだって5600万円以上。リバースモーゲージが強い味方
金持ちへの近道は、結婚して共働きを続けることだ。だが、生涯結婚しない人も増えている。離婚してシングルに戻る人もいる。のびのび自由に生きられるのは魅力だ。シングルのシミュレーションをしてみよう。
前提はシンプル。25歳で貯金ゼロ、手取り収入250万円からスタート。ポイントは、収入の15%をすぐに貯め始めることだ。将来マンションを買うために、収入が500万円を超えたら、貯金割合を2割に増やそう。それでも生活やレジャーに使えるお金はたっぷりある。
42歳、予算3000万円でマンションを購入。住まいを買い急ぐと失敗するから、40歳をすぎてからがいい。新築ではなく3000万円の中古を買って350万円で自分好みにリフォームしよう。その方が格段に住みやすいし、物件の価値も高くなる。
自己資金1000万円。住宅ローン2600万円、税込み年収の約4倍。返済を65歳まで23年、金利1%とすると、返済額は年127万円。手取り収入の約22%と理想の金額。これから収入も増える。
65歳で1500万円の退職金を受け取ると、貯金残高は5600万円を超える。ただし、NISAとiDeCoを使って積極的に投資をし、運用利回りが3%だった場合だ。給料が順調に上がり、念願のマイホームを手に入れたら、楽しみのためにも積極的にお金を使おう。44歳から2年に1度、年50万円の「自分へのご褒美」を見積もった。いろんな計画を立てたいね。
65歳以降は、公的年金(168万円)と貯金からの140万円、年308万円を生活費+楽しみ費に使える。現役時代に遜色ない暮らしができる。3000万円で買ったマンションは、リバースモーゲージ(つまり自宅を担保にするローン)が使えるから、退職後の暮らし方の幅も広がる。
シングルで気をつけたいのは、収入が上がらない「派遣」などの働き方を続けない、ということ。早めのタイミング、30代の前半までに、正社員かそれに準じる仕事につこう。収入が上がらない非正規社員だとお金は貯まらない。住宅ローンを借りて家を買うのは難しい。退職金もない。年金も少ない。希望のわく働き方をデザインしよう。
[パターン3]片働き(専業主婦)コースは6400万円
金持ちになるには共働きが理想だが、確固たる信念で「私は専業主婦だ」と決めている女性、それを支持する男性もいるので、片働きコースも考えてみよう。スタートは同じ。25歳から手取りの15%を貯め始め、30歳で結婚。結婚には100万円ずつを出し合い、33歳で子どもが生まれるまでは共働きを続け、この間は手取りの30%を貯める。
子どもが生まれたら妻は仕事を辞める。その後は収入の15%を貯めつづける。39歳で家を買う。無理のない予算は3500万円だが、3200万円の中古物件を買って300万円でリフォームするといい。諸費用が300万円。
同じ金額でもっと価値の高い物件が買える。時間をかけていい中古を探そう。郊外に行けば戸建ても手に入るだろう。住宅ローンは3000万円。税込み年収の約5倍。これが低金利時の上限(ふつうは4倍まで)。必ず守ってほしい。返済は年131万円(金利1%期間26年)。
当初は収入の約25%だが、収入が上がるにつれて楽になる。ローンを借りすぎると、生活が苦しくなり、マネープランがボロボロになるので注意すること。 下の子が中学に入ったら、妻は年収100万円のパートを始め65歳まで働く。パート収入がある間は貯金の割合を2割に増やそう。妻が働くことで、子の大学進学も教育ローンを借りずにすむ。妻の力、偉大なり。
このケースでは夫の手取り収入を、税金や手当を加味して、共働き・シングルよりやや高めに設定した。65歳で1500 万円の退職金を受け取れば6400万円に。このほかに3200万円で買ったマンションがローンゼロで残っている。パチパチパチ。
以前、政府が「老後には2000万円必要」とアナウンスして議論になった(これが当てはまる人は少ない)が、その3倍以上貯められるのだから安心だ。退職後も夫婦でゆとりある暮らしができる。これだけ貯金ができるのだから、子どもが結婚する・家を買うという時は、潤沢に援助してやることもできる。よかった、よかった。
共働きのマイホーム予算が5900万円のところ、片働きは予算3500万円(いずれもリフォーム費込み)、という違いはあるが、ふたりの子の大学教育費は同額準備できる。悪くない。
ポイントは収入の一定割合の貯金をずっと続けること。住宅ローンの限度(ローンは年収の5倍まで)を守ること、塾や習い事など子の教育にお金をかけすぎないこと。20代でNISAで投資を始め、40歳からiDeCoを加えて投資を続けよう。
中村芳子 ファイナンシャルプランナー
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