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「退職金を株式投資で増やす」と言い出した父に不安…元証券マン・相続の専門家が解説する、退職金運用のリスクと“3つの重要ポイント”

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月16日 8時15分

「退職金を株式投資で増やす」と言い出した父に不安…元証券マン・相続の専門家が解説する、退職金運用のリスクと“3つの重要ポイント”

(※写真はイメージです/PIXTA)

退職金は老後資金として非常に重要な資金です。しかし、退職金を「投資で増やす」と聞いたら、どのように感じるでしょうか。退職金の一部を安全な運用に回し、家族に負担をかけない選択肢はあるのでしょうか。本稿では、一般社団法人証券相続普及協会の代表理事である小林裕氏が、「父が『退職金は株式投資で増やす』と言っており、不安を抱いている」という相談をもとに、退職金を株式投資に充てることのメリットとリスクについて解説します。

「退職金を株式投資に回す」ことは賢明な選択か?

ある時、「父が『退職金は株式投資で増やす』と言っています。結局、家族の負担になるのではと不安です……」という相談を受けました。

株式投資というと確かに「資金が増える」イメージがあるかもしれません。お父様も何らかの勝算があってのことかと思います。ただし、退職金というのは老後の資金として替えのきかない大事な資金です。ですので、「資金が減らないように増やす」ということを実現できるようなリスクとリターンのバランスを取ることがポイントとなります。

15年の証券業界で得た教訓……栄光の裏に潜む危険

私は岡三証券株式会社に約8年勤務した後に、独立系ファイナンシャルアドバイザー(通称:IFA)として現在8年目になります。証券業界に携わって合計15年以上になりますが、個別銘柄の良い経験も悪い経験も数多く見てきました。

特に、退職金のような大切なお金が万が一値下がりした場合の影響を考えると、心配がつきません。私が大学を卒業し、岡三証券株式会社に入社したのは2009年4月です。当時はリーマンショックがあり、日経平均は1万円割れ。ほとんどの方が大きな損失を抱えていました。

そこから時は流れ、日経平均は今年7月には4万2,000円を突破しました。栄光も挫折もあるのが株式市場と言えるかもしれません。一方で、時代の変化についていくことができず、経営破綻により上場廃止となりただの紙切れとなってしまった株式もあります。

例えば、日本航空(2010年)、タカタ(2017年)、レナウン(2020年)などは一世を風靡した企業ではありますが、上場廃止になった過去があります。上場廃止には至らずとも、依然として株価が低迷している企業も多く存在しています。

退職金の一部を投資に回し、残りを「安全資産」に保つには……

そもそもお金を働かせるという言葉は、「投機」「投資」「資産運用」「資産形成」などさまざまな言葉があります。今回の退職金については、この4つの言葉の中でも「資産運用」をしていただくことをおすすめします。

資産運用とは既にある資産をバランスよく効率的に活用することです。

今回は資産運用で成功するための3つのポイントをお伝えします。

1.目標設定:ゴールから逆算する

2.ポートフォリオ構築:金融資産を3つに分ける

3.実行と改善:進捗確認とリバランス

まず資産運用においても目標を持っておくことは重要だと考えます。目標があるとどの程度のリスクを取ればよいか? どのくらいの資金が必要か? といったことが明確になってくるからです。

目標を設定する上での一つの目安として、ご自身が生活していくためにどの程度の利益を出す必要があるか? ということを軸に目標設定してみてください。資産運用を検討する場合は、ご自身の金融資産を3つの財布に分けることをお伝えしています。1つ目は「預貯金」、2つ目は「攻めの資産」、3つ目は「守りの資産」です。

「預貯金」は生活費の6ヵ月分、「攻めの資産」は株式型投資信託を中心に、「守りの資産」は債券で検討していくことを推奨しています。まずは「預貯金」をしっかりと確保したうえで、「攻めの資産」と「守りの資産」を考えていきましょう。株式投資をどうしても行いたい場合は、この「攻めの資産」の運用予算の一部から始めることをおすすめします。

家族の負担を避けるための“最悪のシナリオ”対策

冒頭にもお伝えしたとおり、株式投資で失敗した人を私はたくさん見てきました。特に大きなお金が入ったタイミングで気持ちも大きくなって「株式投資をやってみよう」という人は少なくありません。株式投資をするということは株式市場に参戦するということです。

市場にはプロ投資家といわれる機関投資家もいます。素人がプロ野球選手と野球で勝負して勝てることはあり得ないことですよね。まさにそういった環境で株式投資をして勝っていく必要があると思っていただけると、より株式投資の難しさのイメージが湧くのではないでしょうか。

ご家族にも生活費には全く影響を及ぼさない資金から始めること、投資する会社の数は最低でも10社に分けること等、きちんと理解を得られるように工夫しましょう。

また認知症や相続が発生した場合、証券口座は凍結されてしまいます。そのため、取引証券会社はどこであるかを事前にきちんとお伝えしておくことも強くお勧めします。

株式投資と老後資金を両立させるために「今すぐできること」

証券業界で15年以上の経験を持つ私の印象では、株式投資で成功している人はごくわずかだと感じています。

この少数派に入るためには、日々の勉強が欠かせないと思います。私自身も、常に投資に関する情報収集を心がけています。まずは、このような習慣を身につけることが重要です。初めのうちは、投資に関連する資格を取得したり、投資の学校に通ったりするのも良い方法だと思います。

少し大変なイメージを持たせてしまうかもしれませんが、株式投資で成果を出すにあたって、そういったことを勉強すること自体はとても楽しいですし、経済的な感覚を養うことは老後資金を守っていくためにも役立ちます。

私の資産運用の基盤は、株式型投資信託と債券で組まれています。ただし、特に応援したい企業については、少額ですが投資を行っています。

株式投資の本質は「企業を応援すること」だと考えています。企業の成長や成功を支援することで、長期的なリターンを得られる可能性が高まります。この視点を持つことで、退職金という大切な資金をどのように活用するかをより深く考えることができます。ぜひ、この機会にじっくりとご検討いただければと思います。

一般社団法人証券相続普及協会・代表理事

小林 裕

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