もっと働いてくれませんか…人手不足に悩む〈月収70万円・48歳課長〉、〈再雇用・66歳元上司〉に懇願も、思わず絶句する「断り文句」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月10日 5時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
労働人口が減少に転じているなか、多くの企業が人手不足に悩んでいます。そこで「高齢者に活躍してもらおう」としていますが、当の高齢者からは渋る声が聞こえてきます。その理由とは?
企業の4割は「人手不足が深刻な状況」
東京商工会議所が全国47都道府県、2,000を超える企業から回答を得た『人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査』によると、「人手が不足している」と回答したのは63.0%。
さらに人手不足と回答した企業に、人手不足の深刻度をたずねたところ、「非常に深刻(事業運営に深刻な影響があり廃業の恐れがある)」が4.2%、「深刻(事業運営に影響があり、今後の事業継続に支障が出る恐れがある)」が61.3%。合わせて65.%が「人手不足で深刻な状況」だと回答しました。その数は、企業全体でみると4割に相当します。
また人手不足の状況を業種別にみていくと、不足83.3%と最多となったのは「運輸業」。2024年問題と騒がれていましたが、決して解消したわけではないようです。続いて79.2%で「建設業」、72.7%で「宿泊・飲食業」、63.9%で「介護・看護業」、57.7%で「製造業」と、多くの業界で半数以上の企業が人手不足を訴えています。
深刻化する人手不足問題。その解決のために期待されているのがシニア人材。多くの企業で60歳定年となっていますが、来年には65歳まで雇用確保が義務化となり、そして現在、70歳までの就業機会の確保が努力義務となっています。希望すれば長く働ける環境を整えるとともに、人手不足問題を解消させるための動きです。
大手メーカーの課長として活躍する加藤豊さん(仮名・48歳)。課を任せられるようになって5年ほど経つといい、現在、月収は70万円、賞与も含めた年収は大台にのり、満足のいくサラリーマン人生を謳歌しているといいます。
一方で悩みの種は人手不足。昨今、退職者や休業者が相次ぎ、人手不足は慢性化。各々のチームから人材補充のリクエストは来るものの、なかなか補充が叶わないまま、その穴を各社員に埋めてもらうという悪循環になっているといいます。
そこで加藤さんも目を付けたのが再雇用人材。加藤さんの会社では60歳が定年ですが、9割近くが継続雇用を希望。再雇用後は希望すれば70歳まで働くことができるといいます。
人手が足りず、長時間の残業が常態化……その打開策のひとつとして、再雇用で働く66歳の元上司に「もう少し長く働くことはできませんか?」とお願いしてみたといいます。
矛盾が指摘される年金ルール「在職老齢年金」
現在、契約社員として働く元上司。勤務時間は10~17時で、週5日。前後1時間ずつでも長く働いてくれたら、そのぶん、ほかの社員の負担が軽減できる――そんな加藤さんの想いに対して、元上司の回答は、まさかの「ノー」。元上司なら力になってくれると思っていただけに、予想外の返答でした。元上司は続けます。
――これ以上働いて給与が増えたら、年金が減らされちゃうからよ。ごめんな
――(えっ、年金!?)
予想外の断り文句に、思わず言葉が出なくなってしまった加藤さん。そこでシニア人材、働きすぎると損をする場合があることを詳しく知ることになったといいます。
働きすぎると損をする……これは「在職老齢年金」という制度。70歳未満の人が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。
年金減額のラインは50万円(令和6年度)。基本月額*1と総報酬月額相当額*2との合計が50万円以下であれば「全額支給」となり、50万円を超えると「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2」だけが支給されます。
*1:加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額
*2:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
――「人手不足解消のためにシニア人材の活用を」といっているのに、働きすぎたら年金が減らされるって……随分と矛盾していませんか?
ため息交じりに愚痴る加藤さん。実際にこの矛盾は問題視され、近々改正の噂も出ています。
[参考資料]
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