年金〈月7万円〉の78歳母だったが「驚愕の老人ホーム請求額」に52歳長男、絶句。完全無視の弟妹に「ふざけるな!」と怒り
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月6日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
高齢者の住まいの選択肢のひとつ「老人ホーム」。その費用は親が負担するのが主流でしたが、昨今は、そうはいかないような状況に。親から子に、費用負担の負のループが始まります。
認知症の母親、父親もお世話になった「老人ホーム」へ
「久々に大喧嘩をしました」という後藤学さん(仮名・52歳)。誰とケンカをしたのかというと、2歳年下の弟、博之さん(仮名・50歳)と、さらに3歳下の妹、陽子さん(仮名・47歳)。その元凶となるのが、78歳になる母親だったそうです。
母親は学さんの自宅から車で1時間程度の離れた実家でひとり暮らし。10年以上前に父親が亡くなってからはずっとひとり暮らしをしていました。
何度か同居を持ちかけたものの、子どもたちの家族に迷惑をかけたくないし、気も使われたくないと、断固拒否。「ひとりのほうがラク。気兼ねなく毎日を楽しめる」というとおり、踊りや唄など、趣味を存分に楽しんでいたといいます。
雲行きが怪しくなったのは、母の認知症がわかってから。突然警察から「母親を保護した」と連絡があったのです。急いで駆けつけると、踊りの稽古の帰り、最寄りの駅まで来たものの、そのあと、どのバスに乗ればいいのかわからなくなり途方にくれていたとか。そこで交番に駆け込み、長男である学さんに連絡が入ったという顛末。馴染みのある道でも最近はよく迷うということから、病院に連れていくと、予想通り認知症と診断されたのです。
それから2年くらいはヘルパーを駆使しながら実家で暮らしてきましたが、いよいよ自宅での暮らしも難しいと感じるように。子どもたち3人で話し合い、老人ホームに入れるのがいいだろうという結論に達しました。
実は亡くなった父親も晩年は施設で過ごしていました。
――その施設は確か、認知症患者の受け入れもしていたはず……
問い合わせてみると、ちょうど空きがあることが判明。スムーズに入所することができたといいます。施設に入所となるとネックになるのが費用ですが、父親がお世話になったときは月18万円程度。父は自営業だったので、年金は基礎年金のみ。そのため毎月10万~12万円ほどの手出しが必要でした。母親の年金は月7万円。榎本さん、父のときと同じように、毎月10万~12万円ほどの手出しを考えていたといいます。
老人ホーム費用4割ほど値上げ…親の年金+αでは賄えず
――私が全部いけないんです。父が入っていた施設だからと、きちんと費用を確認しなかったのですから
初めての老人ホームからの請求の日。引落とし額が25万円を超えていてビックリ。明細をみてみると、家賃や食費、管理費など、すべてが父のときよりも3~4割ほど値上がりしていたのです。
――こんなに値上がりしていたのか……まじか
言葉を失った学さん。母親の手出しは月17万円程度になります。月によっては多少上振れるときもあって、月20万円ほどになるときもあるかもしれません。一方、母親の貯金には限りがあります。
――もって2年……
父親の入居期間は3年ほどでした。母親はどうでしょう。平均寿命から考えると、それ以上になる可能性は十分にあります。とても自分だけでは背負いきれないと思い、弟妹に相談したところ、驚くほど無関心。
――学がすべて決めたんだから、全部学が払うべきだろ。長男なんだから
――私は無理。子どもの教育費に、住宅ローンに。余裕なんてない
1円だって払う気はないという姿勢をみせる弟妹。子どもの教育費に住宅ローンの返済を抱えているのは自分も同じ。長男だからと、親の面倒のすべてを押しつけられるのはいかがなものか……。考えれば考えるほど、弟妹の態度に腹が立ち、「ふざけるな! 自分の母親のことなのに、なんで無関心でいられるんだ」と大声をあげてしまったといいます。
物価高騰が続くなか、10月には今年最多の2,900品目が値上げとなるとか。もはや値上げは当たり前のことで何も思わなくなってきましたが、家賃など固定費の値上げは値上げ額以上のインパクトを家計に与えます。
総務省統計局『小売物価統計調査』で民間借家の推移をみていくと、全国平均4,495円/畳。2018年→2019年に4,495円/畳から4,331円/畳へと下がったあと、ほぼ一定に推移するも、2023年→2024年のタイミングで、4,313円/畳から4,492円/畳と、4%強上昇しました。
段階的な値上げが見られるのは公営住宅。県住宅供給公社の場合、2015年のはじめごろは3,115円/畳だったのが、徐々に徐々に値上がりし、2024年8月では3,424円/畳と、10%ほどの値上げ。市住宅供給公社の場合、2018年ごろは3,660円/畳ほどだったのが、段階的に引き上げられ、2024年8月では4,402円と20%ほど値上げとなっています。
収入が増えれば固定費の値上げも許容できますが、そうはいかないようです。たとえば年金。2024年、老齢年金の満額受給額(保険料を480ヵ月納付した場合の受給額)は月6万8,000円。2015年の満額受給は6万5,008円。10年ほどで増えたのは4%強だけで、とても値上げ分をカバーはできません。
値上げは老人ホーム費用も。株式会社TRデータテクノロジーが行った調査では、前回調査からの1年の間に月額費用の値上げを行ったのは全体の26%。管理費の値上げ率は21.5%、食費の値上げ率は10.1%でした。
以前、老人ホーム費用は親の年金と貯金で賄うのが主流でしたが、これだけ値上げが進むと、子どもへの影響はますます大きくなるでしょう。そうなると、自分たちの老後費用を削ることになり、負の連鎖が親から子へ、子から孫へと永遠と受け継がれることになりかねません。
――親の長生きを素直に喜べない……親不孝者ですが、私たちは
[参考資料]
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