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即戦力なら「年収25%上乗せ」が当たり前?同業他社から転職してくる人材を“好待遇”で迎えるべきワケ【転職のプロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月14日 7時45分

即戦力なら「年収25%上乗せ」が当たり前?同業他社から転職してくる人材を“好待遇”で迎えるべきワケ【転職のプロが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

大半の企業は、中途採用した人材に「即戦力性」を求めています。そうした期待自体は問題ありませんが、求職者の働きに対する「対価」についてもよく考えておくべきでしょう。そこで今回は、東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)の代表取締役社長・福留拓人氏が、同じ職種・同じ仕事での転職について日本と欧米の違いを分析し、解説します。

即戦力が欲しいなら「25%増の給与」でオファーすべき理由

企業の視点に立って人材を採用するとき、中途採用ではいうまでもなく「即戦力」と期待して迎え入れることが大半であると思います。採用する側としては、できるものなら同じ業種、同じ商材、そして可能な限り似た環境で活躍していた人材に、引き続き同じような環境で働いてもらいたいのです。人材側のマインドやモチベーションは度外視していますが、とにかく期待するのは、すぐに活躍してくれる即戦力というわけです。

結論から申し上げると、いまの市場下において、もし転職前とほぼ同じ内容の仕事に従事して活躍してもらい、業績を上げてほしいならば、少なくとも25%のプレミアムを付加したオファーをするべきでしょう。つまり、求職者の現在の年収に上積みをして提示するということです。現在年収1,000万円の方であれば、最低でも1,250万円でオファーするということになります。

ここで押さえておかなければならないことがあります。もちろん個人差はありますが、転職前と同じ職種であれば、活躍している人材ほど転職を避ける方向にあります。なぜなら、転職しても同じ業種、同じ業務で仕事をするのであれば、人間関係や環境を変えるというリスクを冒すメリットはないと考えるからです。

「同じことをやるのなら転職する必要はない」と考えるのが多数派です。そのうえで、転職をするからには「給料が多少下がっても、今までチャレンジしたことがないような“違うこと”をしたい」と考える人が一定数以上存在するのも、また同じように日本人の文化的特徴です。

同じ仕事なら「転職しない日本人」と「すぐに転職する欧米人」の違い

これは、欧米などとはまったく反対の概念になります。欧米を中心とした労働環境では、労働者側(従業員サイド)は企業で労働の対価として報酬を得るのであれば、それまでやってきたことを評価されて対価を得ることは当然だと考えます。そのため、同業他社が同じ仕事で高い年収を提示してくれば、すぐに労働契約を解除します。転職することをためらわない人が多いのです。

2024年秋の自民党総裁選でも議論が交わされていましたが、人材の解雇のしやすさも、こういうところにつながっています。欧米などでは「通告をすれば一定期間後に労働契約を解除できる」というのが、企業側からだけではなく、勤務している従業員サイドにも適用されます。

こうした理由で、雇用の流動性が高くなり、条件のよいところがあればすぐに移ってしまうわけです。同じ仕事に限定してチャレンジする、同じ仕事で活躍して対価をもらう、つまり同じ給料であれば転職する必要はない……。だから給料を高くしてくれということです。非常に合理的な考え方に基づいていると思います。

日本の話に戻ると、これが先ほど取り上げた解雇のしやすさと難しさの間接的要因になっているかもしれません。同業他社から即戦力性の高い人材が転職してくる場合、その対価として報酬を上積みするということも少しずつ普及してきましたが、多くの企業に普及したわけではありません。それ以上に現職の給与テーブルや、まわりとの調和を重視して当たり障りのない処遇に終始しようとする会社が多数です。

先進的な会社がこうした中途採用の進歩的な手法を導入すれば、あっという間に労働市場自体が変わってしまう可能性があります。ここで批評を加えるべきものではありませんが、日本のクラシックな企業は、欧米の合理的な考え方から学ぶべきことがあるかもしれません。

同じ仕事でも場所が変わるなら報酬を上積み…企業も野球業界も同じ

晩秋になるとプロ野球でストーブリーグが始まり、有名選手の去就が騒がれることになります。野球選手は、たとえ球団は変わっても、これまでの実績をベースにこれまでと同じように野球をします。FA宣言をして、現在のチームからオファーが出ることはほとんどありません。挙手をして争奪戦に参入するチームは、野球の実力と実績を評価して、同様に活躍してくださいというオファーをする中で、多かれ少なかれマネーゲームに巻き込まれます。

このようにFA交渉を思い返してもらうと、同じ職種に配置される勤労者についてわかりやすくなると思います。ここまでシンプルなものではないにせよ、企業でも当たり前のことが行われるようになっているのです。読者の皆様のなかにも、フリーエージェントを意識しているビジネスパーソンがいらっしゃるのではないでしょうか。新しい領域でのご活躍に期待したいと思います。

福留 拓人

東京エグゼクティブ・サーチ株式会社

代表取締役社長

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