なぜ、こんなに税金が高いんだ!年金月20万円・68歳元サラリーマン、日本年金機構から届いた「年金減額の通知」に怒り
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月9日 5時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
年金の振込額がわかる「年金振込通知書」。発送は原則として年1回、6月。ほか振込額が変わったタイミングでも送付され、今年10月には多くの年金受給者に届きました。その振込額をみて、怒りを覚える人もいるようです。
通常は6月発送だが…10月に「年金振込通知書」が届いたら
10月、日本年金機構から多くの年金受給者に「年金振込通知書」が送られました。そもそもこの通知書は、毎年6月に口座振込で年金を受け取っている人に届くもので、6月から翌年4月まで、毎回支払われる金額を知らせてくれるものです。ただ今年10月から「介護保険料等の特別徴収額」が変更。それに合わせて年金の振込額が変わった人に対して、今回「年金振込通知書」が送付されることになりました。
介護保険料は40歳以上になったら給与から天引きされるもの。基本的に一生涯払い続けるものです。介護保険の被保険者は、65歳以上の人が第1号被保険者、40歳以上65歳未満の医療保険の加入者は第2号被保険者。第1号被保険者は、要支援・要介護状態になった場合、第2号被保険者は16の特定疾病により介護が必要になった場合に介護サービスを受けられます。
65歳以上の介護保険料は、前年の所得をもとに6月に確定。そのため、年金から介護保険料が天引きされる人(特別徴収の人)は、4・6・8月は仮徴収となり、前年度の2月分と同じ金額を3回引き落とされ、10・12・2月は本徴収となり、年間保険料額から仮徴収額を差し引いた額を3回に分けて引き落とされます。
介護保険料が増額となるのは、年金収入などの収入が増加したり、扶養家族が減ったり、住民税非課税世帯から住民税課税世帯に変更になったりした場合。一方で介護保険料が減額となるのは、所得が減少したり、配偶者や扶養親族の所得が減ったり、住民税課税世帯から非課税世帯になったりした場合。今回確定した介護保険料が前年の2月のものと比べて高ければ増え、低ければ減るということになります。
まず、手元に「年金振込通知書」が届いたら、「介護保険料額」の欄をしっかりとチェックしたいものです。
年金月20万円の元サラリーマン…唖然の手取り額
佐藤徹さん(仮名・68歳)。日本年金機構から「年金振込通知書」が届くたびに怒りを覚えるといいます。
――額面で20万円なのに……なんでこんなに引かれるんだよ
年金はすべて受け取れるわけではなく、給与と同じように額面から税金や保険料などが引かれます。
まず引かれるのは所得税。額面から各種控除を引いた所得に対し課税されます。「年金控除」「基礎控除」は誰もが受けられる控除で、年金控除は65歳以上であれば110万円、基礎控除は48万円。年金額面月20万円の佐藤さんの課税所得は82万円で、年金課税所得195万円以下であれば所得税率は5%です。
次に住民税。年金控除は所得税と同様110万円、基礎控除額は43万円となり、佐藤さんの課税所得は87万円。住民税の税率は10%で、さらに住民税には均等割り5,000円が定額で課税されます。所得によって変動しないので、基本料金のようなもの、と考えればいいでしょう。また自治体によっては、さらに環境保全などのためにの上乗せ分を設定しているケースもあります。
そして国民健康保険料。75歳以上であれば後期高齢者医療保険料となります。住民税とは違い、自治体によって金額は異なります。所得が低い場合は減額となる自治体もありますが、年金収入が240万円であれば減額はされません。佐藤さんの場合、年間16.5万円ほど引かれているそうです。
さらに介護保険料。たとえば渋谷区の場合、総所得によって17段階に分かれ、年金月20万円の人であれば、年間9万2,600円がかかります。
佐藤さんの場合、所得税が2.8万円、住民税が6.6万円、介護保険料や健康保険料などの社会保険料が26万円ほど。結局、年金額面は月20万円、年240万円の年金に対して、手取りは17万円、年205万円ほどなのだとか。
――毎回、毎回、税金が高いんだよ。30万円以上も引かれて……
――今回は(年金振込通知書が発送された10月)天引き額が増えますよ、振込額が減りますよってことだろう
――たまには景気のいい話を聞かせてくれよ
どうも怒りが収まらない様子の佐藤さん。
厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の59.0%が「生活が苦しい*」と回答。前年度から10ポイント以上も上昇し、生活苦に直面する高齢者が増えています。
*「生活が大変苦しい」「生活がやや苦しい」の合計
長寿化、高齢化のなか、高齢者の負担はさらに増えていくことは確実。佐藤さんのように、憤慨する人もさらに増えていきそうです。
[参考資料]
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