経営者がフェラーリを選ぶのはなぜ?…「先見力」のある人ほど高級車や高級時計を買う納得の理由【公認会計士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月7日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
これからの時代を生き抜くために欠かせないのが「先見力」。その根幹は長期的な視点であり、経営者がフェラーリなどの高級車や高級時計を買う理由にも先見力が関係している……そう話すのは、公認会計士の金川顕教氏です。そこで本稿では金川氏による著書『公認会計士が教える「資産づくり」を勝ち抜くための11の戦略』(ポプラ社)から一部抜粋し、日常生活における先見力の鍛え方について解説します。
リセールバリューを考えることが大切な理由
人生100年時代と言われる現代で、僕たちはどうやって生き残っていけばいいのでしょうか。必要なものの1つが長期的な視点を持つ「先見力」です。
みなさんは、例えば車を20歳から70歳まで持つと、維持費を含めていくらぐらいの費用がかかるかをご存じですか。ファイナンシャルプランナーの平田浩章氏の試算によれば実は、4000万円ぐらいかかります。
この費用をどう考えるか? これが得ならそれはそれでいいわけですし、自分の車を使う頻度に合わせて車は買わずに、カーシェアリングをしたり、レンタカーを借りたり、タクシーを利用してもいいわけです。まずはこの4000万円という数字を知ること、それが先見力に通じてきます。
経営者にフェラーリを買う人が多いのは、リセールバリューが高いからです。2000万円で買い、1900万円で売れれば、100万円しか損をしません。国産車ですとアルファードもリセールバリューが高いです。新車のプリウスを300万円で買って、3年後に売ったら150万円にしかならないのであれば、フェラーリを買ったほうが断然お得です。
ロレックスなどの高級時計を買う人が多いのも、同様の理由です。僕は昔からクロムハーツが好きで、クロムハーツの商品を何点も買っていますが、ブランドの価値が上がっているので、商品の価値も上がっています。
商品そのものの値段で考えるのではなく、売ったらいくらになるのかというリセールバリューを考えるのも大事な先見力だと思っています。
1億円を貯めることはそれほど難しくない?
先見力を身に付けるためには、長期的な視点が大切です。お金のことで言えば、長期的な視点を持つと、貯金の大切さが重要になってきます。
つい最近、日本人はアメリカの次に億万長者の割合が多いという調査を見ました。そこで、1億円を貯金するにはどうすればいいかを考えたことがありますが、実は、1億円を貯めることは、それほど難しくないのです。
日本人の会社員の生涯年収は、大体3億円と言われています。もし共働きで稼いだとしたら、3億円+3億円で6億円になります。この10%を貯金するだけでも6000万円です。この貯蓄を元本にして年利3%で運用するだけで、18年で1億円を超えます。
実際は20代、30代、40代は積み立てながら貯蓄をするので、複利の効果で、もっと短期で資産形成できます。つまり、稼ぐ能力、増やす能力も、もちろん重要ですが、お金を貯めるのに一番簡単なのは、貯金する力を身に付けることです。
老後にかかる資金は2000万円と言われていますが、冷静に毎月コツコツと貯めていけば、意外と貯まるものです。
例えば月収の1割を22歳から貯金していたらいくらになるでしょうか。これは、複利計算アプリを入れれば、計算が苦手な人でもすぐに分かります。月収が30万円だとして、毎月3万円を5%で積み立てます。5%にしたのは、世界の株式市場の平均のリターンが、大体5%から7%ぐらいに増えると言われているからです。
そこで元本10万円から、毎月3万円を積み立て、年5%で回すとすると、18年で1090万円を積み立てることができます。通常の貯金では、658万円しか貯まりません。しかし、年5%で回せば、資産は30年後に2554万6050円になっています。
18年〜30年の間に1464万6050円増えるわけです。もうこれで2000万円問題は解決しています。共働きで退職金ももらえるとしたら、さらにプラスとなります。新NISAを活用するのもおすすめです。
「1割も貯金するのは大変」という人は、まずは月々のランニングコストから見直すことです。このことを意外と意識していない人も多いのです。ランニングコストは、月々のコストが低く、生活に必要と考えてしまうために、軽視してしまいがちですが、それが5年、10年と積み重なると、大きな差を生みます。
例えば、携帯電話もau、ソフトバンク、ドコモなど大手キャリアから格安SIMに替えるだけで月5000円ぐらい安くなります。これだけで年間6万円。10年間で60万円です。家族が4人なら、年間24万円、10年間で240万円もの差が出ます。ですから、絶対に替えるべきではないでしょうか?
また電気料金についても、2016年から電気の自由化が始まり電力会社も自分で選ぶことができます。ネットだけで切り替えが簡単にできるので、ぜひ比較サイトなどで検討してみてください。年間で1〜3万円ぐらい安くなります。
ライフイベントでの出費を計算する
先見力で欠かせないことに、ライフイベントがあります。ライフイベントとは、その人の人生で起きるさまざまなイベントのことです。転職、結婚、けが、入院、出産などがそれに当たります。そして、そこにもお金の問題はついてまわります。
けがや入院の費用、結婚や子育てにかかる費用、老後に必要な資金など、自分の人生に何が起こりうるか、そしてそのそれぞれにどれくらいが必要なのかを知り、毎月収支の計算をして管理をすることが必要です。
例えば『ゼロからはじめる! お金のしくみ見るだけノート』(伊藤亮太/宝島社)によれば、結婚にかかる費用は平均で463.3万円と言われています。意外に高くてびっくりするのではないでしょうか。婚約から新婚旅行を含めての金額ですが、夫婦で折半したとしても200万円以上の支出です。
1人暮らしの引っ越しの平均額は102万円と言われています。インテリアや家具で40万円、家賃・敷金・礼金で20万円、家電で30万円、引っ越し代金が10万円で、約100万円です。子どもの教育費は、私立か公立かによって変わってきますが、1人あたり2000万円から3000万円かかります。
「結婚しない」「子どもはいらない」という人もいますが、いつ自分の考え方が変わるか分かりません。10年後、20年後、30年後、何が起こるのか、そのためにはどれくらいお金が必要なのかを考えて、車選び、住宅選び、保険選びなどを見直すことも先見力を養うためには必要です。
金川 顕教
公認会計士
※本記事は『公認会計士が教える「資産づくり」を勝ち抜くための11の戦略』(ポプラ社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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