脱・正月太り…健康な大腸内で作り出される「天然の痩せ薬」の正体【医師が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月3日 14時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
腸疾患治療の第一人者である松生クリニック院長の松生恒夫氏によると「健康な腸」であれば、自然と「太りにくい体」をつくってくれているといいます。松生氏の著書『腸にいい習慣ベスト100』(総合法令出版)より、腸に備わる「驚きの機能」についてみていきましょう。
残留農薬や添加物も「デトックス」…腸が担う重要な役割
腸を健康に保つためには、腸自体をよく知る必要があります。腸は小腸と大腸で構成され、小腸と大腸には異なる役割があります。[図表]のように、長さ1.5〜2mの大腸が、長さ5〜7mの小腸を取り囲むように配置されています。
小腸は十二指腸・空腸・回腸に分かれ、大腸は結腸・直腸に分かれています。さらに結腸は盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸の5つに分かれます。
腸の主な役割は4つあります。①消化、②吸収、③排泄、④免疫、です。胃液で消化されてかゆ状になった食べ物は、小腸で胆汁や膵液などの消化液によってさらに消化、分解され、吸収されます。そうして食物残渣[ざんさ]の水分の約90%も小腸で吸収されます。
小腸から大腸に運ばれた残りカス(食物残渣)は、水分を多少含んでいます。上行結腸・横行結腸・下行結腸へと進む間で水分は体内に吸収され、固形の便になり、排便を待ちます。
また、小腸には全身の約60%のリンパ球が存在し、体の免疫機能の中心となっています。
腸は最大の「毒素排出」器官
腸は、人体のデトックス(解毒・浄化)機能の大部分を担っています。野菜などに付いているといわれる残留農薬や汚染物質、また食品添加物など体外から侵入してくる毒素の75%は、便として排出されるのだそうです。
ちなみに残りの毒素は、20%が尿、3%が汗から排出されるといわれています。さらに残りの2%が毛髪や爪に出るといわれています。腸がきちんと機能していない場合(例えば便秘など)、体内に毒素を溜めてしまうことになります。
また、排出されるべき老廃物が腸内に増えるため、毒素も増えてしまいます。腸の排泄機能はそのような毒素(老廃物)を体外に出し、さまざまな全身の不調を防ぐ大切な機能です。
「腸内フローラ」=「腸内環境」のことではない
「腸内環境」とよく言いますが、この腸内環境の構成要素は3つあります。
① 腸内フローラ(腸内細菌叢、腸内常在微生物叢ともいう)
② 腸管機能
③ 食事(食事をすることで腸にやってくる栄養分等)
みなさんご存じの「腸内フローラ」は、腸内環境のことではなく、腸内環境の中の1つの要素です。
小腸から大腸にかけて腸の壁にはたくさんの襞があります。襞にはおよそ1000種類、100兆個もの細菌が棲み、フローラ(細菌叢)という群れをつくっています。腸内の細菌は、人が食べた食事の栄養分をもとに発酵して増殖します。
腸内フローラを良好に保つには、食物繊維やオリゴ糖などを摂取することがもっとも重要です。これらは、難消化性多糖類と呼ばれ、腸内フローラのエネルギー源となります。
難消化性多糖類は、大腸内に到着すると、重要な基質(栄養分)として嫌気発酵を行います。この発酵により、腸内フローラはエネルギーを獲得します。
この大腸内発酵における代謝産物は、短鎖脂肪酸、メタン、水素ガス、アンモニアなどです。このうち、短鎖脂肪酸に含まれる「酪酸」は、近年、「天然の痩せ薬」といわれ注目を集めています。
大腸内で作り出される「酪酸」は「天然の痩せ薬」
大腸内発酵の代謝産物である短鎖脂肪酸ですが、これは食物繊維を分解する過程で作り出されます。この短鎖脂肪酸は主に「酪酸」「プロピオン酸」「酢酸」の3種類があり、このうち「酪酸」は、大腸の腸管上皮細胞のエネルギー源で、整腸効果や腸の炎症抑制、免疫力の向上にも作用することがわかっています。
さらに近年、米国の研究により、酪酸に「肥満抑制効果」があることが明らかになりました。脂肪細胞には酪酸を感知するセンサーがあり、酪酸を感知すると、「中性脂肪の蓄えをやめる」という働きが起きるのです。この研究では、「肥満の人の腸内では、腸内細菌叢が変化し、短鎖脂肪酸を作り出す力が落ちている」ことも判明しました。
要するに、腸内細菌および腸内環境が正常ならば、太りにくい体でいられるのです。
松生 恒夫 松生クリニック 院長
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