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えっ、私のモノじゃなかったの?リタイアしたらマンションへの住み替えを夢想していた60代女性、夫の死後に判明した〈新真実〉にびっくり仰天したワケ【相続の専門家が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月2日 11時15分

えっ、私のモノじゃなかったの?リタイアしたらマンションへの住み替えを夢想していた60代女性、夫の死後に判明した〈新真実〉にびっくり仰天したワケ【相続の専門家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

昨年夫を亡くした60代のマスミさん。夫が遺してくれた自宅に住み続けていますが、リタイアしたらコンパクトなマンションへの住み替えを検討しています。しかし、自宅の登記簿を見て愕然としたマスミさん。一体何があったのでしょうか? 相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)の元に寄せられた相談を見ていきます。

夫が亡くなり、相続登記は終えたものの…

マスミさん(60代女性)は昨年夫を亡くし、相続が発生しました。夫の財産は自宅と預金で3人の子どもたちは、母親のマスミさんが相続すればいいと、遺産分割に協力してくれて、手続きはスムーズにできています。

しかし、マスミさんには不安なことがあり、相談にこられたのでした。

マスミさんの心配事は自宅のことです。3人の子どもたちは結婚を機に独立して実家を離れていますので、現在、マスミさんは自宅でひとり暮らしとなりました。まだ60代で仕事をしていますが、リタイヤしたあとはコンパクトなマンションに住み替えたいと考えているのですが、自宅は夫の両親と共有名義になっているのです。

マスミさんの夫は次男で生命保険の代理店で自営業を営んできました。郷里から離れて生活するというので、子どもが3人になったときに、家を購入することにしました。夫の両親が半分ほどは援助すると言ってくれたので、決断したといいます。

場所はマスミさんと夫で探して、大きな公園が近くにあり、小中学校にもほど近い新築住宅を購入、それからずっと住み続けています。土地は25坪、木造2階建て4LDKの建売住宅で、夫婦と3人の子供が住むにはちょうどいい家で、マスミさん夫婦は家がとても好きで手入れしながら住んできました。

私、相続できない?相続で共有名義が発覚

マスミさんの夫は何でも自分でする人でしたので、家の購入に関してもマスミさんには詳しい話はしませんでした。マスミさんも不動産のことなどはわからず、気にしてこなかったのです。昨年、夫が亡くなって相続登記をしなくてはとなり、はじめて自宅の登記簿を見ることになり、愕然としたのでした。

夫の両親は「次男だから家を用意するのが親の責任」という話をしており、マスミさんは両親が家を買ってくれたと思っていました。ところが、登記簿を見ると土地、建物ともに15分の7は夫の父親、15分の3は夫の母親、夫は残る15分の5という割合で登記されていることがわかりました。

とりあえずは夫の分、15分の5はマスミさん名義に相続登記は済ませたのですが、残る15分の10については義両親のまま。義両親は90代ながら二人とも健在です。しかもマスミさんは夫の配偶者ではありますが、義両親の相続でも相続権はありません。

夫の代わりになるのはマスミさんの子ども3人。3人とも家を離れていますので、住んでいるマスミさん名義にするのが妥当なところです。ところが亡夫の代襲相続人となるのは3人の子どもたちで、自宅に住むマスミさんは義両親の相続人ではないため、相続することができないのです。

遺言書で遺贈

そこで、義両親に遺言書を作成してもらい、それぞれがマスミさんに遺贈してもらうようにと考えました。義両親は自分たちの名義はあるもののすでに家は夫に買ってあげたものという思いですので、遺言書でマスミさんに遺贈することに抵抗はありません。

義両親は昭和ひとケタ生まれでもう90代。それでもいつ相続人になるかわからず、また、どちらが先かもわかりません。遺言書では次の計画的なことができないと不安もありました。そうこうするうちに今年の固定資産税の納付書が届きました。

マスミさんのもとには建物だけで、土地は15分の7を所有する義父のもとに送られていました。土地と建物が別々に請求されるとは予想外。義両親も名義はあるが、自分たちは住んでもなく、息子に買ってあげたという感覚ですので、固定資産税を負担する認識はありません。

贈与でなく、売買も選択肢に

やはり早いうちにマスミさん名義にしようということになり、どうすればいいかということが相談の内容です。義両親はすでに土地も建物もあげたものという感覚ですので、「贈与」が優先順位ですが、それでは贈与税がかかります。

贈与の場合の価格は路線価が基準になりますが、それよりも少し低い程度の固定資産税評価額でも税務署から否認されることはないでしょう。それでも、土地、建物の15分の10は600万円程度になるため、贈与税の基礎控除110万円は超えてしまいます。贈与税の計算をすると75万円ほどになります。さらに登記費用、不動産取得税もかかるため、100万円以上の費用が必要に。

そうした負担をなるべく減らすとなると、「売買」が選択肢になります。マスミさんが義両親から土地、建物15分の10を固定資産税評価額で買い取るようにしますが、義両親は購入金額よりも安く売却するため、譲渡税がかからず、申告の必要もありません。

売買代金は支払うことになりますが、6年に分けて非課税枠の現金を贈与してもらうとして、売買代金と相殺することで現金の移動はなしとします。

司法書士から放任確認

他県に住む義両親ですので、契約書などは郵送でやり取りし、司法書士の売主側本人確認としては、『本人限定受取郵便での委任状等署名捺印書類の郵送+電話での本人確認・意思確認』が必要になります。

業務提携先の司法書士法人に依頼をして、必要書類や手続きをしてもらうように依頼することになりました。売買契約書は夢相続が作成、マスミさんの署名、押印が終わり次第、義両親へ送って署名、押印してもらう段取りとなりました。

購入するときに義両親の名義を入れない

これでようやくマスミさん名義にできるのですが、そもそもが夫名義、あるいは夫とマスミさん名義だけであればこれだけの手間がかからずに、余計な名義替えの費用や不動産取得税がかかることはなかったと言えます。

親が子どもの住宅取得のため、お金を出してあげることはよくあることなのですが、名義を入れておくよりも、そのときに住宅取得資金贈与を活用して贈与しておくか、金銭消費貸借で貸付金にしておくべきことでした。

住宅を購入したときに仲介に入った不動産会社が、将来の相続のことを想定してアドバイスをしてあげないとこのように手間も、税金もかかるということになります。

今回、マスミさんは名義替えの費用や不動産取得税がかかるのですが、それでも義両親から自分名義に変えてもらうメリットがあります。

現在は夫が亡くなって4LDKの一軒家に一人暮らしで、広すぎるのです。まだ60代とはいうものの、これからの生活を考えると今の家を売却してもう少しコンパクトなマンションに移るようにすれば、住みやすくなり、買い替え時にお金が余れば余裕にもなります。

そうした構想がある中、高齢の義両親が認知症になって意思確認もできないとなれば売りたいときに売れないは事態にもなりかねません。よって固定資産税の納付書が送られた機会に決断して、名義を変えてもらおうということは必要だと言えます。

幸い、現在では意思確認もできる状況ですので、早めに手続きをしようということでサポートさせていただくことになりました。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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