1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

私も隠し子だと相続人として名乗り出る人たち…プリンス、マイケル・ジャクソン、エルビス・プレスリー、桁違いの故人所得にびっくり

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月13日 11時15分

私も隠し子だと相続人として名乗り出る人たち…プリンス、マイケル・ジャクソン、エルビス・プレスリー、桁違いの故人所得にびっくり

(※写真はイメージです/PIXTA)

亡くなった有名人の故人所得は桁違いの金額です。故人所得とは、亡くなった後に発生する所得のことです。2016年に亡くなったアメリカのロック歌手プリンスの遺産相続について、多くの人々が隠し子など相続人として名乗りを上げる事態となりましたが、最終的に裁判所が兄弟6人を相続人として認定しました。本連載では、富裕層の国際相続の諸課題について解説します。

国際的スターたちの故人所得

1977年に亡くなったエルビス・プレスリーの年間故人所得は日本円に換算すると数十億円になったと報じられています。同様に1980年に死亡した元ビートルズのジョン・レノンも上記の経済雑誌の2011年の記事によれば、日本円で約9億円の年間故人所得があったとされています。歌手のマイケル・ジャクソンが2009年に亡くなったとき、CD等が爆発的に売れたことを記憶されている人もいるかと思います。

このように歌手の場合は、生前に作成したCD等が長くファンに愛されて売れ続けるという現象が想像できますが、歌手以外でも往年のハリウッド・スターのエリザベス・テイラーやマリリン・モンローなども肖像権から生じる多額の故人所得が存在します。

プリンスの遺産相続

ここでアメリカのロック歌手で、2016年に亡くなったプリンスの遺産相続について見ていきます。2022年8月4日の報道では、プリンスの遺産総額が200億円超あり、そのうちの7.5億円が遺族間で分配されたとしています。

プリンスの本名はPrince Rogers Nelson(1958年6月2016年4月:享年57歳)で、死因は薬物過剰摂取です。職業はミュージシャン、作曲家、音楽プロデューサー等多方面に活躍しました。遺産の大部分は音楽関連の著作権です。アルバム・シングルの総数は1億5,000万枚以上とのことです。

音楽、芸術関係で印税収入がある者は、死亡後も多額の収入があります。雑誌『フォーブス』が発表したある年の故人所得では、プリンスが1億2,000万ドル、マイケル・ジャクソンが7,500万ドル、エルビス・プレスリーは3,000万ドル、ジョン・レノンは1,200万ドルでした。

上述したように、プリンスは相続開始後も多額の所得がありました。相続開始後からプロベイト(アメリカの裁判所の管理下で、相続財産の調査・評価を行い、税金その他の負債を支払い、残った財産を相続人に分配する手続き)の処理が済むまでの期間に生じた所得の処理の問題です。

被相続人に相続後に所得があった場合、基本的にはこの所得は遺産財団(エステート)に帰属します。遺産財団は日本では未分割財産と同じ性格を持ちますが、米国では遺産財団が納税者となり、その手続きは管財人が代行します。

プリンスの6人の兄弟で遺産分割

プリンスの遺産は年少の兄弟3人の取り分の大部分を買い取ったニューヨークの音楽出版社プライマリー・ウェーヴと年長の兄弟3人、もしくはその家族によって等しく分配されることになりました。報道によるとプリンスの死後、多くの人々が相続人として名乗りを上げる事態となりましたが、最終的に裁判所が兄弟6人を相続人として認定しました。

この兄弟6人のうち、プリンスにまつわる知的財産権を売却するとするグループ3人と、売却しないとするグループ3人に分かれました。売却しないとする3人は、プリンス・レガシーLLC(以下「レガシーLLC」という)という企業体に集約されています。

売却するとした3人は、プライマリー・ウェーヴに権利を譲渡しました。プライマリー・ウェーヴは全体の25%の知的財産権を所有し、25%を売却した3人が権利を有することになりました。こちらは、プリンス・オート・ホールディングスLLC(以下「ホールディングスLLC」という)に集約されています。

遺産は、現金560万ドル(約7億5,000万円)と著作権等から構成され、現金については、レガシーLLCとホールディングスLLCに均等に分割されることになりました。

もう1つの争点は著作権の評価です。著作権を管理するComerica Bank & Trustは評価額を8,230万ドルとしましたが、米国内国歳入庁(IRS)は1億6,320万ドルとして対立しました。最終的に1億5,640万ドルという金額で妥結しました。この結果、修正申告ということになったと思われますがIRSは加算税640万ドルを取り下げています。

長期間におよぶ多額の所得課税

米国における相続の手続きとしては、被相続人が死亡した段階で遺産財団(estate)にその財産が移転し、遺言執行人または管財人がその遺産財団を管理するとともに、遺産の処理に関して原則として裁判所の検認を受けることになります。

要するに、未分割財産の状態で遺産財団が管理されることになるわけです。この検認を行う趣旨は、遺産を集めて債務等を支払い、相続人を確定して分配を行うという一種の遺産の清算手続きです。

遺産の清算過程において所得(たとえば利子所得、配当所得、不動産所得等)の生じる場合、遺産財団の管理に要した費用等はこれらの所得から控除されます。そして遺産を売却すれば、譲渡した資産の保有に関連して生じた費用は控除されます。その計算過程は基本的に個人の所得税における計算と類似したものです。

国際相続に詳しい酒井ひとみ弁護士(シティユーワ法律事務所)によると、エルビス・プレスリー、マリリン・モンロー、最近ではマイケル・ジャクソンの遺言書がメディアを通じてインターネット等で公開されていて入手でき、財産の中身が筒抜けになるとのことです。マリリン・モンローのプロベイトは2001年にようやく完了したとのことです。これまで名前の出た有名人の故人所得のなかには、この遺産財団の所得税課税が長い間行われていた可能性があります。

矢内一好

国際課税研究所首席研究員

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください