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好調な「フィリピン経済」に立ちはだかるリスク要因…中国の成長鈍化、不安定感増す金融市場が足かせに

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月7日 7時15分

好調な「フィリピン経済」に立ちはだかるリスク要因…中国の成長鈍化、不安定感増す金融市場が足かせに

写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、アジア開発銀行による東南アジアの最新の経済成長予想と、力強い経済成長の後押しを受ける建設業界の現状について解説していきます。

アジア開発銀行…比経済成長、好調継続を予測

アジア開発銀行(ADB)は2024年のフィリピン経済成長率の予測を6%とし、2025年も6.2%と据え置きました。インフレの緩和と金融政策の緩和が国内需要を押し上げると見られています。また、フィリピンとベトナムは東南アジアで最も成長が期待される経済であり、2024年と2025年には6%の成長が見込まれています。これに対し、カンボジアやインドネシア、マレーシアなどは比較的低い成長率が予測されています。

フィリピン政府は2024年の成長目標を6~7%、2025年を6.5~7.5%と設定していますが、ADBの予測はその目標の下限に位置しています。フィリピンの2024年上半期のGDP成長率は6%であり、政府の目標下限を達成するためには、下半期も6%の成長が必要とされています。公共投資が経済成長を後押しし、製造業や建設業、サービス業も経済に貢献する見込みです。

また、フィリピンの電子機器輸出は好調であり、低付加価値の分野である組み立てやテスト、パッケージングの需要が堅調です。2024年7月時点で、電子製品の輸出は前年比2.5%増の238億8,000万ドルに達し、総輸出の56%を占めています。

インフレの鈍化もフィリピンの成長に寄与しています。ADBは2024年のインフレ率予測を3.6%(4月時点では3.8%)に引き下げ、2025年も3.2%(4月時点は3.4%)に修正しました。これにより、中央銀行が2025年までに金融緩和を続ける可能性が高いとされています。さらに2024年8月、フィリピン中央銀行は政策金利を6.5%から6.25%に引き下げ、金融緩和のサイクルを開始しました。インフレがさらなる鈍化を続ければ、今後も緩和が続くと見られています。

ただし、フィリピン経済にはいくつかのリスクもあります。たとえば、主要経済国や中国の成長鈍化、FRBの政策決定による金融市場の不安定さがリスクとして挙げられています。また、地政学的緊張の高まりや世界的なコモディティ価格の上昇も、インフレ圧力を高める可能性があると警告しています。

好業績が期待される「フィリピン・建設業」

2024年下半期、上場しているフィリピンの建設会社は、業界の回復と好調な経済状況を背景に好業績が期待されています。経済成長、政府のインフラ支出、金利安といった要因が、下半期の上場建設会社の収益性に影響を与えると見られています。

8月、フィリピン予算管理省(DBM)は、国のインフラ支出が6月に17%増加したことを発表しており、これは公共事業プロジェクトの進捗によるものです。民間企業の設備投資に対する意欲が高まるなか、建設活動がさらに加速する可能性があります。

2024年の第2四半期において、上場建設会社の業績はまちまちでした。Megawide Construction Corp.は、第2四半期の純利益が前年同期の3億7028万ペソから2億5866万ペソに30%減少し、売上高も前年同期比で8.4%減少しました。

一方、Phinma Corp.は、第2四半期の損失が前年同期の1861万ペソから2億5171万ペソに拡大しましたが、収益は20%増加しました。

EEI Corp.は第2四半期に黒字転換し、前年同期の2億5503万ペソの損失から5977万ペソの純利益を記録しました。収益も6.7%増加し、費用は5.1%減少しました。

またフィリピン中央銀行(BSP)は2024年8月に4年ぶりの利下げを実施し、政策金利を6.5%から6.25%に引き下げました。この利下げサイクルが今後も続くと予想され、建設活動がさらに加速する可能性があります。

経済成長とインフレの低下に伴い、政府がインフラ支出を増やす可能性もあり、特に公共インフラプロジェクトに関与する建設会社は大きな収益成長を期待できると見られています。さらにインフレの抑制により、鉄鋼、セメント、燃料といった原材料のコストが安定する可能性があり、建設会社がコスト管理を通じて利益率を改善する余地もあります。

2024年9月の消費者物価指数(CPI)の推定値は2.5%で、もしこれが実現すれば、前年同月の6.1%や2024年8月の3.3%を大きく下回ることになります。このようなインフレの減速が建設会社にとってコスト圧力の緩和につながり、収益性を向上させる要因となると考えられます。

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