同い年の月収65万円夫逝去→遺族年金「年160万円」も10年後には「ゼロ円」に妻、絶句。老後のプランニングが総崩れに「何かの間違いでは?」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月14日 8時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
現役世代。一家を支える大黒柱が亡くなったとき、遺族が受け取れる遺族年金は、生活のベースとなる部分です。年金は要件を満たしている限り受け取れるものですが、人生の節目は要注意。想像していなかった「年金減額」という事態に、真っ青になってしまうことも。
同い年の子のない夫婦…夫急逝で、遺族年金は月13万円
一家の大黒柱が亡くなった際、残された遺族の公的な保障として払われる遺族年金。大きく、国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金が受け取れるのは、「子のある配偶者」か「子」と、子に関わる要件があるので、たとえば子のいない夫婦の場合は、夫が亡くなったとしても遺族基礎年金は受け取ることができません。
一方、遺族厚生年金には子の要件はないので、同じように、子のいない夫婦であっても夫が亡くなった場合、残された妻は遺族厚生年金を受け取ることができます。
内山朋美さん(仮名・55歳)。同い年の夫が亡くなり、遺族年金を受け取るようになったひとり。夫は大学新卒時、同期のひとり。結婚を機に、夫は転職しましたが、内山さんは結婚後も同じ会社で働いています。お互い、キャリアを積み、仕事を優先する毎日。定年を迎えて仕事を辞めたら、夫婦で、たとえば世界一周でも……そんな夢を語っていましたが、突然の病気で夫は帰らぬ人になってしまいました。
――私も働いているので、夫が亡くなっても、経済的に困るようなことはありません。二人暮らしのマンションでは広いので、1人用のマンションへの引っ越しを考えていることくらいでしょうか……
子どもがいないため、遺族基礎年金はなし。遺族厚生年の受給額は死亡した夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。内山さんの夫の給与は、亡くなる直前で月収57万円、年収で980万円。遺族厚生年金は簡易的な計算ですが、年97万8,000円ほどになります。
また夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満の子のない妻であれば、中高齢寡婦加算が年61万2,000円。合わせると、年159万円、月13万2,000円ほどを受け取れます。
――月13万円ですから、大きいですよ。ありがたい
老後は「自分の年金+遺族年金」で考えていたが
このように、「意外ともらえる額が大きい」遺族年金。内山さんも「ずっと月13万円がもらえる」と考えて、この先をプランニングしているそうです。ただそこには大きな落とし穴があります。
まず説明した通り、中高齢寡婦加算は65歳になるまで。以降は受け取ることができません。月5万円ほどが減額となります。
そして妻も働いているなら、もうひとつ注意したいのが、「65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となる」ということ。つまり、老齢厚生年金-遺族厚生年金の差額だけ受け取れることになります。
内山さんの場合はどうでしょう。ねんきん定期便でチェックしていたところによると、このまま60歳まで働いた場合、65歳から受け取れる年金額は、併給の老齢基礎年金と合わせて、15万5,000円ほどだとか。
65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利がある場合、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは、「①死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「②死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額を合算した額」を比べ、高いほうの額が遺族厚生年金の額となります。
内山さんの場合、①は8万1,000円ほど、②は8万4,000円で、遺族厚生年金は②の額となります。
さらに内山さんは自身で老齢厚生年金を受け取れるので、自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金の差額分だけ、遺族年金は受け取ることができます。内山さんの老齢厚生年金は8万7,000円。つまり、遺族厚生年金の支給額はゼロ、ということになります。
今の感覚では、10年後、内山さんが年金生活に入った際、自身が受け取る年金に加えて、遺族年金月13万円もプラスして考えるでしょう。しかし、実際の遺族年金はゼロ。自身の年金だけで老後を考えないといけません。
――えっ、老後は遺族年金がゼロ? 何かの間違いではないですか?
言葉を失う内山さん。自身の年金+遺族年金、合わせて30万円弱は受け取れると考えていたのですから、当たり前です。早々に老後のプランニングが総崩れ。いちから考える必要があります。
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