前向きに勉強に取り組むことができるようになる!自己効力感を高める4つの方法
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月18日 11時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
勉強が続かなくて悩んでいませんか? オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表講師・粂原圭太郎氏の著書『科学的アプローチで勉強がとまらなくなる ストレスフリー勉強法』によると、「脳科学的に正しい勉強法がある」と言います。一体どんな方法でしょうか? 本書から一部を紹介します。
自分で考えながら誰かに話すと、脳が意識的に育つ
私自身が学生時代、毎日やっていた勉強法があります。ものすごく効果があるにもかかわらず、ほとんどの人がやっていません。それは、「セルフエクスプラネーション(self-explanation)」と言い、「自分の言葉で説明する」ことです。目の前に友人や家族がいれば、その人に向かって自分がインプットしたい事柄をわかりやすく話してみましょう。
話す対象は、背景知識がない人でOKです。むしろ、そのほうが嚙み砕いて説明する必要があるため、いいのです。たとえば、フランス革命を説明してみましょう。フランス革命の原因となる時代背景や社会的な要因などの解説に始まり、フランス革命がどういう経緯をたどったのか、どんな結果に終わったのか。その後の社会にどんな影響を与えたかまで説明してみるのです。
説明の仕方に正解・不正解はありません。自分で考えて話すことで脳が活性化されていきます。説明できない箇所があったら、理解が深められていない証拠です。自分の弱点と思って、内容をインプットし直し、要素を頭の中で(もちろんノートでもOK)整理しましょう。実際に「誰かに説明するの」がベストですが、身近に話せる人がいない場合は、独り言のように「自分で自分に説明する」ことでも同様の効果があります。
ただし、教科書を見ながら説明してはいけません。必ず自分の言葉を使って説明します。自分の言葉で説明すると、どんなメリットがあるのでしょうか? 人は、誰かに説明を行なう前に、脳内で情報を整理します。まとめた要点を人に伝えるために、その情報を言葉にします。すると、情報が脳内で再確認され、記憶が定着します。
脳科学的に説明すると、脳は情報を処理する際、ニューロン(神経細胞)間のシナプスが強化されます。シナプスとはニューロンの接続点のことで、ここで情報の伝達がされます。シナプスを強くすることで、長期記憶が形成され、連想力を強化したり、必要なときに適切な記憶を呼び起こしやすくしたりします。自分で考えながら話すことは、記憶の定着を考えれば理にかなっているのです。
ここから派生した方法で、「クイズを出してみる」のも有効です。周りに人がいなければ、自分への出題でもOK。クイズの正解を設定し、その問題文を考えることで、正解となる事実に対する解像度がアップします。また、いつもと違う順番で思考する新鮮さも、脳によい刺激となります。「問いを立てる」がいかに有効かわかるでしょう。
新しいことを勉強する際、「いつか誰かに説明しよう」と思っておくといいでしょう。アウトプット前提で知識をインプットすることになり、セルフエクスプラネーションがしやすくなります。実際に言葉にすると、理解ができているところと、できていないところがはっきりとします。言葉に詰まるところと、うまく説明できないところを勉強し直し、再度自分の言葉で説明してみる。これを繰り返すことで、どんどん知識が定着し、スムーズにアウトプットできるようになるはずです。
自己効力感の向上で勉強無双状態に変わる
ここまで勉強法について紹介してきましたが、勉強のパフォーマンスにはストレスが影響する以上、精神面でのケアも非常に重要になってきます。どれだけ勉強を頑張ろうと思っていても、メンタルがついてこなければ難しいからです。反対に言えば、気持ちが整ってさえいればいくらでも勉強の意欲は向上します。
突然ですが、あなたは人に言われて元気が出る言葉はありますか? 私は「粂原さんのおかげで……」という言葉を言われるとやる気がわいてます。なぜかというと誰かの役に立てたと実感でき、「これからも自分ならできる」という自信を持てるからです。この感覚を「自己効力感」と言います。
カナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱したこの概念は、学習とモチベーションの維持に大きな影響を与えるとされています。高い自己効力感を持っている人は、困難な状況や目標に向かうときにも自分の能力を信じることができ、ストレスや不安を感じにくくなります。逆に自己効力感の低い人は、挑戦的な状況において高いストレスを感じやすい傾向があります。
自己効力感を高めることで、前向きに勉強に取り組むことができるようになるのです。結果として成績も上がり、それがさらなる自己効力感の向上にもつながっていくため、正のスパイラルが構築されます。このように、高い自己効力感を持つだけで、勉強にとってはいいことだらけなのです。それでは、自己効力感を高めるにはどうしたらいいのでしょうか? 主に4つの方法があります。
(1)過去の成功体験を想起する 自己効力感を高めるために最もいいのは、過去の成功体験を思い出すことです。「この間のテストの成績もよかったから、次もちゃんと勉強すれば大丈夫」「この公式で基本問題を解けたから、応用問題もきっと理解できる」過去を思い出して自分に言い聞かせることで、自己効力感は高まっていきます。特に自分が落ち込んでいるとき、不安を感じているときなどに思い出すと、パワーやモチベーションが湧いてきます。
(2)自分の成功にアンテナを張る 過去の成功体験を思い出す過程で、「自分にはそんな目立った成功体験はないから……」と思う人もいるかもしれません。しかし、「成功体験」は大きいものでなくてもいいのです。小テストでよい点を取った、先生に褒められた、練習問題を正解した―些細なことでもいいので、自分が「できた」と思う瞬間を見落とさないようにして自己効力感につなげていきましょう。一日の終わりに「自分は今日何ができたのか」を振り返るようにすると、習慣になるのでおすすめです。
(3)他人の成功を見る ノースカロライナ大学グリーンズボロ校教育学部教授のデイル・シャンク氏によると、自分自身の体験でなくても、他人が何かを成功させる様子を見ることで、自己効力感を高めることができるといいます。特に、その成功した人が自分と似た属性や能力を持っている場合に効果的です。
たとえば、クラスメートで自分と同程度の学力を持つ友人が成績を上げたときや、同僚が資格試験に合格したときなどに、「あの人ができたなら、自分にもできるはずだ」と感じて自信を持つことができます。成功体験は、必ずしも自分自身のものである必要はないのです。
(4)周りの人に言葉でサポートしてもらう 先生や親、友人などの言葉に励まされた経験や周囲の人々からの肯定的なフィードバック、励ましは、自己効力感を高めるきっかけになります。先ほど挙げた私の例はまさにこれです。本節の冒頭の言葉は、まさにポジティブなフィードバックの典型例。相手の役に立った=自分の能力が効果を発揮したという経験になり、自己効力感を高めてくれるのです。
とはいえ、周りに「ポジティブな言葉を投げて!」と言うのも気が引けてしまいます。そんなときはまず自分から、周りの人にポジティブなフィードバックを伝えてみてください。周りの人たちもあなたの言葉に呼応して、前向きな言葉を返してくれるはずです。自己効力感を高めて、ストレスを感じない無敵の精神状態にしていきましょう。
粂原圭太郎 オンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表講師
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