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年金の繰下げなんてするんじゃなかった…「年金月7.7万円増額」でニッコリの〈71歳元サラリーマン〉、助言をくれた友人を恨まずにはいられなかったワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月5日 10時15分

年金の繰下げなんてするんじゃなかった…「年金月7.7万円増額」でニッコリの〈71歳元サラリーマン〉、助言をくれた友人を恨まずにはいられなかったワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

複雑怪奇な年金制度。そのなかのひとつが「年金の繰下げ受給」です。年金が増額となるというメリットばかりに注目が集まり、デメリットがわかるとすると非難ごうごう……そんなケースが後を絶ちません。

年金が増えるなんて「絶対にお得」といっていたが

田中靖男さん(71歳・仮名)。「友人に八つ当たりされてまいった」といいます。その友人というのが、同年代のAさん。先日、胃がんの手術を行い、退院をしたとAさんの奥さんから連絡を受けたので、お見舞がてら旧友と共に自宅に訪問したといいます。

そのとき、「お前のアドバイスを聞いてヒドイ目にあった」「繰下げなんてするもんじゃない」といわれたとか。

繰下げというのは、年金の繰下げ受給のこと。老齢年金は基本的に65歳からの受給ですが、希望すれば60~75歳の好きなタイミングで受給開始ができます。

60~64歳と、65歳より早く受け取るのが「繰上げ受給」。1ヵ月受給開始を早めるごとに0.5%ずつ減額となり、最大30%の減額となります。

一方、66~75歳と、65歳よりも遅く受け取るのが「繰下げ受給」で、1ヵ月遅らせるごとに0.7%ずつ増額となり、最大84.0%の増額となります。

大手企業の総務畑にいた田中さん。65歳で会社を去り、年金受給を開始していました。一方でAさんが働く会社では雇用延長で70歳まで働き続けることができたとか。そこでAさんは、年金をいつ受け取るか悩んでいたそうです。

――絶対こうすべきとアドバイスをしたわけではなく、「自分なら仕事を完全に辞めてから年金を受け取るかな、繰下げ受給で年金は増えるし」とさらりといっただけなんですが……

Aさんは「繰下げ受給? なんだそれは」と食いついてきたとか。そこでインターネットで「年金の繰下げ受給」について検索。一緒にみながら、年金が増額になる仕組みを見ていったといいます。

――それで「年金が増えるなら、絶対繰り下げたほうがいいな」といって。70歳で会社を辞めてから年金を受け取り始めたらしいのですが……

会社を辞めたあと、胃がんが見つかりました。初めての大病だったらしく「大騒ぎだった」とAさんの奥さんは振り返ります。

年金が増額となる「繰下げ受給」…デメリット、3つ

厚生労働省『令和5年 人口動態統計(確定数)の概況』によると、2023の死亡者数は157万6,016人。人口1,000人あたりの死亡率は13.0でした。また悪性新生物での死亡数は16万1,144人で、日本人の死因トップです。確かにがんになったら、死を意識し、色々な後悔の念が押し寄せるかもしれません。Aさんの場合、そのひとつが「年金の繰下げ受給」だったわけです。

Aさんは65歳から年金を受け取っていれば、月18.5万円の年金が受け取れたそう。70歳まで繰り下げると、42.0%の増額。月26.27万円と月7.7万円も多く受け取れます。それだけ家計に余裕が生まれるわけです。しかし最終的にトータルで年金をいくらもらえるかで考えると、繰下げ受給をして年金が増えたものの、早く亡くなってしまっては65歳から受け取ったほうが得だった、という考え方が繰下げ受給にはあります。老齢年金については、 納付した保険料以上の年金をトータルでもらわないと損と考える人が多く、繰下げ受給においてもトータルで考える傾向が強いようです。

また年金が増額になったことで、税金や保険料の負担が大きくなるという主張も。もちろん手取り額としては年金は増額となるものの、割合で考えると、年金が増えると払う割合が増えるという考えです。これに関しても、「手取りが増えるのだから、いいのでは」と考える人もいれば、「いや、税金や保険料の割合が増えるのは損だ」という人もいて、価値観による、といったところでしょうか。さらに繰下げ受給によって加給年金がもらえないなどのデメリットも。

これらを加味して、繰下げ受給を選択するかどうかは決めたいところ。Aさんの場合は、年金受給額をトータルで損得を考える人だったようで、「俺は短命だ。繰下げ受給をすべきではなかった」と考えるモードになっているよう。

――がんは大変な病気ですが、得か損か、まだ決まったわけではありませんし……怒られたところで、どうしたらいいのか

田中さん、困惑するばかりです。

[参考資料]

日本年金機構『年金の繰下げ受給』

厚生労働省『令和5年 人口動態統計(確定数)の概況』

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